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最も高く売れたKAWS作品は? 落札価格ランキング TOP10

「××」の目をしたキャラクターでおなじみのアーティスト、KAWS(本名:ブライアン・ドネリー)。ストリートアートから出発し、「ユニクロ」や「NIKE」など有名ブランドとのコラボレーションも多く手がけてきた。いまやポップカルチャーの巨匠として知られるKAWSは、既存のポップキャラクターをモチーフにしたユーモラスかつシニカルな作品で知られる。

photo by Michael Robinson Chavez

ここ10年足らずで作品価値が高騰し、オークションで記録的な落札価格を残していることもあり、世界中のコレクターから熱い視線が送られている。2010年に販売されたフィギュアが、2020年にオークションで約10倍の価格で取り引きされた例もあり、「資産としてのアート」としても注目したい。アート作品のオーナー権を1万円から購入できるプラットフォームANDARTでも、KAWSは人気アーティストの1人だ。


この記事では、これまでオークションで取り引きされたKAWS作品の落札価格ランキングTOP10を紹介。驚きの最高価格をマークしているのは、誰もが知っている有名キャラクターをモチーフにした作品だ。10位から順に、さっそくチェックしてみよう。(落札価格は1ドル=110円、1香港ドル=14円で計算)

10位《Untitled (Kimpsons #3) / 無題(キンプソンズ #3)》
落札価格:約2億8,805万円

画像引用:https://www.sothebys.com/


アメリカ発の大人気コメディアニメをモチーフにした「Kimpsons(キンプソンズ)」シリーズの一作。壊れたソファに勢ぞろいした家族たちは、KAWS作品に象徴的な×印の目をして、頭に骨がささっている。本作は、日本のファッションデザイナーであり、ストリートファッションの先駆者として知られるNIGO®の依頼で制作され、KAWが初めて発表したキャンヴァス作品のひとつとなった。

2019年4月、サザビーズ香港で開催されたNIGO®の個人コレクションオークション「NIGOLDENEYE® Vol. 1」に出品され、予想落札最高価格の3倍を超える高額で取り引きが成立した。

落札価格:約2億8,805万円(20,575,000 HKD)
予想落札価格:約5,600万〜8,400万円(4,000,000 – 6,000,000 HKD)
オークション開催日:2019年4月1日

9位《Kurfs (Tangle) / カーフたち(からまり)》
落札価格:約2億9,205万円

画像引用:https://www.christies.com/


本作のモチーフとなったのは、ベルギー発の漫画に登場する妖精。青い肌と白い服が特徴で、映画化もされるなどヨーロッパ中心に人気を博している。緑のツタにからまったキャラクターは、背景となっている子どもっぽいアニメの世界から抜け出そうともがいているように見え、KAWSらしい皮肉めいたユーモアの効いた作品となっている。

2019年5月、ニューヨークで開催されたクリスティーズ戦後&現代アートイブニングセールで、予想を大きく上回る価格で落札された。

落札価格:約2億9,205万円(2,655,000 USD)
予想落札価格:約6,600万〜8,800万円(600,000 – 800,000 USD)
オークション開催日:2019年5月15日

8位《Kurf (Hot Dog) / カーフ(ホットドッグ)》
落札価格:約2億9,260万円

画像引用:https://www.sothebys.com/


9位と同じ妖精キャラクターをモチーフにした作品。《Kurfs (Tangle)》の前年、2008年に発表された。妖精の目はおなじみの×印となり、大きなホットドッグを持った姿で描かれている。妖精が登場する漫画の中で、魔法の卵によってホットドッグに姿を変えられてしまうというエピソードがあり、キャラクターがホットドッグを持ったフィギュアも売られているため、KAWSはこれを参照したと思われる。

2019年5月、ニューヨークで開催されたサザビーズ現代アートイブニングセールに出品された。もともと高額での落札が予想されていたが、それをさらに上回る結果となった。

落札価格:約2億9,260万円(2,660,000 USD)
予想落札価格:約1億6,500万〜2億2,000万円(1,500,000 – 2,000,000 USD)
オークション開催日:2019年5月16日

7位《Untitled (Kimpsons) / 無題(キンプソンズ)》
落札価格:約2億9,645万円

画像引用:https://www.sothebys.com/


アニメ制作に使用されるアクリル塗料による発色が鮮やかな、「Kimpsons」シリーズの一作。「Kimpsons」はKAWSが好んで用いたキャラクターのひとつで、2000年代前半に数々の作品が発表されている。NIGO®は原宿のBAPE CAFE(閉店)に飾るため、同シリーズをまとめて依頼したと言われる。

10位の《Untitled (Kimpsons #3)》と同じく2003年に発表され、ともに2019年のサザビーズ香港に出品された。こちらも予想の3倍以上となる高値を記録している。

落札価格:約2億9,645万円(21,175,000 HKD)
予想落札価格:約5,600万〜8,400万円(4,000,000〜6,000,000 HKD)
オークション開催日:2019年4月1日

6位《Untitled (Fatal Group) / 無題(宿命の一団)》
落札価格:約2億9,881万円

画像引用:https://www.phillips.com/


本作は、アメリカで1970年代から80年代にかけて放映されたTVアニメをモチーフにし、2004年に制作された。映画のポスターのようなカラフルでにぎやかな作品だ。ビビッドな色が慎重に配置され、絵筆の跡をまったく残さずフラットに仕上げられており、絵画として完成度が高い。

2018年11月にニューヨークで開催されたフィリップス20世紀&現代アートイブニングセールに出品され、予想落札最高価格のおよそ3倍となる高値で落札された。

落札価格:約2億9,881万円(2,716,500 USD)
予想落札価格:約7,700万〜9,900万円(700,000〜900,000 USD)
オークション開催日:2018年11月15日

