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アーティストインタビュー

YOUANDART アーティスト・Joji Shimamotoインタビュー

YOUANDARTで作品を取り扱いしているアーティストに様々なお話を伺うインタビュー企画。今回は写真家であるJoji Shimamotoをピックアップし、アーティストを志したきっかけや作品に込める想いなどをお話しいただきました。ぜひ最後までご覧ください!

Joji Shimamotoのプロフィール

画像提供:Joji Shimamoto

Joji Shimamoto

Photographer / Creative Director

嶋本 丈士

【Profile】

1983年生まれ。千葉県出身。

写真家、クリエイティブディレクター、ロマンチスト。OJAI, CALIFORNIAの高校で写真部に入り暗室で青春時代を過ごす。2007年ACADEMY OF ART UNIVERSITY, SAN FRANCISCO, CA 写真科卒業。在米中にアメリカで数々の写真展を、企画開催する。2008 年に帰国後は新宿のTHE ART COMPLEX CENTER OF TOKYOで大規模な写真展を開催。STUDIO VOICEの別冊として発行された「日本の100人の写真家」 にも選ばれる。ラフォーレ原宿やBLUE NOTE TOKYOでの写真展示、 BASEMENT GINZAでの個展、ニューヨークで開催されたNEW CITY ART FAIRのメインイメージ写真に使われる等、自身のアート活動も 精力的にこなす。 2014年に麹町でアートイベント#BCTIONを主催。ビル一棟を美術館に変貌させ、約2週間の開催期間で来場者1万3千人を記録した。また2018年春には、 渋谷に新しく誕生したMAGNET BY SHIBUYA109の施設内の壁画を プロデュース。Joji Shimamotoの作品はその場の匂いや、音、湿気までも感じさ せる。まるでLPレコードの針のノイズのように、安らぎと懐かしさ を感じさせてくれる。また一瞬を切り取った写真は、前後のストーリーが映画のように想像できる。観る者の感性が呼び覚まされる、希有なフォトグラファーである。

Joji Shimamoto公式サイト

アーティストを志したきっかけはなんですか?

中学生の頃から使い捨てカメラで撮った写真が賞を取ったりなど、カメラに親しんだ青年期を送っていました。もともと日本が性に合わなかったこともあり、アメリカ・カルフォルニアのOJAI(オーハイ)という高校に留学して、そこで本格的に写真を始めました。

その学校は個性を伸ばすような校風で、才能を持つ生徒にはひたすらその生徒の得意なことをやらせてくれたので、在校中は、寮の部屋から徒歩5分のところにある暗室にずっと通っていました。

その学校では卒業の際に好きなことをプレゼンテーションをする慣例があったのですが、そこで写真のスライドショーを発表した時、先生の一人が僕の写真を見て泣いてくれたんです。スライドショーの中に、みんなから慕われてたけど学校を退学になった生徒のポートレートがあって、それを見て感動したんじゃないかな。その時、写真には人の心を動かす力があるんだと気づいて、写真家としてやっていこうと思いました。

画像引用:https://www.jojishimamoto.com/

最初の頃は、自分はフォトグラファーであって「アーティスト」ではないと思っていました。写真は空間を切り取る作業で、ゼロから何かを作り出すものじゃないから。でも、何年もフォトグラファーとして活動していくうちに写真を通じて自分を表現していたり、写真展で空間をゼロから作っている自分に気づいて、今はアーティストとして名乗っています。

自分の写真を通して人を感動させることができたり、ポジティブな影響を周りに与えることができることがアーティストとして頑張れる僕の原動力です。

影響を受けたアーティストは誰ですか?

