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ゲルハルト・リヒター

ゲルハルト・リヒターの最も高額な作品とは?オークションレコードTOP3をご紹介

ゲルハルト・リヒターとは

画像引用:http://t1.gstatic.com/

ゲルハルト・リヒターは、1932年ドイツのドレスデン生まれ。2020年に88歳を迎えた現代アーティストである。世界で最も注目を集める重要な芸術家の1人であり、「ドイツ最高峰の画家」と呼ばれている。

1960年代から、フォトペインティングやカラーチャート、何層にも重ねた色が響きあう抽象画など、一貫して絵画の本質を追求しながら様々な試みに挑戦し続け、独自の作風を展開していった。「かつて画家は外に出てデッサンした。われわれはシャッターを押すだけ」と、1962年に新聞写真を基にした「机」という作品を発表して、写真をキャンバスに描き出すという独自のスタイルを生み出した。その後、精密に模写した写真のイメージを微妙にぼかす「フォト・ペインティング」や、カラーチップを配列した幾何学的な絵画「カラーチャート」、グレイのみで展開する「グレイ・ペインティング」、鮮烈な色を組み合わせる「アブストラクト・ペインティング」、スナップ写真の上に油彩やエナメルで描く「オーバー・ペインテッド・フォト」などがあり、現在に至るまで多彩な作品を展開。一人の画家としては異例なほどさまざまなスタイルを駆使し、一貫して「絵画の可能性」を追求している。

2022年にはポーラ美術館で「モネからリヒターへ-新収蔵作品を中心に」、さらに国立近代美術館にて大規模個展「ゲルハルト・リヒター展」が開催されることもあり、日本での人気にさらに火がつくことが予想される。

アートマーケットから見るゲルハルト・リヒター

昨年2021年に発表されたオークション市場ランキングでは、アーティストの総売上高は第5位で2.35億ドル (約273億円) 。2012年、ロンドンで開催されたサザビーズのオークションに、ギタリストのエリック・クラプトンが所有していた抽象絵画《Abstraktes Bild (809-4)》が出品された際には、約26億9000万円で落札され、当時生存中のアーティストの作品では史上最高額を記録。また、2020年にはサザビーズが香港で開催したオークションで、《Abstraktes Bild (649-2)》をポーラ美術館が約30億円で落札。アジアのオークションに出品された西洋のアーティストの作品として、当時の最高価格となった。

このように数々の功績を残し、”ドイツ最高峰の画家”とも呼ばれているリヒターだが、彼は自分の作品が過大評価されており、市場価値と芸術的価値は切り離すべきだと考えているという非常に謙虚な芸術家だ。

また、著名なアーティストは他のアーティストの作品をコレクションしていることも多いが、リヒターは「私は絵画を見るのが好きですが、作品を見るためには美術館に行きます。作品を購入する必要はありません」というように、アートコレクションについては興味がないようだ。同じ世界的なアーティストでありながら、ビジネスとしてアーティスト活動をし、数々のコレクションを所持しているダミアン・ハーストとは対照的な人物であると言える。

それでは、リヒターのオークション落札額TOP3の作品を見ていこう。

(落札価格は2022年1月31日のレートで計算。)

3位《Abstraktes Bild(809-4)》(1994)

落札価格:約33億円(21,321,250 GBP)

画像引用:https://www.sothebys.com/

リヒターの代表的な作風である「アブストラクト・ペインティング」シリーズのひとつ。2012年10月12日にサザビーズ・ロンドンにて約33億円(21,321,250 GBP)で落札された。「アブストラクト・ペインティング」シリーズとはリヒターの最も作品数の多いシリーズで、40年以上にわたって制作されてきた。スキージ(シルクスクリーンで使われるゴムベラ)やキッチンナイフなど、時代によって新たな画材を導入しながら、色彩や筆致といった絵画的な要素で画面を構成している。

2位《Domplatz, Mailand [Cathedral Square, Milan] 》(1968)

落札価格:約42億8,000万円(37,125,000 USD

画像引用:https://www.gerhard-richter.com/

290cm×275cmの大型のキャンバスに描かれた写実画が2013年5月14日サザビーズ・ニューヨークにて約42億8,000万円(37,125,000 USD)で落札された。これは当時生存するアーティストのうち最高落札額であり、それまでリヒター自身で保持していた現存アーティストの最高落札価格を自己更新する結果となった。たくさんの絵の具を使い、鮮やかな抽象画の印象が強いリヒターだが、本作はモノクロの作品で、ピントがボケたような白黒写真を彷彿とさせる「フォトペインティング」シリーズのひとつ。

1位《Abstraktes bild(599)》(1986) 

落札価格:約47億円(30,389,000 GBP

画像引用:https://www.sothebys.com/

本作もリヒターの代表的な「アブストラクト・ペインティング」シリーズのひとつ。2015年2月10日サザビーズ・ロンドンにて30,389,000 GBPで落札された。リヒターの作品の中には同タイトルの作品がいくつかあるが、本作には裏面に599の番号が記されている。

ANDARTでは本作と同じく「アブストラクト・ペインティング」シリーズの《Abstraktes Bild (P1)》を取り扱っているのでこちらも合わせてぜひチェックしていただきたい。

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文章:ANDART編集部