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アーティストインタビュー

YOUANDART アーティスト・塩見真由インタビュー《前編》

今回は、YOUANDARTでお取り扱いしている作品をANDART編集部が深掘りするインタビュー企画をお届けいたします。今回は企画の第一弾として、アーティストの塩見真由をご紹介したいと思います。

今回は前編として、アーティストになることを決めたきっかけやこれまで影響を受けたことなど、ご本人のバックグラウンドに迫るお話をお伺いしました。ぜひ最後までご覧ください。

アーティスト・塩見真由とは?

塩見真由は東京を拠点に活動をするアーティスト。いつも新しいカルチャーを発信する渋谷で生まれ育ったこともあり、音楽やファッションから刺激、中でもパンクロックカルチャーからは大きな影響を受けています。そんな“大衆のスピリット”が作品にも反映されているのが特徴。

作品のスタイルは、伝統的な塑造の技法による彫刻からドローイング、ペインティング、そしてインスタレーションまで幅広く、空き缶やぬいぐるみ、サンタクロースやラジオ、パンクロックにアニメ、様々なモチーフや素材を使い、大胆さの中にもユーモアが感じられる作品を、数多く生み出しています。

そんな塩見真由が、”PUNKUMA”(パンクマ)シリーズの最新作を発表。YOUANDARTでも本日、6月16日より作品の販売がスタートしました

アーティスト・塩見真由の魅力を1問1答で深掘り

ANDART編集部:
まず、最初に塩見さんのアートとの出会いについてお伺いしたいと思います。小さい頃からアートが好きだったのですか。またそういう中で、印象に残っている出来事があれば教えてください。

塩見真由:
小さい頃から絵を描くことは好きでした。『スノーマン』という色鉛筆で描かれた絵本が好きで、模写をしていましたね。イギリスの作家、レイモンド・ブリッグズの作品なんですけど、アニメーションも最高です。それから自分で描いた絵に文章をつけて、絵本をつくった記憶もあります。工作も好きで、空箱の小さな空間にパーティールームをつくってみたり、セラミックでマリリン・モンローをつくったり、ものを作って遊ぶのが好きでした。これは今でもお気に入りの作品の一つですね。


ANDART編集部:
そうだったのですね。絵を描くだけではなく、文章を書いたり立体をつくったりと、スタイルも素材もさまざまですよね。塩見さんの現在の表現に繋がっているような部分や、好奇心が旺盛な様子がよく伝わってきます。そういう幼少期を経て、専門学校では油画を学ばれ、その後は大学から大学院と、彫刻を選考されていますよね。油絵から彫刻にいかれたきっかけは、何だったのでしょう?

塩見真由:
大学は油画を勉強しようと思ったんですけど当時も油画は倍率が非常に高く、びっくりするくらい絵がうまい人いっぱいいるし、絵具に道具もたくさん必要だしとても入れる気がしないと…(笑)。そこで、他の選択肢として彫刻を調べてみたらシンプルに「手と粘土だけで、創作ができる」ということがわかって、これはいい!と思って決めました。彫刻でも絵は描くんです。特に大きな立体をつくる前には、空間丸ごと設計図なるものが必要になってくるので。結果的にはどちらもできて、めでたしめでたし(笑)。お世話になった多くの先生方に「彫刻も絵も、どちらもやっていけばいい」とご指導いただ いたことは大きかったですね。

ANDART編集部:
彫刻を専門で学ばれながらも、絵の基礎が創作にしっかりと生かされている。塩見さんの作品から力強さやエネルギーを感じるのは、やはりそういった技法の凝縮といいますか、ご自身のバックグラウンドから生まれてくるものなのかな、と感じました。

そういえば、塩見さんは渋谷がご出身なんですよね。そういった独自のカルチャーの中で育った影響がご自身の作品に表れている部分も大きいと思うのですが、その辺りの、カルチャー的なバックグラウンドについても、ぜひお伺いできますか。

塩見真由:
はい、生まれ育ったのは、東京・渋谷です。その界隈でプラプラと過ごしていて、とくに音楽、パンクロックの世界にハマってしまいました。生まれ育った環境とパンクからの影響はやっぱり大きいのかな、と思います。


ANDART編集部
塩見さんの創作活動とメッセージには、一貫して「大衆性」というテーマがあると思うのですが、そういう意味では、カルチャーはその時代や空気を表すものーーこれも大衆性ですし、パンクもまさに大衆というところとダイレクトにつながると思うのですが。塩見さんが考える「大衆」とは、ずばり何でしょう?

