
【インスタライブ】著名人をモチーフにした抽象画を描く、アーティストneuronoaにインタビュー
11月30日(火)20:00〜ANDARTインスタグラムアカウントにてインスタライブを行いました。初回となる今回のゲストはアーティストのneuronoaさんです。この記事では、インスタライブの模様をご紹介いたします!
こんにちは!ANDARTです。
今回は、ANDART インスタライブ企画として第1回アーティストインタビューを行います。アーティストを招いて、ANDARTで運営しているアート作品のオンラインストアYOUANDARTでお取り扱いさせていただいているneuronoaさんをお招きして、インタビューをさせていただきます!
neuronoaさんは匿名で活動しているため、今回は代理のスタッフの方に出ていただきます。

ーーそれはマスクを被ってるんですか?
はい、そうです。匿名性を徹底しているので、私もマスクで顔を隠させて頂きます。
匿名の理由、名前の由来とは?
ーーneuronoaさんのプロフィールを簡単に教えてください。
名前は「neuronoa(ニューロノア)」といいます。
ご紹介頂いたように、neuronoaは匿名で活動しているため、私が今回、代理で出演させていただいています。
ーー国籍や年齢や性別も公表していないんですね?
はい、そうです。
ーー匿名で活動しているのはどういった理由なんでしょうか?
主な理由は、作品自体にフォーカスして欲しいということだそうです。
「作品以外の情報は妨げになってしまう」という想いで、匿名で活動しているようです。また、アーティストとしての本質は、作品を制作して何かを感じてもらう事で、そもそも個人で活動しているのか、複数で活動しているのか、極端に言うと生きているのか、死んでいるのかも、そこまで重要ではないと思っているようです。
ーーneuronoaという名前には何か意味があるんでしょうか?
はい、neuronoaが一番大切にしていることは、日々の暮らしの中で感じる豊かな瞬間だそうです。そして、脳の神経細胞には、情報を伝達する「ニューロン」という細胞があるんですけど、その細胞のように、neuronoaの作品を通して、豊かな瞬間が、世界中に広まればいいな、という想いでつけた名前だそうです。
ジャクソン・ポロックに影響を受け、自由に絵を描くように
ーーneuronoaさんの経歴を教えてください。
経歴としては、世界各地を放浪しながら、音楽やデザインや映像などを制作するクリエイターとして活動をしていたそうです。
ーーどのあたりを放浪していたんですか?
アメリカやヨーロッパ、アジアを中心に、約30カ国以上を放浪していたそうです。
ーーなぜ放浪していたんでしょうか?
もともと社会の仕組みに、とても違和感を感じていたみたいで、単純にそういったことから逃げたかったと言っています。
あとは、放浪することによって、どこにも属さない自分自身のアイデンティティというものが保てるのではないか、とも思っていたようです。
ーーアーティストを志したきっかけとなる出来事があれば教えてください。
小さい頃から絵は描いていたようなんですが、1番大きなきっかけとしては、子供の頃に図書館でジャクソン・ポロックの作品集を見たことだそうです。
ーージャクソン・ポロックってどのような作品を描かれているんですか?
はい、こんな感じの作品だったそうです。

それまで図書館というのは、静かに本を読んだり真面目に勉強をする場所という認識だったようです。
ただ、このジャクソン・ポロックの、ある意味、暴力的な作品を見たときに、公共の場所で見てはいけないものを見たようなインパクトを受けたようです。
ーーパッと見、血しぶきのような感じですね。
そうですよね。
ただ、そのインパクトと同時に自分の中の枠が取り払われたような感覚を持ったそうです。
ーー確かに…私が見てきた中でも、図書館や学校に飾ってあるような写実的な絵画とはテイストが全く違います。
はい、それからはもっと自由な絵を描くようになったそうです。
ーーでも、その後は音楽やデザインの仕事もされてたんですよね?
はい、そういった仕事に関わるようになってアートからは少し離れていたそうです。その後、あるデザインの仕事で、ジャクソン・ポロックのようにペイントを施す機会があったそうです。その時に、生々しい絵の具の質感とか、混ざり合う色彩を見て、絵を描いていた頃の感覚が蘇ったそうです。
ーーあの時のインパクトがフラッシュバックしたんですね。
そうだと思います。そこには放浪していた頃に探していたような、生活や将来の不安を超越した大事な事があったそうです。
ーーそこからアーティストにシフトしていったんですね。
はい。そうです。
著名人へのリスペクトから作品モチーフへ
ーーそれでは作品を紹介して頂けますか?
はい、こちらです。

