
アートマーケットから見たダミアン・ハーストとは?オークション落札価格TOP3の作品を紹介
ダミアン・ハーストとは

ダミアン・ハースト(Damien Hirst)は1965年生まれのイギリス・ブリストル出身の現代美術家、実業家、アートコレクター。ヤング・ブリティッシュ・アーティスト(YBAs)と呼ばれる1990年代のイギリスで活躍した若手のコンテンポラリー・アーティストの中でも代表的な存在である。86年、ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジ美術学部に入学。88年には廃ビルで学友たちと展覧会「Freeze」を自主開催し、イギリス美術界の新たなムーブメントとして注目を浴びる。
本物のサメや羊をホルマリン(ホルムアルデヒドの水溶液)漬けにして保存したり、蝶やハエの死骸を使うなど生と死を感じさせるセンセーショナルな作品でよく知られており、1995年には、このシリーズの作品でターナー賞を受賞している。
2022年3月には国立新美術館にて大規模な個展が開かれることも発表されており、益々日本でも人気が高まってくることが予想される。
アートマーケットから見るダミアン・ハースト
アートをビジネスとして捉え、数々の功績を残してきたハーストは、新しい挑戦も積極的に行っている。2008年にはサザビーズがロンドンで開催したオークションにて、223点の作品を出品したところ、落札総額が1億1100万ポンド(約211億円)に達し、1人の芸術家の作品落札総額として当時の最高記録を樹立した。このオークションで、ギャラリーやディーラーなどを通さず直接オークションに出品するという美術界では前例のない行動をとり話題となった。彼は最も裕福な芸術家とも言われており、3億8800万ドルから5億6000万ドルの資産や貴重な個人コレクションを持っているとも言われている。

また、オークションではなくプライベートセールでの販売だが、2007年8月に骸骨の表面にダイヤモンドをあしらった《For the Love of God》が50ミリオンポンド(約120億円)の価格がつけられ、現存するアーティストのうち2番目に高額で取引された作品として記録されている。
【追記(2022年1月31日)】
長い間120億円で売却されたとされていた《For the Love of God》が、実際には売却されていなかったことをハースト自身が「New York Times」誌のインタビューの中で語った。現在は、ハーストと彼のギャラリー、投資家グループと共同で同作品を所有しているとのことだ。
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他にも、NFT作品をいち早く取り入れ、オーナーに対してお金の価値観を揺さぶるような仕掛けを施したり、仮想通貨を積極的に取り入れたりとアートマーケットにおいても革命を起こし続けている。
さっそく、ハーストのオークション落札価格TOP3を見ていこう。
(落札価格は2022年1月28日のレートで計算)
第3位《The Kingdom》
落札価格:約17億6000万円

ハーストの代表的な作品のひとつで、透明なガラスのキャビネットの中にイタチザメがホルマリン漬けになっている。大掛かりな作品であることに加え、ハーストを一躍有名にした「自然史」シリーズでもあり、落札額も急激に上がる。本作は、2008年にサザビーズのオークションで約17億6000万円(約1,530万ドル)で落札された。
第2位《The golden calf》
落札価格:約19億円

続いてもホルムアルデヒドで保存された動物の作品。白い雄牛の角は18金で作られており、頭の上には金のディスクが付いている。2008年に開催されたサザビーズのオークションで販売され物議を醸したものの、3人の入札者があり、約19億円(約1650万ドル)で落札された。
第1位《Lullaby Spring 》
落札価格:約22億2000万円

ピルキャビネットシリーズのひとつ、《Lullaby Spring》は、6136錠の薬が並んでいる。タイトルにもあるように鮮やかな色で春が表現されている。新しい始まりや明るいイメージの春と錠剤の独特な雰囲気が対比されているようでもある。本作は2007年にサザビーズのオークションで約22億2000万円(1,930万ドル)で落札された。
現在ANDARTでは、ハーストのオークションレコード第1位の作品と同じく薬品をテーマに制作した、ハーストの代表作「スポット・ペインティング」シリーズより《M-Fluorobenzylamine》、国立新美術館の大規模個展でも話題になった「桜」シリーズより《The Virtues(H9-5 Honesty)》のオーナー権を1枠1万円から販売しています。ぜひこの機会に購入をご検討ください。
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文章:ANDART編集部