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バンクシーの壁画をGoogle Street Viewでバーチャル鑑賞しよう【イギリス編】

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イギリス・ブリストルが生んだ、現代アート界の中で最も重要な人物のうちの一人とされるストリートアーティスト、バンクシー。いくらアートであっても、街中の建造物に無許可で落書きを残すのは違法行為であるため、撤去されたり塗りつぶされたり、またはその人気さゆえに保護されたりと、それぞれの結末を迎えるバンクシーの壁画。そこで今回は、Google Street Viewで見ることができるイギリス国内の壁画を紹介。保存状態の良いもの、原型を留めていないものなど、ストリートアートならではのリアルを感じてみよう。

《Falling Shopper》

ロンドンのメイフェア地区にある《Falling Shopper》(または「Shop Till You Drop」とも呼ばれている)は、ロンドンの中でも状態が良く残っている壁画。ショッピングカートの中にはよく見るとワインやネックレスなど生活水準の高さが表す物が入っていて、カートに手を伸ばそうとする人物と一緒に落下している様子が描かれている。消費主義を揶揄した作品を多く制作するバンクシーらしさが強く現れた作品。

《Banksy × Basquiat》

ロンドンのバービカンセンター近くのトンネルに描かれた、ジャン=ミシェル・バスキアへのオマージュ。バスキアの《Boy and Dog in a Johnnypump》を元に、バンクシーによって描き足された警察官が職務質問をしている様子が窺える。バスキアが亡くなった今でも、白人の警察官による黒人への偏見や差別が続いていることを表現した壁画。

《Boy and Dog in a Johnnypump》(1982年)
出典:https://www.artsy.net/

すぐ近くにはバスキアのアイコンであった「王冠」を観覧車のゴンドラに見立てて描いたものも。いずれの壁画も、2017年にバービカンセンターでのバスキアの回顧展開催を記念した、バンクシーによる”非公式”のコラボレーションである。

出典:https://sniffingeurope.com/

《The Girl with the Pierced Eardrum》

ロンドンのハノーバーにある建物の壁画に描かれたこの壁画は、日本語で通称「イヤー・ドラムの少女」と呼ばれ、フェルメールの《真珠の耳飾りの少女》のオマージュした作品。真珠の耳飾りを壁に設置されたセキュリティアラームに置き換えて、現代の監視社会に対して意義を唱えた作品と言われている。「イヤー・ドラム(Eardrum)」とは日本語で鼓膜のこと。

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《The Mild Milld West》

バンクシーの出身地・ブリストルのストーク・クロフトにある1998年の壁画。90年代のブリストルは無許可のレイヴ(ダンス音楽を一晩中流す大規模な音楽イベント)やフリーパーティが盛んに行われており、97〜98年の大晦日にはついに機動隊員がパーティの参加者を攻撃し始める事件が起こった。この壁画はその出来事がきっかけとなって、バンクシーが白昼堂々と3日間かけて制作した作品である。

《Very Little Helps》

2008年、ロンドン北部のエセックス・ロード沿いにある薬局の壁に登場した壁画。スーパーマーケットなどを展開するイギリスの大手企業TESCO(テスコ)のスローガン「Every Little Helps.(どんな小さなことでも役に立つ)」を皮肉めいてパロディーしたもの。バンクシーのライバルと言われていたストリートアーティスト、King Robbo(キング・ロボ)によって塗りつぶされてしまい、現在は僅かに原型が見える程度となっている。

《The Royal Family》

2003年にリリースされたイギリスのバンド「Blur」のシングル『Crazy Beat』のジャケットアートワークの元になった、ロンドン東部ストーク・ニューイントンに残る壁画。制作されてから8年間そのままの状態だったが、自治区議会が介入し塗りつぶし作業が行われることに。しかし、既に街のランドマークとなり住民に親しまれていたため、現場に集まった人々により全てを塗りつぶされずに済んだ。

塗りつぶされる前の《The Royal Family》
出典:https://theartofbanksy.jp/

《Well Hung Lover》

「Naked Man Hanging From Window」とも呼ばれているこの作品は、2006年に描かれた壁画。当初、ブリストル市議会は壁画を撤去する方向で進めていたが、一部の住民が反発。市議会が壁画を残すべきかどうかをオンライン投票で決議を行ったところ、なんと回答者の97%が保護を支持する結果に。《Well Hung Lover》は、イギリスで初めての合法的なストリートアートである。

《Banksy’s Valentine’s Day》

少女が花火のような赤い花をパチンコで発射している様子が描かれた壁画。花はバラの花びらとつたで作られているそう。「少女×赤」はバンクシーの代表作《Girl with Balloon》を彷彿とさせる。バレンタインデーの日に壁画が登場したことからも、バンクシーからのポジティブな愛のメッセージと捉えることもできる。しかし、一方でバラは「棘」があったり、垂れ下がった花びらは「血」を連想させたりもして、見方が広がる作品だ。

出典:https://www.bbc.com

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文:ANDART編集部