
山口歴が新シリーズに挑む個展から、ダニエル・アーシャムの第二弾NFTプロジェクトまで。今週のアートニュース(21.08.21-21.08.27)
1週間の国内外のアートニュースから、ANDART / YOUANDART取り扱いアーティストの情報を中心にピックアップ。今週は「国内の展覧会」「海外の展覧会」「アーティスト&作品」「ファッション&カルチャー」の4つのテーマでお届けします。気になるアーティストの話題をさくっとチェック!
国内の展覧会
▍山口歴、都内2会場で同時に個展を開催。初の立体作品も発表。

ニューヨーク・ブルックリンを拠点に、NIKE、ISSEY MIYAKE MENをはじめブランドと活発にコラボレーションを行い、先週はUT&ポケモンとコラボレーションしたTシャツを発売するなど、世界的に活躍のフィールドを広げるアーティスト、山口歴。その山口歴の個展「LISTEN TO THE SOLITUDE」が、銀座と渋谷で同時開催される。今回の展覧会で発表されるのはいずれも新作で、渋谷の「OIL by 美術手帖ギャラリー」では、8月27日~9月6日に平面作品を発表。また、銀座の「銀座 蔦屋書店 GINZA ATRIUM」では、8月30日~9月14日、初の立体作品や、写真家とのコラボレーション作品など、新たな挑戦を発表する予定だ。
▍両足院大書院の杉本博司のふすま絵、一般公開に向けた予約を9月1日より開始。ヴィンテージポスター展もあわせて開催。

京都市東山区の建仁寺塔頭・両足院に、杉本博司による襖絵と掛け軸が展示されているが、この一般公開の予約が9月1日の午前7時から始まる。8枚の襖絵と掛け軸「日々是荒日」「日々是口実」は、杉本の代表的なシリーズのひとつである「放電場」をモチーフにしたもの。一般公開は2021年11月1日から14日を予定。襖絵、掛軸とともに光学硝子五輪塔等、杉本博司作品を京都府指定名勝庭園を目前に鑑賞できるほか、杉本博司写真作品「海景」、「劇場」のヴィンテージポスター(エディション)を期間限定にて展示、販売する予定とのことだ。(両足院)
▍「石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか」展、360°VR+ハイライト映像を公開。

東京都現代美術館で2020年11月から2021年2月まで開催され、大きな反響を呼んだアートディレクター石岡瑛子の回顧展「石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか」の360°VRとハイライト映像が公開された。近年多くの美術館の展覧会のVR公開で採用しているMatterportではなく、一からプログラム組んで制作を行ったものとのことで、会場全体が高解像度でおさめられ、生前の石岡瑛子の肉声を含む、会場内での音も再現されるなど、展覧会をまるごとアーカイブした見応えある内容となっている。2022年3月31日までの期間限定公開とのことだ。(東京都現代美術館 「石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか」展 オンライン展示アーカイブ)
▍鮫島ゆい ら3人の女性アーティストによる、今起きている物事を捉える「CAPTURE」展。Rikka Gallery 麻布台で開催。

「Rikka Gallery 麻布台」で、ユニークな視点から社会を捉え、作品を通して問いかける3名のアーティストにフォーカスした展覧会「CAPTURE展」を開催する。参加アーティストは、多文化の中で生きてきた自身の視点を活かして対象物の本質を捉えるYeji Sei Lee、漆という素材とドローイングのフォルムを掛け合わせる谷川美音、小さな立体物のイメージから絵画空間を拡張させて描く鮫島ゆいの3名。会期は9月3日〜9月24日(※日曜・祝日定休)。完全予約制。(来場予約はこちら)
▍between the artsによるアートコレクターの展覧会第三弾、KONDO COLLECTION「我我」展を開催
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アート管理サブスクリプションサービス「美術倉庫」を運営する株式会社between the artsは、「美術倉庫」を利用するアートコレクターによる展覧会の第三弾として「我我(がが)」展を港区元麻布の「between the arts gallery」で開催する。アートコレクターであり茶人でもある近藤俊太郎のコレクションからセレクトされた作品を展示。山口歴、山本捷平、ラファエル・ローゼンダール、松下徹をはじめとしたコレクション作品を2フロアにわたって展示する。会期は9月4日〜9月20日。(between the arts)
海外の展覧会
▍ゲルハルト・リヒター、ハンガリーでは初の大規模個展。最新ドローイング作品も初公開。

ハンガリー国立美術館で、8月27日より、来年90歳を迎えるドイツ現代美術の巨匠、ゲルハルト・リヒターの大規模展覧会「Gerhard Richter. Truth in Semblance」が開幕した。ハンガリー国内外の公的・私的なコレクションから集められた、ゲルハルト・リヒターのあらゆる時代の作品、約80点(シリーズ作品を含むため、実際は約200点)が展示される。1960年代の象徴的なフォトペインティングから、彼が最もよく知られている色彩豊かな抽象作品、ペンシルドローイングまで多岐にわたっている。また、今回の展覧会のための特別なドローイング作品を制作し、初公開する。(ハンガリー国立美術館)
▍アンディ・ウォーホル美術館で、コレクション中のバスキアに関連する資料をほぼ全て展示する「Warhol and Basquiat In Focus」展。
ピッツバーグにあるアンディ・ウォーホル美術館で、1980年代にウォーホルと親交を深めたジャン=ミシェル・バスキアに関連する作品や資料を展示する「Warhol and Basquiat In Focus: Works from the Permanent Collection」を9月20日まで開催している。同館のコレクションの中から、バスキアに関連する資料をほぼすべて公開するのは初の試みだという。1987年にウォーホルが死去した後、彼のスタジオに残された写真、絵画、彫刻、記録資料などを展示し、1982年から1986年までの短いながらも活発な友情と仕事の関係を紹介している。(アンディ・ウォーホル美術館)
▍韓国での非公認バンクシー展、来場者から「本物のバンクシーが少ない」との苦情を受け、主催者が返金に応じる。

