
今年1番高額落札されたアートは何?2021年オークション落札額ランキング
2021年はアート需要も増加し、大手オークションハウスでも続々と華々しい結果を叩き出した。本記事では2021年にオークションで落札された落札額上位5作品を紹介する。
落札価格は手数料込み。当時のレートを参考に計算。
5)アルベルト・ジャコメッティ《Le Nez》
落札価格:約89億4,757万円(78,396,000 USD)

日本でも2017年に国立新美術館開館10周年を記念して開催された「ジャコメッティ展」によって人気が高いアルベルト・ジャコメッティはスイスに生まれ、フランスで活躍した20世紀ヨーロッパにおける重要な彫刻家のひとり。本作は2021年11月15日に開催されたサザビーズ(NY)「The Macklowe Collection」で落札された。本オークションではニューヨークの不動産開発者および投資家であるハリー&リンダ・マックロー夫妻のコレクションが出品され、サザビーズ史上過去最高の落札総額を記録。今年の全オークションハウスを含む落札額ランキングでも5位の本作と後述の4位の作品が落札された。
予想落札価格:79億8,931万円〜102億7,197万円(70,000,000 – 90,000,000 USD)
4)マーク・ロスコ《No. 7》
落札価格:約94億1,238万円(82,468,500 USD)

前述の5位作品と同オークションで落札された作品。マーク・ロスコはロシア系ユダヤ人のアメリカの画家で、抽象表現主義の代表的な作家のひとり。はっきりとした線や点などのモチーフを描かず、キャンバス上に滲んだように色をのせる「カラーフィールド・ペインティング」という表現方法が彼の作品の特徴。
予想落札価格:79億8,931万円〜102億7,197万円(70,000,000 – 90,000,000 USD)
3)サンドロ・ボッティチェッリ《Portrait of a young man holding a roundel》
落札価格:約96億1,396万円(92,184,000 USD)

2021年1月28日にサザビーズ(NY)で開催された「Master Paintings & Sculpture Part I」オークションにて落札された作品。サンドロ・ボッティチェッリは、ルネサンス期のイタリアのフィレンツェ生まれの画家。代表作には女神ヴィーナスが貝殻に乗って海から誕生した様子を描く《ヴィーナスの誕生》や神話の世界を描き「世界で最も有名な絵画作品のひとつ」とも言われる《プリマヴェーラ》などがある。ボッティチェリのこれまでのオークションレコードは2013年の1,040万ドルだったが、この作品でオークションにおける過去最高額を更新した。
予想落札価格:非公開
2)ジャン=ミシェル・バスキア《In This Case》
落札価格:約101億2,191万円(93,105,000 USD)

2021年5月11日にクリスティーズ(NY)のライブオークションで行われた「21st Century Evening Sale」にて落札された本作は、バスキアのメインモチーフである「頭蓋骨」と印象深い赤色が感情を揺さぶられるような作品。本作はバスキアのオークションレコード第2位の落札価格となった。ちなみにバスキアのオークションレコード1位の作品は前澤友作氏が2017年に約123億円で落札した作品である。
予想落札価格:非公開
1)パブロ・ピカソ《Femme assise près d’une fenêtre (Marie-Thérèse)》
落札価格:約113億2,505万円(103,410,000 USD)

2021年5月13日にクリスティーズ(NY)で開催されたライブオークション「20th Century Evening Sale」にて落札された本作は、2021年に落札されたアート作品の中では落札額1位、ピカソのオークションレコード第5位となった。タイトルは「窓辺に座る女」という意味で、モチーフの女性はピカソの愛人だという。ちなみに、ピカソのオークションレコード1位の作品は、2015年に落札された≪アルジェの女たち(バージョンO)≫で、1億7,940万ドル(約215億円)。
予想落札価格:非公開
大手オークションハウスが記録を更新
今年はアート需要の増加や、コロナ禍を経て各オークションハウスのオンライン化が進んだことも助け、大手オークションハウスでは落札総額の新記録を次々と叩き出した。
2021年11月17日にフィリップス(NY)で開催された「20世紀&コンテンポラリーアートイブニングセール」では、1億3,910万ドル(約158億8,300万円)売上を達成。フィリップス社創業史上最高のオークション売上総額となった。さらにサザビーズでも前述の通り「The Macklowe Collection」で約6億7,610万ドル(約776億6,400万円)の落札総額を記録。サザビーズ社過去最高額の結果となった。
2021年3月12日にはクリスティーズ社史上初めて出品されたBeepleのNFTに基づいたデジタルアート作品《Everydays – The First 5000 Days》が約6,935万ドル(約75億円)で落札され、現存アーティストのオークション記録第3位、デジタルアート作品の過去最高額となった。
新オークションハウス誕生も
2021年夏には東京都原宿を拠点に新たなアートオークションハウス「NEW AUCTION」が発足した。本オークションでは売上金の一部をアーティストに還元する国内初となる「アーティスト還元金制度」の導入など、新しい試みにも挑戦している。
第1回目のオークションの下見会展示と落札結果は下の記事からチェック↓
ANDARTでは、オークション速報やアートニュースをメルマガでも配信中。無料で最新のアートニュースをキャッチアップできます。この機会にどうぞご登録下さい。


文章:ANDART編集部