
【ジャン=ミシェル・バスキア編】2021年を振り返り!アートニュース総まとめ
2021年も残すところあとわずか。今回は、1960年にアメリカで生まれ、急性薬物中毒により27歳という若さでこの世を去ったアーティスト、ジャン=ミシェル・バスキアの2021年の主要ニュースをトピックごとに振り返ってみよう。(オークションの落札価格は手数料込み、当時のレートで計算)
他アーティストの2021年主要ニュースまとめはこちら↓
バンクシー、KAWS、パブロ・ピカソ、ゲルハルト・リヒター、ダミアン・ハースト
展示
▍9月のアート・バーゼル、一番の目玉はバスキア
9月20〜26日で開催された「アート・バーゼル」での目玉作品となったのが、ニューヨークのギャラリーが4,000万ドル(約44億円)で出品した《Hardware Store》だった。本作は1983年バスキアの2回目の個展で発表されたが、その時は販売されなかったため、今回のフェアで初めて市場に出た作品である。

《Hardware Store》(1983年)
出典:https://news.artnet.com/
▍原宿の「バンクシー展」にバスキアの作品が展示中
12月12日から2022年3月8日まで、原宿で開催中の「バンクシー展 天才か反逆者か(BANKSY GENIUS OR VANDAL?)」にて、バンクシーが影響を受けたとされるアンディ・ウォーホルとバスキアの作品が鑑賞できる特別展示が併設されている。そこでバスキアの《Jawbone of an Ass》(ANDARTの共同保有作品)が展示中だ。展覧会の詳細レポートは下の記事がおすすめ。

左がバスキアの《Jawbone of an Ass》(撮影:ANDART編集部)
▍2022年、カナダで展覧会開催
2022年10月16日〜2023年2月19日、カナダのモントリオール美術館で展覧会「Seeing Loud: Basquiat and Music」が開催される。ジャズが大好きだったことでも知られるバスキアのキャリアを芸術的・音楽的な視点から解釈する内容となっている。

《A Panel of Experts》(1982年)
出典:https://www.mbam.qc.ca/
オークション
▍バスキアの絵画、アジアで最も高値がつく
3月、香港で開催されたクリスティーズオークションにて、バスキアの《Warrior》が3億2,360万ドル(約45億2,069万円)で落札。アジアで落札された西洋美術品の中で最も高価な作品となった。1981年〜83年頃はバスキアのキャリアの中でも重要な年とされており、バスキア作品のトップ10もこの年に制作された作品が多くランクインしている。

《Warrior》(1982年)
出典:https://www.theartnewspaper.com/
▍2021年上半期オークション総売上高、ピカソに次ぐ2位
アート市場の情報を提供するArtmarket.comが、2021年上半期の世界のオークション市場で落札総額の高かったトップ10のアーティストを発表。バスキアはパブロ・ピカソに次いで、総額約3億353万ドル(約335億1,913万円)で第2位となった。
また、同社が発表する2020年7月〜2021年6月の現代アーティストのオークション売上高ランキングでは、2位のバンクシーと倍以上の差をつけてトップとなっている。
▍アンディ・ウォーホルが描いたバスキア、45億で落札される
11月11日にニューヨークで開催されたクリスティーズで、ポップアートの代表的作家アンディ・ウォーホルが制作したバスキアの肖像画が約4,009万ドル(約45億7,243万円)で落札。同日のオークションでトップの作品となった。この作品もバスキアの重要な時期にあたる1982年に制作されたものとして、その価値をより高めている。

《Jean-Michel Basquiat》(1982年)
出典:https://news.artnet.com/
▍勢い止まらぬバスキア。今年一番の作品は?
2021年世界のオークション市場で一番の高値がついたバスキアの作品は、5月クリスティーズで落札された《In This Case》だった。また、過去35年でマーケットでの価値が上昇したアーティストとしてイタリアの全国紙でも取り上げられるほど、その勢いには目を見張るものがある。来年もこの勢いは続いていくのだろうか?

《In This Case》(1983年)
出典:https://www.artsy.net/
NFT
▍バスキアのNFTが販売中止に
4月、バスキアのドローイングのNFT作品《Free Comb with Pagoda》がOpenSeaプラットフォームで出品された。購入者に現物を破棄する選択肢が提示されており、そこにバスキアの遺族が介入。調査の結果、販売者であるDaystrom社は作品のライセンスや権利を所有していないことが判明し、販売中止となった。

《Free Comb with Pagoda》(1986年)
出典:https://www.artforum.com/
▍12月のアート・バーゼルでバスキアの写真を使ったNFTが登場
12月2日〜4日、マイアミで開催されたアート・バーゼルにて、バスキアと一緒にグラフィティタグ「SAMO」を共同制作したアル・ディーアスと、バスキアの元恋人で写真家のアレクシス・アドラーがキュレーションを担当し、バスキアの貴重な初期の作品を展示。同時にバスキアの写真を使ったNFTも出品された。TrillerNFTS.comにていくつかのNFTの購入が可能。(12月23日時点)

コラボレーション
▍アンディ・ウォーホル、キース・ヘリングと共にUTコラボ
6月28日、ユニクロのUTからアンディ・ウォーホルとキース・ヘリング、そしてバスキアのコラボレーションが発売された。アートコラボ初のスニーカー、ハンカチや折り畳み傘などの小物、そしてそばちょこと豆皿の磁器も揃えた種類豊富なラインナップが話題を呼んだ。
▍ドクターマーチンのアイコンとバスキアの代表作がコラボ
ドクターマーチン(Dr. Martins)とバスキア作品の2回目となるコラボレーションが7月3日に発売された。下の記事では、今回選ばれた作品の簡単な解説とあわせてコラボレーションを紹介している。
▍ティファニーが所有する《Equals Pi》を初お披露目
9月、ティファニーが所有するバスキアの作品《Equals Pi》(1982年)がビヨンセ&ジェイ・Z夫妻がモデルを務めたキャンペーン「ABOUT LOVE」のポスターで初公開された。ティファニーとバスキアの関係性や作品の来歴については下の記事で詳しく解説している。

出典:https://www.fashionsnap.com/
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文:ANDART編集部