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アーティストインタビュー

シンプルさの中に唯一無二の個性 YOUANDARTアーティスト・わかるインタビュー

YOUANDARTで作品を取り扱っているアーティストにANDART編集部が深掘りするインタビュー企画。今回はイラストレーターのわかるを取り上げます。作品のこだわりや制作の裏話まで、ざっくばらんにお話しいただきました。

【わかるのプロフィール】

イラストレーター。1991年生まれ。シンプルな線でニコニコした顔のイラストが特徴。広告、書籍、雑誌、Web媒体のイラストレーションの制作を中心に活動している。LINEスタンプも販売中。

わかる公式サイト:https://www.wakaranaii.com/
Twitter:https://twitter.com/wakarana_i
Instagram:https://www.instagram.com/wakarana_i2/

はじめに、わかるさんがイラストレーターの道に進んだきっかけを教えてください。

2015年頃からTwitterにイラストの投稿を始め、そのイラストをまとめた書籍を2017年に出したことがきっかけです。

Twitterの投稿は、結婚を機に勤めていた医療系の仕事を退職した時期に始めました。時間ができたから、ということもあるのですが、一番の大きな理由は引っ越しなどが重なり、社会との接点がかなり希薄になって寂しかったからだと思います。ストレス発散のような感じかもしれません。

Twitterに投稿する前から、イラストを描くことはお好きだったんでしょうか?

そうですね。小学生のときから絵を描くことが好きで、アートスクールにも楽しく通っていました。学生の頃は、友人の誕生日に似顔絵を描いて渡したりしていました。

では現在のわかるさんが、描く際に大切にされていることとは?

見る人に少し笑ってもらえたら嬉しいな、と思って描いています。

画像提供:わかる

「少し」というところがポイントですね。

あ、たくさん笑ってもらった方がいいですよね(笑)

いえいえ(笑) クスッと笑えるから、ほっこりして癒されるのだと思います。わかるさんの表現にフィットするのが「少し」なのでしょうか?

そうですね。見てくださる方にも生活があるので。少しでも寄り添えたら嬉しいです。それが「少し笑ってもらえたら」ということかな、と思います。

現在、わかるさんは書籍や雑誌、Webのイラストレーションから、LINE スタンプ、グッズ制作、アクリルやドローイングの手描き原画まで、幅広く制作されています。心がけていることや、やりがいを感じる瞬間について教えてください。

依頼してくれた人、求めてくれる人、使ってくれる人に楽しんでもらえるような作品をつくろうと心がけています。また求められていることと、わたしの表現したいことのバランスを考えて、1つの作品を作っていきたいと考えていますね。クライアントワークで、担当者の方に完成したものをメールで送るときや、SNSに投稿するときはいつも緊張しますが。

やりがいを感じるときは…、感想をもらえると嬉しいです。

画像提供:わかる

わかるさんが、ご自身の作品を見る方を想像して、作品づくりをしていることが伝わってきました。Twitterの投稿を始められたきっかけに「寂しい」気持ちがあったことも先ほど伺いましたが、わかるさんにとって、作品はコミュニケーションツールのひとつでもあるのでしょうか?

たしかにそうかもしれません。LINEスタンプをたくさんの人に使っていただいているのですが、私の使っているコミュニケーションツールを、たくさんの人に利用してもらえた、という感覚があります。

ファンとのやり取りで何か思い出に残っていることはありますか?

私のLINEスタンプは、割と学生の方が多く使ってくださっています。その中で原画の展示に来てくださった方がいて、「今はまだ学生なので無理ですけど、大人になったらキャンバスの作品を買いたいです」と言ってくださったことを覚えています。これからもたくさん描き続けたいと思いました。

幅広く制作をされつつ、限りなくシンプルな作風です。でも見ればわかるさんの作品だと分かる。その唯一性はどこから生まれるのかが気になるのですが、普段はどんな作品から刺激を受けているのでしょうか?

本とか展示を見たりいろいろですが、Instagramで作家さんの作品を見ることが多いですね。

では、描くときにこだわっていることとは?

