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アートニュース

【ピカソ編】2021年を振り返り!アートニュース総まとめ

2021年も残すところあとわずか。今回は、世界で最も多作な作家としてギネスブックに登録されている画家、パブロ・ピカソの2021年の主要ニュースをトピックごとに振り返ってみよう。(オークションの落札価格は手数料込み、当時のレートで計算)

オークション

30年ぶりに登場の作品、10億超え

5月13日、30年以上に渡って個人にコレクションされてきた作品《Femme au béret mauve》(1937年)がボナムズ(ニューヨーク)に出品され、約1,084万ドル(約11.9億円)で落札された。この女性は、写真家ドラ・マールと同時期に交際していたマリー=テレーズ・ウォルターである。

出典:https://www.bonhams.com/

数々の女性遍歴を重ね、その時々に関係を持った女性を描いていることでも知られているピカソ。ANDARTでは、ピカソの最後の妻・ジャクリーヌを描いた作品を扱っている。

2021年上半期、オークション総売上高のトップに

アート市場の情報を提供するArtmarket.comが、2021年上半期の世界のオークション市場で落札総額の高かったトップ10のアーティストを発表。ピカソが落札額3億5,216万ドル(約388億8,949万円)で堂々の1位となった。

▍ピカソオンリーのオークション開催

10月23日、ピカソ作品のみを集めたオークションがラスベガスの統合型リゾート「MGMリゾーツ」で開催。出品総数は11点、落札総額は1億900万ドル(約124億円以上)となった。カジノ及びギャンブルが持つイメージをラグジュアリーなものへと変換したカジノハウスとアートの関係性については以下の記事で詳しく解説している。

ピカソの作品、今年1番の高値がつく

2021年で唯一1億ドルの大台に乗り、最も高額な作品となった作品がマリー=テレーズ・ウォルターを描いた作品《Femme assise près d’une fenêtre (Marie-Thérèse)》(1932年)である。本作は5月にクリスティーズ(ニューヨーク)にて、1億341万ドル(約113億2,546万円)で落札され、ピカソにとって5番目に高いオークション落札価格となった。

出典:https://www.artsy.net/

展示

名作《ゲルニカ》のレプリカ貸出し終了

1984年以来、ニューヨークの国連安全保障理事会の本部に貸与されていた《ゲルニカ》(1937年)のレプリカが所有者であるネルソン・A・ロックフェラーJr.が返還を求めたことにより、今年2月頭、37年の時を経て返却された。この作品はドイツ空軍による無差別爆撃を描いた作品で、平和を訴えるピカソの象徴的な名作である。国連安全保障理事会は《ゲルニカ》に代わる新たな作品を探しているという。

出典:https://www.cbsnews.com/

2022年ポーラ美術館で「歿後50年 ピカソ 青の時代を超えて」開催

ピカソの芸術への探究心は決して止まることはなく、91歳で亡くなるまで制作を続けたピカソは時代毎に新しい作風を生み出したことでも知られている。箱根にあるポーラ美術館は、ピカソの原点である「青の時代」から晩年までを掘り下げる企画展示を2022年9月17日から開催する。

本展示開催前には、ポーラ美術館が約30億円で落札したドイツの画家、ゲルハルト・リヒターの《Abstraktes Bild》が初公開される展示も開催予定。詳しくはポーラ美術館のプレスリリース、またはこちらの記事から

NFT/テクノロジー

燃やされたピカソ作品がNFT化

6月、匿名のアーティスト集団とNFTのマーケットプレイス「Unique.One」がコラボレーションして、ピカソの作品を焼却後、NFT作品としてオークションにかけるプロジェクト「The Burned Picasso」が発足。原画は1964年の《Fumeur V》という作品で、焼却前にデンバーのギャラリーで展示された。オークションは2.5ETH(当時約60万円)で終了しており、ターゲットにしていた15ETHで落札した人はいなかった。

出典:https://v2.unique.one/

▍スイスの銀行が初の試み。ピカソ作品をブロックチェーンで分割所有

7月15日、デジタル資産銀行の「Sygnum」と、アート投資のパイオニアである「Artemundi」は、ピカソの絵画《Fillette au béret》をトークン化するために提携を発表。これは、アート作品の所有権が銀行によってパブリック・ブロックチェーン上に公開され、投資家がアート・セキュリティ・トークン(AST)と呼ばれるアート作品の「株式」を購入・取引できるようになった初めての事例である。これにより、 6,000ドル(約66万円)でピカソの作品の一株を所有することが可能。作品はスイスで厳重に保管されているそうだ。

出典:https://www.swissinfo.ch/

その他

▍9年前に盗まれたピカソの絵画が渓谷で発見される

2012年にアテネの国立美術館から盗まれたピカソの《Head of a Woman》(1939年)とオランダの画家ピエト・モンドリアンの《Stammer Windmill》(1905年)の絵画がギリシャの渓谷で発見された。金銭目的の窃盗ではなく、ただ単に作品を所有したかっただけの美術愛好家による犯行だったことが世間を驚かせた。

出典:https://news.artnet.com/

▍ピカソの娘、税金対策のため作品を寄贈

ピカソの娘であるマヤ・ルイス・ピカソが税金の相続決済の一環として、ピカソの絵画6点、スケッチブック1点、彫刻2点の合計9点をフランスの国立コレクションに寄贈することを決定した。1970年の法律では、価値の高い芸術品や歴史的な物品を国に寄贈することで、特定の税金の免除が認められている。9点の総額は非公表で、2022年春にグループで展示される予定。

出典:https://news.artnet.com/

その他アーティストの2021ニュースまとめ

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文:ANDART編集部