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インタビュー

ANDARTのArt Divisionセールス担当者に聞く、おすすめのアーティストやアートの楽しみ方【特別企画第1弾】

日本初、アート作品の共同保有プラットフォーム「ANDART」や、手に届く価格から本格アート作品を提供するオンラインストア「YOUANDART」を通して、ANDARTは数あるアーティストや作品の中から選りすぐりを日々お届けしています。

そんなANDARTで働くメンバーは、どんなアーティストに注目しているのでしょうか? ANDARTで働くメンバーに、おすすめのアーティストやアートの楽しみ方など、生の声を聞く企画の第1弾。今回は、共同保有作品の仕入れやプライベートディールでのお客様同士のマッチングなど、ANDARTの事業のコアとなる部分を担当しているSさんにお話をお伺いします。

――アートの中で、特に好きな分野を教えてください。

いろいろあるのですが、ぱっと思い浮かぶところだとラファエル前派と、後期ルネッサンスのフランドル絵画が好きです。あとはコンテンポラリーアートも好きですよ。

大学では芸術学や美術史を専攻する学科にいました。後期フランドル絵画の中でもヒエロニムス・ボスや、ヨアヒム・パティニールという画家がとても好きで。1-2年生の頃に作家を選んでレポートを書くという課題が出た時は、そのあたりの画家について書きました。ラファエル前派だと、ジョン・シンガー・サージェントが好きなんですよ。《カーネーション、リリー、リリー、ローズ》とか。

ジョン・シンガー・サージェント《カーネーション、リリー、リリー、ローズ》(1885-6)
画像引用:https://www.tate.org.uk/

――美術史から入られたんですね。現代アートにも興味を持つようになったきっかけは何ですか?

大学に入学したばかりの頃、講義の中で村上隆を紹介した教授がいました。それまではパブロ・ピカソなど、教科書に載っているような画家しか知らなかったんですが、村上隆の《Miss Ko2》のようなフィギュアの作品を紹介されて。当時はよくわからなかったけれど、それが芸術なんだと。なおかつお金の話も絡めてしていたので、おもしろいなと思ったんですよね。

大学では周りに美術館に行くような人が多かったので、友人と積極的に展示を観るようになりました。ちょうどその頃、瀬戸内国際芸術祭が始まったり、金沢21世紀美術館や青森の十和田市現代美術館が人気になったりして、日本でのアートフェアや現代アートの美術展も盛り上がってきて。そういう時期がちょうど重なっていたのかもしれません。

直島に李禹煥(リ・ウファン)の作品がたくさんありますが、ただの木と石の組み合わせだったりするのに、作品だっていう目で観るとすごいなぁって思ったり。それが歴史の文脈的にどういう意味を持っているのか、評論を読んだりしていくうちに、自分にとって身近なものになっていったと思います。高階秀爾(たかしな・しゅうじ)さんの評論や、美術手帖の記事も読んでいました。

――ご自身でコレクションされている作品を何点かご紹介いただけますか?

いろいろな作家の作品を所有していますが、エディションものだとKYNE《Untitled:A》や、ダミアン・ハースト《The Virtues: Honesty.》、加藤泉《Untitled 34》などがあります。

どちらかというと秩序のあるものが好きなんです。秩序とひとくちに言っても伝わりづらいんですが、突き詰めていくと、きちんと作家にコントロールされた中で、調和している、バランスが取れていると感じられる作品が好きです。ダミアンとかそんな感じですよね。

ダミアン・ハースト《The Virtues: Honesty.》(2021頃)
画像引用:https://www.artsy.net/

――アクションペインティングなど偶然性のあるものより、計算してつくられているものがお好きということでしょうか?

それは少しニュアンスが異なってくると思います。偶然性は偶然として良いけれど、「偶然にこんなものが生まれちゃいました」という偶然性だけではダメということですね。

小松美羽さんとか、ライブペインティングで描いていると偶然性が出てくると思うんです。感覚的に描いている部分であったりとか。でも最終的にひとつの作品としての完成度がすごく高くて。つまり、できあがった作品はコントロールされているんですよね。無意識をコントロールしているというか。そこが感じられる作品が好きです。

ジャクソン・ポロックみたいな作品も好きなんですよ。偶然がすごく重要なファクターになっているとは思うんですが、それだけではないというか。

加藤泉さんも、なんとなく創ったようでいて、パターン化されたモチーフの中で「これを描きたい!」っていうのがある。作品を観ると、気持ち悪さもあれば可愛さも感じて、おもしろいなと思います。

加藤泉《Untitled 34》(2020)
画像引用:https://storeny.perrotin.com/

――購入する作品を選ぶ時は、どういった点に注目していらっしゃいますか?

若い作家と既に有名なアーティストで買い方が少し異なるかもしれませんが、まず作品を観て、ビジュアルが気になれば調べます。すごく有名な人だったら調べませんが、若い人だったらバックグラウンドを調べて、直接話を聞けるんだったら聞いて。価格を自分の予算と照らし合わせて、良いと思うことができれば購入する。妻もアートに関心があるので、相談して意見が合致したら購入しますね。

――今注目しているアーティストがいれば教えてください。

注目しているのは川内理香子さんです。作品のクオリティとコンテクストの調和も興味深いし、マーケットへのアプローチもきちんとコントロールされていると感じるので、将来美術館で個展があってもおかしくない。今人気でなかなか作品が手に入りにくいですしね。

川内さんは「VOCA展2022」に推薦されていますよね。推薦者が千葉市美術館学芸員の森啓輔さん。VOCA展って、若手アーティストを美術館などに勤めているアカデミー系の方が推薦して、著名な審査員の方々が選ぶ。なのでVOCA展で賞をとると結構注目されます。

――最後に、アートの楽しみ方について、読者に向けてメッセージをお願いします。

観るだけでよければ、ギャラリーや美術館に行くだけで済むと思うんです。でも所有して自ら飾るという楽しみもあって、今は特にそういうことに対するハードルが下がってきている環境と、風潮になっていると感じます。YOUANDARTなどを通せば、比較的安価でしっかり目利きの人たちが選んだアート作品を購入できるので、ぜひ体験してみてください。

――どうもありがとうございました!


今回お話をお伺いしたSさんはアート業界でのキャリアが長く、ANDART社内でアドバイザー的な役割もされています。アートへの関心を深めていく過程や注目するポイントなど、興味深いお話がいっぱいでした!ぜひアートをさらに楽しむ参考にしてください。第2弾もお楽しみに。

ANDARTでは、1万円からオーナー権を購入できる本格アート作品を取りそろえており、気軽にアートコレクションを始めることができます。また、アーティストインタビューやオークション速報など、見逃せないアート情報もお届けしています。無料会員登録がまだの方はぜひチェックしてみてくださいね!

文:ANDART編集部