10代の頃は、尾崎豊のポートレートが好きで、それから白黒写真のかっこよさに気が付きました。

撮影ばっかりしてて昔から他の写真家を見ていなかったので、実はあんまり影響を受けた人はいないです。むしろ他人の写真に影響を受けないようにもしていて、写真集もあんまり持っていません。昔から自分の写真を見るのが一番好きですね。強いて言うなら、最近森山大道のドキュメンタリー映画を見て、80歳過ぎても活動している姿に感銘を受けました。

音楽で言うと「DJ KRUSH」の音楽に影響を受けています。彼の音の世界観がすごく好きです。音楽と写真の世界観をマッチさせるような撮影はよく行っています。今回ボンジュールレコードから出した「All I Need」のコラボレーションアイテムは、音楽を聴きながらペインターのOnezkerさんが僕の写真の上に歌詞を書いてくれました。音楽を聴きながらこの写真を眺めると、不思議な気持ちになります。

画像引用:https://www.bonjour.jp/
フランスのバンド「Air(エール)」の90年代の名曲「All I Need」からインスパイアされ、Joji Shimamotoが撮影した写真にグラフィティアーティストのOnezkerが歌詞から引用したワードを描いたコラボレーション作品。
ボンジュールレコード「All I Need」公式サイト

作品づくりをおこなう上で、大切にされていることやいつも心がけていることはどんなことですか?

朝起きて、そこに作品があることで家の雰囲気が変わるだとか、何かその人の人生に良い影響を与えられたらいいなと思って作品をセレクトしています。それにその時の心情によって、セレクトする写真も変わってくるし、自分が納得したものを世に出すようにしています。

画像引用:https://www.jojishimamoto.com/

あと、必ずしも嬉しい時に良い撮影ができるわけじゃないと思っているので、悲しい時もシャッターを押すようにしています。自分の心を写真に写すことを心がけています。遊びに行った延長に良い写真が撮れるかもしれないし、いつ良い瞬間が訪れるか分からないので、逃さないようにできるだけカメラを持ち歩くようにしています。気を張らずに撮りたいものを撮るようにしていますね。

撮影の際に苦労されていることはありますか?

自分の好きなものを作っているので、苦労はあまりしていないのかもしれません。自分が大変な時こそいい写真が撮れたりするので、その苦労すら写真に反映させています。あえて言うなら常にカメラを持ち歩いているから、重くて腰が痛いことですかね(笑)。コンパクトカメラ一台だけ持って行くこともあるけど、海外撮影の時とかは一眼レフや、スケートボードの撮影の時とかはストロボも持ち歩かなきゃいけないのでかなり重いです。

画像引用:https://www.jojishimamoto.com/

イメージしたものそれが形になることが楽しいから、苦労しているという感覚はあんまりないです。今はiPhoneでなんでもすぐ撮れてしまうから、常に良い瞬間を逃すまいと探していることもあるけど、それは職業病みたいなものですね。まだ苦労を感じていないのかもしれません。

あとはコロナ禍で海外にいけないことは苦しいです。コロナ前は、日本人のスケーターに同行してヨーロッパの世界大会を回って撮影をしたりもしていました。昔の師匠に「自分をアーティストだと思うなら、常に旅をし続けなさい。」と言われたことがあって、新しい環境に身を置くことで、新しい経験をして常にフレッシュな自分で居続けたいと思っていますが、コロナ禍でそれができないのは辛いです。人が集まるところにも行けないから、去年は花とかばっかり撮ってました。

画像引用:https://www.jojishimamoto.com/

Joji Shimamotoさんの作品は作品によって印象がガラッと変わるイメージですが、意識的に作風を変えているのですか?

根本的なスタイルは同じなんですが、なんでも撮るので被写体が多いなと自分でも思います。人によっては被写体を絞った方がいいっていう意見もあるんですけど、良いものがあれば全部撮りたいので絞れないです。人物しか撮らないカメラマンもいるけど、綺麗な夕日がそこにあったら撮らないの?って思います。自分の周りで起きてることは全部撮りたいと思っていて、それは自分にしかできない経験だからそこにオリジナリティを見出しています。

画像引用:https://www.jojishimamoto.com/

被写体が多いことは、スケートボードも関係しています。自分はスケートボードのカルチャーが背景にあるから、海外に行ってもスケートボードっていうツールを持つもの同士で一気に距離が縮まることがあるんです。そうすると、観光客が行けないようなコアなところに連れて行ってもらえたり、普通の人が見ることができない景色にめぐりあわせてくれることもあります。スケーターはみんな楽しいことが好きだから、彼らと一緒にいると面白い写真が撮れるんです。年齢関係なく若い世代や上の世代とも仲良くなれるし、彼らとフラットに付き合うことで自分の世界が広がることも、被写体が多いことにつながっているのかもしれないです。

Joji Shimamotoさんプロデュースのアートプロジェクト「#BCTION」を始めた経緯やきっかけはなんですか?

