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6月3日開催サザビーズオークション(パリ)落札額Top5作品解説

2021年6月3日18:00(フランス時間)サザビーズオークションにて現代アートのイブニングセールが行われた。そこでこの記事では本オークションで落札結果が高かった上位5作品と、ANDARTで取り扱いがあり、国内でも人気の高いアーティスト「奈良美智」と「ジャン=ミシェル・バスキア」の作品の落札結果を紹介する。
(落札価格は手数料込み、1ユーロ=133.45円で計算)

1) ザオ・ウーキー ≪Ville arabe≫ (1953年)

落札価格: 約5億8,935万円(4,416,300 EUR)

画像引用:https://www.sothebys.com/

ザオ・ウーキー(趙無極)は中国・北京出身、フランスを拠点に活躍した画家。中国の富裕層に生まれ若くして豊かな教養を身につけ、フランス・パリに移ってからはヨーロッパの新しい芸術運動やクレーの絵画に影響を受ける。2018年にはサザビーズ香港にて横幅10mの巨大な抽象画《1985年6月-10月》が、自身のオークションレコードとなる約73億9500万円で落札された。また、本作は「アラブ・シティ」という意味のタイトルがつけられ、美しい砂漠の風景が想起される絵画の中に消え入るように描かれた街並みが印象的だ。

予想落札価格:約2億6,689万円(2,000,000 EUR)〜約4億34万円(3,000,000 EUR)

2) ピエール・スーラージュ ≪Peinture 65 x 92 cm, 10 novembre 1952≫ (1952年)

落札価格: 約2億6,810万円(2,009,000 EUR)

画像引用:https://www.sothebys.com/

ピエール・スラージュはフランスの画家で、100歳を超える現役アーティストだ。「黒の画家」としても知られ、黒に反射する光を追求した作品を多く残している。フランス大統領がアトリエを訪れるほどの国民的画家で、2019年にはルーブル美術館でも回顧展を開催した。存命のアーティストがルーブル美術館で回顧展を開催するのはシャガール、ピカソに次いで3人目だという。本作もスラージュらしく黒の絵の具が重ねられ、背景の金の色彩との両方から生まれる光を感じ取ることができる作品だ。

予想落札価格:約8,006万円(600,000 EUR) 〜約1億2,010万円(900,000 EUR)

3) ギュンター・ユッカー ≪Weisses Feld≫ (1972年)

落札価格: 約2億6,002万円(1,948,500 EUR)

画像引用:https://www.sothebys.com/

ギュンター・ユッカーはドイツの彫刻家。ドイツのデュッセルドルフで結成された前衛美術のグループ「グループ・ゼロ」にて頭角を表した。無数の釘を模様を描くように打つ彫刻的絵画やインスタレーション作品を多く制作している。たくさんの釘が1本1本をハンマーで打ち付けられたことを思うと、作家のエネルギーを感じさせる作品だ。ひとつひとつは細くて無機質な釘も、彼の手にかかるとうねるようにあらゆる感情を見せる。

予想落札価格:約1億675万円(800,000 EUR)〜約1億6,013万円(1,200,000 EUR)

4) ジャン・デュビュッフェ ≪Topographie aux feuilles mortes≫ (1957年)

落札価格: 約1億8,736万円(1,404,000 EUR)

画像引用:https://www.sothebys.com/

ジャン・デュビュッフェはフランスの画家。それまでの西洋芸術を批判し、精神病患者など美術界の枠外の人間(アウト・サイダー)による芸術で、伝統や流行、教育に左右されない「アール・ブリュット運動」の創設者としてもよく知られている。彼の作品は砂を混ぜた絵画や、厚塗りの絵の具を引っ掻いて描くなどがあり、その独創的な制作スタイルが特徴的だ。

予想落札価格:約6,672万円(500,000 EUR)〜約8,006万円(600,000 EUR)

5) ピエール・スラージュ ≪Peinture 73 x 60 cm, 28 août 1975≫ (1975年)

落札価格: 約1億4,699万円(1,101,500 EUR)

画像引用:https://www.sothebys.com/

今回のオークションで落札価格第2位にも記録されているピエール・スラージュの作品。先述の通り、「黒の画家」として知られたアーティストだが、本作では彼の作品の中で黒や白の次に頻度が高いと言っても過言ではない鮮やかな青色が使用された作品となっている。

予想落札価格:約6,672万円(500,000 EUR)〜約9,341万円(700,000 EUR)

ANDART取扱いアーティスト落札情報

奈良美智《OMG!》(2012年)

落札価格:約4,688万円(351,300 EUR)

画像引用:https://www.sothebys.com/

今回のオークションで出品された2人の日本人アーティストのうちの1人、奈良美智(もう1人は白髪一雄)。本作は奈良の代表的なモチーフであるビッグアイズがダンボールに描かれた作品。32 x 32 cmと小ぶりな作品ながらも、高値で取引された。

予想落札価格:約800万円(60,000 EUR)〜約1,201万円(90,000 EUR)

ジャン=ミシェル・バスキア《Dealer’s dog》(1983年)

落札価格:約2,858万円(214,200 EUR)

画像引用:https://www.sothebys.com/

どこか悲壮感が漂うよう描かれた犬が愛らしい作品。この犬は、バスキアのキャリアに大きく貢献した美術商ブルーノ・ビショフベルガーの夫人が飼っていたもの。本作品は「ディーラーの犬」と名付けられ、ビショフベルガーに贈られた。

予想落札価格:約2,668万円(200,000 EUR)〜約4,003万円(300,000 EUR)