バンクシーの展覧会と言えば、現在、東京で「バンクシーって誰?」展、福岡では「バンクシー展 天才か反逆者か」が開催されており、いずれもバンクシー非公認ながら、個人コレクターの所有するオリジナル作品が公開されている。そんな中、韓国で開催中の「The Art of Banksy: Without Limits」展で、展示されている作品の大半が、バンクシーのオリジナル作品ではなく、複製であることに失望した来場者から非難の声が上がっているという。2016年より11カ国を巡回し、これまでに100万人以上の来場者を集めたと言われている展覧会だが、ソウル展では展示されている150点の作品のうち、オリジナルは27点のみであり、一方で、ほとんどの作品が複製であることは明記されていなかったという。主催者は、参加を希望しない人には払い戻しを行っているという。(artnet news)
▍流行の「没入型」展覧会、ゴッホの次はモネ?3社が競ってモネの没入体験型展覧会を開始。

国内では今年「巨大映像で迫る五大絵師」といった、スクリーンを使った没入型の展覧会が開催されているが、海外では印象派作品への「没入」体験がホットのようだ。ゴッホをテーマにした展覧会は2008年に始まり、2021年には5つの異なるゴッホの没入型展覧会が、全米で50近いスペースで開催されているという。そして、ゴッホに続き、今年は3つのモネの没入型展覧会が開催されているという。(artnet news)
国内でも、当初は2020年に印象派を代表する8名の画家の作品にフォーカスした没入型展覧会「Immersive Museum」が開催予定であった。(Covid-19影響で延期中) Covid-19収束後には、この流れは日本にも訪れるのだろうか?
アーティスト&作品
▍ダニエル・アーシャムの第二弾NFTプロジェクト始動
ダニエル・アーシャムは、自身のInstagramに動画を投稿。次のNFTデジタル彫刻を年内にリリースできるように開発している最中であることを発表した。映像の中では、洞窟の中に、ダニエル・アーシャムらしい朽ちたデジタル彫刻がたたずんでいる様子が紹介されている。ダニエル・アーシャムは今年5月に初のNFT作品を発表しており、そのデジタル彫刻作品は季節の移ろいに伴って崩壊していくコンセプトだった。今回はどのようなコンセプトの作品になるのだろうか。発売開始日などはまだ決まっておらず、「いつ完成するかによる」ようだ。
▍フェルメールの絵画に隠されたキューピッドの絵を復元。

ドイツのドレスデン国立美術館は2年前、フェルメールの《窓辺で手紙を読む女》に描かれながらも絵の具で塗りつぶされていたキューピッドを復元するため、大規模な修復を行った。フェルメールの名画に描かれていた上塗りが取り除かれ、寂しげな少女の背後の壁にキューピッドが描かれている様子を公開した。学者は、この絵は女性がラブレターを読んでいることを示していると考えている。修復された絵画は、今年9月にドイツの美術館「アルテ・マイスター絵画館」で初めて公開される予定だ。(ARTnews)
ファッション&カルチャー
▍ニューヨークのKAWS展「WHAT PARTY」で、5種類のオリジナルTシャツを追加。
現在、東京の「森アーツセンターギャラリー」でも大規模展覧会を開催中のKAWSだが、今年2月からブルックリン美術館で最大規模の展覧会「KAWS:WHAT PARTY」も開催している。会期終了まであと2週間ほどだが、ここで新たに展覧会にあわせたKAWSのTシャツ5種類を新発売。展覧会チケットを持っている観客に新しいデザインのTシャツを優先的に販売することを発表した。KAWSの作品 ≪URGE≫ をモチーフにした人気の展覧会Tシャツに、新たに4つのカラーバリエーションが加わる。
▍ユニクロが米国進出15周年を記念し、ソーホーのフラッグシップ・ショップをリニューアル。バスキア、ウォーホルらカスタマイズTシャツも。

ユニクロがアメリカに上陸し、ニューヨークのソーホーにアメリカ第1号店をオープンしてから15年となった。これを記念し、このフラッグシップ・ショップをリニューアル。ユニクロのグラフィックTシャツ・UTに特化したスペースもあり、週替わりで新商品が登場するほか、オリジナルのTシャツを作ることができるUTmeマシンが設置される。ソーホー店でカスタマイズステーションが用意されるのは今回が初めてであり、オープニングでは、ジャン=ミシェル・バスキア、アンディ・ウォーホル、キース・ヘリングの3人のアーティストを選び、その作品をTシャツにプリントできるようにしている。(WWD)
▍バーニーズ ニューヨーク、「バンクシーって誰?展」の開催を記念したウィンドウディスプレイを首都圏各店で展開。

バーニーズ ニューヨークは、東京の天王洲アイルで開催中の「バンクシーって誰?展」の開催を記念し、首都圏各店のウィンドウディスプレイを使った遊び心溢れるヴィジュアルディスプレイを展開することを発表した。現在展開中の銀座本店では、バーニーズ ジャパンの取締役・クリエイティブディレクターを務める谷口勝彦がデザインを担当し、バンクシー作品をモチーフとしたディスプレイが店内の至るところで展開され、バンクシーのさまざまな魅力が表現されているという。銀座本店を皮切りに、六本木店、横浜店、西武渋谷店と、約1ヶ月ごとに首都圏各店を巡回して、期間限定でウィンドウディスプレイを展開する予定とのことだ。
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文:ANDART編集部