5位《Armed Away / 外出中の武装》 
落札価格:約3億3,775万円

画像引用:https://www.christies.com/


223.2 x 503 cmのキャンヴァスに描かれたスケールの大きい作品。ロサンゼルスのギャラリー、Honor Fraserで2014年に開催された個展「MAN’S BEST FRIEND」で発表された。抽象画に見えるが、日本でも有名なネコとネズミのアニメキャラクターが隠されている。2000年代後半から、このようにキャラクターの要素を解体して再構成するような作品が見られるようになった。

2019年5月、香港で開催されたクリスティーズ20世紀&現代アートイブニングセールに出品され、予想を上回って取り引き価格が高騰した。

落札価格:約3億3,775万円(24,125,000 HKD)
予想落札価格:約1億6,800万〜2億2,400万円(12,000,000 – 16,000,000 HKD)
オークション開催日:2019年5月25日

4位《In the Woods / 森の中で》
落札価格:約4億2,405万円

画像引用:https://www.christies.com


KAWSの代表的キャラクター「Companion(コンパニオン)」の顔で描かれた白雪姫と、×印の目で笑う黒塗りの動物たちが、不穏な空気を漂わせている。本作のもとになっているのは、白雪姫が森の中で動物たちに囲まれながら歌を歌う、アニメ映画のワンシーン。KAWSがディズニーの関連会社にアニメーターとして勤めていた過去を思わせる。

2019年5月、ニューヨークで開催されたクリスティーズ戦後&現代アートアフタヌーンセッションに出品された。2016年にサザビーズ(ニューヨーク)で取り引きされた時の落札価格は約4,730万円だったが、わずか3年で9倍近くに跳ね上がったことになる。

落札価格:約4億2,405万円(3,855,000 USD)
予想落札価格:約1億6,500万〜2億2,000万円(1,500,000 – 2,000,000 USD)
オークション開催日:2019年5月16日

3位《The Walk Home / 帰り道》
落札価格:約6億5,505万円

画像引用:https://www.phillips.com/


3位には、アメリカのTVアニメキャラクターを模した作品がランクイン。×印の目で跳び上がるキャラクターの周りには、上に伸ばした多数の腕が浮いており、画面全体から驚きが伝わってくるゆかいな作品だ。

2016年5月、ニューヨークで開催されたフィリップス20世紀&現代アートイブニングセールに出品された。その際、現在フィリップスの幹部を務める3名の専門家が競り合って価格が高騰した後、同じくフィリップスの現副議長ロバート・マンリーが電話入札で落札。なんと予想落札最高価格の7倍を超える高額での取り引きとなった。

落札価格:約6億5,505万円(5,955,000 USD)
予想落札価格:約6,600万〜8,800万円(600,000 – 800,000USD)
オークション開催日:2016年5月16日

2位《Untitled (Kimpsons #1) / 無題(キンプソンズ #1)》
落札価格:約8億1,027万円

画像引用:https://www.sothebys.com/


10位と7位で紹介した「Kimpsons」シリーズのひとつ。10位、7位に登場する他2作と似た絵柄だが、同シリーズの中でも最大のサイズとなっており、2倍以上となる高額で落札された。

2019年10月、サザビーズ香港の現代アートイブニングセールに出品された。予想落札価格の範囲に収まっているものの、KAWS作品では過去2位となる落札価格をマークしている。

落札価格:約8億1,027万円(57,877,000 HKD)
予想落札価格:約6億7,200万〜9億5,200万円(48,000,000 – 68,000,000 HKD)
オークション開催日:2019年10月6日

1位《The KAWS Album / カウズ・アルバム》
落札価格:約16億2,352万円

画像引用:https://www.sothebys.com/


2位以下と大きな差をつけ、ダントツの落札価格で1位に輝いたのは、集団肖像画のスタイルを踏襲した一作。本作もNIGO®からの依頼で制作された。1967年発売のビートルズのアルバム『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』のジャケットの構図を参照し、人物を目が×印になったアニメキャラクターに変えている。

2019年4月、サザビーズ香港でNIGO®の個人コレクションとして出品された。予想落札価格の約15倍にもなる値をつけ、それまでのKAWSのオークション最高価格を大きく塗り替える結果となった。

落札価格:約16億2,352万円(115,966,000 HKD)
予想落札価格:約8,400万〜1億1,200万円(6,000,000 – 8,000,000 HKD)
オークション開催日:2019年4月1日

KAWS展で実際に作品を見よう!

2021年7月16日から10月11日まで、森アーツセンターギャラリーで日本初の大規模なKAWS展「KAWS TOKYO FIRST」を開催中。150点以上の作品展示により、KAWSのアーティストとしての歩みを知ることができる貴重な機会だ。上記で紹介した作品の一部も展示されている。AR作品によるインタラクティブな体験も用意されているので、ぜひ足を運んでKAWSの世界を堪能してほしい。ANDART編集部もさっそく訪れてレポートを公開した。

KAWS作品のオーナー権を購入する

ANDARTではKAWSの作品を取り扱っている。ANDARTは、これまで手が届きづらかった高額な有名アート作品や大型作品でも1万円からオーナー権を購入/売買ができる。オーナー権を購入した作品オーナーは、オンライン上でのコレクションをはじめ、実物作品の鑑賞機会など様々な優待を通して気軽に本格アートコレクションを楽しむことができる。また、オーナー権の売買が可能な会員間取引機能もβ版にて提供している。

文:ANDART編集部