シンプルになるべく少ない線で表現したいと考えています。いい線が描けたときはとても嬉しいですね。アクリルでキャンバスに描くときは、色を塗ってから主線を引くのですが、色を塗っているときも線を描くことが楽しみで、ワクワクしています。

いい線…、アウトラインにもしっくりする線があるのでしょうか?

そうですね。今はiPadだったりデジタルのツールを使った作品も多いのですが、以前は紙にペンで何回も何回も線を引いて、(納得のいく線が描けるまで)描いていました。あと、私のイラストは他の人よりも少し線が太めだと思うのですが、描いていてピッタリだな、と思う線の太さがあるんです。

画像提供:わかる

ニコニコしたキャラクターはわかるさんの代表作ですが、“ニコニコ”を描くきっかけになった作品などはありますか?

絵描きあるあるなんでしょうか。作品を描いていると「描きたい顔」と「描いているときの自分の顔」が、似てくることがあるそうです。それなら、ニコニコした顔を描いていれば、自分もニコニコして暮らせるかなと思って、“ニコニコ”を描くことが多くなった気がします。

あと学生時代に描いた、友人の似顔絵もニコニコしていた気がします。当時はとくに意識していなかったですが。

似顔絵にもわかるさんが思う、描きたい表情があるのでしょうか。

なんとなくですが、友達の顔を思い出すときに笑顔が思い浮かぶからかな、と思います。

ご友人の似顔絵がニコニコしたイラストのベースになっている可能性もありそうですね。

多分そうだと思います。

画像提供:わかる

以前、似顔絵を描くイベントも開催されていますが、シンプルな線で似せていくのは難しそうなイメージがあります。何かポイントはあるのでしょうか。

いつも描いているニコニコの絵と似顔絵にはひとつ違うところがあって…。似顔絵には眉毛があるんです。

そういえば、普段のイラストには眉毛がないですね…!

なぜか眉毛を描かないとモデルに似ないんです。眉毛はその人の特徴が出るパーツですね。

なぜ、普段のイラストには眉毛が入っていないのでしょうか?

描かない方が線が少ないですし、そちらの方がしっくりくるんです。

アクリル絵の具で描く作品も制作されています。YOUANDARTに出品していただいているキャンバスの作品には、側面まで描かれたものがありますが、こうした手描きの作品でこだわっている点を教えてください。

キャンバス作品はたくさんの人に向けて描くというより、誰かひとりの人に気に入ってもらえるように描いています。

わたしは側面も描いた作品も制作しているのですが、それは「背の低い子供には、キャンバスの側面の白い部分ばかり見えているんじゃないかな?」と思ったからです。小さい子供でも絵が見える ように、実験的に何作品か描きました。

画像提供:わかる

わかるさんの作品を見たお子さんは、どんな反応をされますか?

今、子供が保育園に行っている間に絵を描いていることが多いのですが、帰ってきて作品を見ると「かいたの? かわいいじゃん」とか言ってくれたりしますね。

子供ができると生活が一変するといいますが、他にもお子さんからインスピレーションを受けた作品はありますか?

「Small person」というシリーズがあります。それは子供が産まれてから描き始めました。サンドウィッチやティッシュの箱と比べて、人が小さくなっているシリーズです。彼にとっては、いろいろなものがものすごく大きく見えているんだろうなと思って。

画像提供:わかる

お子さんの視点が新たに加わったことで生まれた作品だったんですね。では最後に、わかるさんの作品を手に取る方やファンの方にメッセージをお願いします。

作品を見て少しでも楽しい気持ちになってもらえたらと思って描いています。でも、自由に見てください。何かを感じてもらえるだけで嬉しいです。

YOUANDART作品情報

家に飾れるアート作品を扱うオンラインセレクトストア「YOUANDART(ユーアンドアート)」では、暮らしと見る人に寄り添うわかるの作品を取り扱っています。この機会にぜひご覧ください。

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取材・文/ 石水典子