「#BCTION」とは 都市のデッドスペースの新たな価値付けを目標にしたアートプロジェクト。過去には麹町の廃ビル全9フロアにアートペインティングを施したり、渋谷の「MAGNET by SHIBUYA109」の屋上や階段ギャラリーを手がけている。
画像引用:http://bction.com/

海外では、部屋にアートを飾る習慣も当たり前にあるし、街中に壁画があったりと無意識的にアートが視覚に入ってくる環境があります。それに対して、日本は広告とか「何かを消費させるメッセージ」が多くて、日本にも海外のように表現する場、アートに出会える場が欲しいと思って始めたプロジェクトが「#BCTION」です。「MAGNET by SHIBUYA109」の階段の壁画も、目的を持って作品を見に来るのではなくて、普段エレベーターを使うところを階段に迷い込んできた人たちが、街中の絵画と同じように偶発的に壁画に出会うという環境を作り出したかったんです。

「#BCTION」の参加アーティストのペインター達はほとんど知り合いなんですけど、過去にグループショーをやった時にいろんなジャンルの作品がある方が偶発的な出会いが生まれていいなと思ったので、他ジャンルのアーティストと関わる機会が増えていきました。今後は写真の制作にも集中しつつ、他ジャンルとのコラボレーションとか、いろんなアーティストが集まって制作を行うスタジオとか、表現者が表現できる場を作れたらいいと思います。

Joji Shimamotoさんの作品を手にとっていただいた方、またファンの方には、作品を通してどんなメッセージを受けとってほしいですか?

画像引用:https://www.jojishimamoto.com/

写真は映像のように起承転結がないから、その中には無限のストーリーがあると思っているので、静止画ゆえの永遠を感じて欲しいです。見る人によっては1枚の写真を1時間見続けられたり、その時の心情によっても見え方が変わってきたりもすると思うし、写真を見ていろんなストーリーを感じてもらって、それがその人の人生に良い影響を与えることができたら撮影した甲斐があると思います。写真は自分の経験がベースだから、作品を通して自分の経験をシェアしている部分もあるので、自分の写真を見て写真家になろうと思ったとか、1枚の写真が人の人生を変えちゃう程の影響を与えられた時には、やっぱり嬉しいです。自分が存在しなければその人の人生は全く違うものになっていたこともあるだろうし。

あと、部屋の中に作品を飾っていただいて、その人の部屋の雰囲気が明るくなったとか、その人が素敵な気分で過ごせるようになったとか、それだけでも嬉しいです。日本はアートの楽しみ方がわからないと言う人が多いけど、学生の頃好きな映画のポスターを貼っていたのと同じ感覚で楽しんで欲しいです。やっぱり子供の頃から家にアート作品が飾ってあると感性が豊かになるし、例えば自分のヨーロッパの写真を見て育った子供がヨーロッパに対して憧れを抱くようになったら嬉しいです。時計みたいに、アートもセンスとか意志とかお金じゃない財産として後世に受け継がれたらいいですよね。

Joji Shimamoto展示情報

画像提供:Joji Shimamoto

2021年9月1日より福岡の岩田屋本店にある「Gallery CONTAINER(ギャラリー・コンテナ)」にてJoji Shimamotoの個展「Roman  The Photography of Joji Shimamoto」が開催される予定です。この個展に合わせてRGB Photo Book seriesの新作《BLUE》も制作中なのだそうです。そちらも是非足をお運びください!

岩田屋本店公式サイト

YOUANDART作品情報

家に飾れるアート作品を扱うオンラインセレクトストア「YOUANDART(ユーアンドアート)」では、Joji Shimamotoの作品を取り扱っています。この機会にぜひご覧ください。

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