塩見真由:
一言でいうと、“エネルギー”ですよね。ものすごく心に迫ってきて、そこから溢れ出るように伝わってくる何か。それは「生命力」という言葉に置き換えてもいいかもしれません。私自身がどうしようもなく惹かれてしまうのは、作品から伝わってくるある種のエネルギーの塊、みたいなものだったりするんです。

そうそう私、バスキアの大ファンなんです!今から8年前だったと思うんですけど、展示でNYに行った時にバスキアの大回顧展を見て、そういうことをものすごく感じて衝撃を受けたんですよね。バスキアの大作を前にした時に、「これはもう絵じゃない」と思ったんです。「命を見てしまった!」みたいな。ものすごいリアリティというか、言葉にならない感動がそこにあった。アートの世界には本当にいろいろな表現やスタイルがあって、私は脳みそのエネルギーを総動員する、コンセプチュアルアートも好きなんですけど。

私もどんな方法であれそのエネルギーみたいなものを、いつも作品を通じて変換できたらないいなと思っています。私はパンクが好きなので、大衆のスピリットなるものを表現する時に「パンク」という言葉をたまたま使ってますけど、必ずしもパンクである必要は全然ないと思っています。また音楽の話になってしまいますが(笑)。そういう意味では、ブルースやジャズも、まさにエネルギーの塊ですよね。そしてそこに共通しているのは、「嘘じゃない」ということだと思うんです。「このアーティストは本当にこういうことを思ってるんだろうな」ということが、ストレートに伝わってくる。だから作品からは、アーティストの生き方やエネルギーがリアルに伝わってくるということが、私は表現をする上で重要な要素かなと思っています。そういうふうに感じてもらうことで、耳を傾けてもらえたり誰かの人生に参加できたらいいな、と思っていますね。

ANDART編集部:
とても貴重なエピソードをありがとうございます!ちなみに、バスキアがお好きということでしたが、その他に好きなアーティストや、影響を受けた方などはいらっしゃいますか?

塩見真由:
そうですね。1960年代のアメリカのポップアートは、ウォーホールジャスパー・ジョーンズも好きですし、サラ・ルーカス、イギリスのヤングブリティッシュアーティスト(YBA)の作家からも色々影響を受けていると思います。ちなみに「彫刻をやるぞ!」と思った一番のきっかけは、ジョージ・シーガルを知った時!この作家は、人体を石膏で直接型を取って彫刻をつくるんですが、型取りなので中身は空っぽなんですけど、物質以上の空虚な感じが当時の自分にはピンときて、すごく新鮮に感じられたんですよね。もう一人、クレス・オルデンバーグからも影響を受けました。重力を逆手に取って味方にしている作品や、視覚的にもインパクトのあるダイナミックな作品をつくっているアーティストです。

私は、東京造形大学で彫刻を学んだのですが、三木俊治先生や舟越桂先生、その世界の巨匠といわれる先生方から直接学べる環境にいて、その時に彫刻のイロハを叩き込まれました。なので、大学時代にそういう彫刻の基礎の部分をしっかり学べたことは自分の土台であって、現在の創作活動を支えてくれるものだと思っています。

ANDART編集部:
お話を伺っていて、塩見さんの作品から感じとっていたものがパンクだけでなく、ポップアートだったり、そういう時代の空気みたいなものをリアルに体感されてきた方なんだなと、ここで改めてつながった感覚があります。

塩見真由:
そうそう、言い忘れていたんですけど。私にとって重要な方がいらっしゃいました。奈良美智さん!大尊敬する方の一人です。

ANDART編集部:
そうなんですね!どんなきっかけだったのでしょう?

塩見真由:
アルバムのアートワークや本の装丁やアルバムのアートワークや、アルバムのアートワーク…(笑)。ものを知らない私がイメージできる画家といえば、ピカソやマティスといった西洋モダンの巨匠で。でもピカソやマティスはあまりにも遠い、途方もない存在にしか思えずリアリティがなかったんです。奈良さんというスーパーアーティストの存在を知って、希望がもてました。

絵画はそれはもう、彫刻にインスタレーションに陶芸に写真、文章も、何をやっても本当に魅力的で凄い。大学院在籍時、尊敬するアーティストでもある森北伸先生の研究室でご指導の元、奈良さんの制作の小さなお手伝いをさせていただいたことは貴重な経験です。

後編に続く

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