ーーすごい!YOUANDARTはやっぱり写真のみになってしまうので、動画で見られて嬉しいです。少し絵の具で立体的になっているんですね。
タイトルはありますか?
これは《デボラ》というタイトルです。
ーーこれはどんな素材を使用してるんですか?
キャンバスボードにアクリル絵の具で描いてます。
ーー人をモチーフにしているようですが、実在の人物なんですか?
はい、この作品は70年代のブロンディというバンドのデボラ・ハリーをモチーフにしています。

ーージャケットをモチーフにしているんですか?
プロフィール写真か何かをモチーフにしているようです。
ーーこの他にもミュージシャンをモチーフにした作品がありますよね?
はい、こちらはR&Bシンガーのビヨンセです。


ーー女優もモチーフにしてますよね。
はい、これです。

ーー(モチーフを)当てたい、当てたいけど、私の知識量じゃ…(笑)
(笑)これは、ブリジット・バルドーですね。60年代に活躍した女優さんです。

ーーアーティストのプロフィールを見て直感で色味を決めているんですね?
そうみたいですね。あとは作品の印象からも色味を考えているようです。
ーーなぜこういった人物を作品にしようと思ったんでしょうか?
それは私も気になっていたので同じような質問をした事があるんですけど、neuronoaはある時期、年間1500本以上の映画を見ていたそうです。 そういった中で、自分自身のアイデンティティを形成した人物へのリスペクトを込めて作品に昇華しているそうです。
ただ、同時にその人物に距離を感じる自分にもどかしさも感じていたそうです。それらが、こういったを作品を作る事で親近感に変わっていく感覚があったようです。
ーー年間1500本すごいですね! どうしてリスペクトする気持ちだけでなく、もどかしさも感じていたんでしょうか?
恐らく、世界各地を放浪している間、世の中に置いてかれてるような不安もどこかで感じていたんだと思います。周りが成功していく中で、自分はどこで何をやっているんだろうという焦りだと思います。
ーーモチーフにしている人物に対しても、それを感じていたということですか?
はい、もちろんリスペクトはしていますが、成功者としての側面も強く感じていたそうです。
ーーということは世の中との距離を埋めるために描いているとも言えますか?
そうかもしれませんね。たぶん、みなさんそうだと思いますが、周りと比較してしまって不安を感じることはあると思います。 その不安への対処法は人それぞれあると思いますが、neuronoaの対処法はリスペクトする人物を大量に絵描く、ということだったんだと思います。
ーーこういった人物をモチーフしたきっかけがあれば教えてください。
以前は画面全体の抽象表現を主体にした作風でした。このような作品です。

ーーこの作風のまま描き続けるのは何か抵抗があったんでしょうか?
はい、こういった表現は他アーティストもやっているので、オリジナリティがないと、ずっと感じていたそうです。誰もが同じように表現できる作風ではなく、概念レベルも踏まえたオリジナリティを模索してたそうです。
ーーそこからどのような経緯で、現在の作風になったのでしょうか?
模索する中で人をモチーフにした表現に興味を持ったそうです。
ーーそれは何かきっかけがあったんでしょうか?
ある写真の撮影をした時に、ピントがボケた強い発色の人物写真が写っていたそうです。それを見たときに、本来写真が持つ正確な情報が歪んでしまって、撮影された人物の感情のようなものが色濃く表現されているような印象を受けたそうです。
ーーそれは偶然に撮れたということですか?
はい、そうですね。
ーーヒントも見つかったんでしょうか?
そうです。元々、今の社会というのは情報が溢れている一方で、情報そのものの価値が薄れているように感じていたそうです。
ーーそれはネットのニュースやSNSでの情報が溢れていて、ということですか?
はい、そうです。ただ、情報の価値が薄れている状況に反して、私たちはこういった情報に夢中になって、情報を求めたり、発信したり、ということから離れられなくなっていると感じていたそうです。
ーー確かに今の時代は常にスマホやパソコンで何らかの情報に触れてますよね。
はい、そして、更にそれに比例する形で、私たちは自分自身のアイデンティティを失いかけているようにも感じていたそうです。
ーーすごく共感できます。情報に振り回されて、自分にとって本当に大切なことが見えづらくなってきているという感覚ですよね。
そこからどうやって、現在の作風に繋がったんでしょうか?
そのピントのボケた人物写真から感情のようなものが見えた時に、人はどんなに抽象的なものからでも、目に映るものに意味を見出す能力があることに気づいたそうで、その能力というのは、人それぞれ、違った意味を見出す能力があるとも思っているそうです。例えば、その人が今まで生きてきた経験から見えてくるものも違うんじゃないかと思っているそうです。
ーーその人の経験によって同じものでも見え方が変わるということですね。
そうだと思います。ですので、この作品を見た時に、情報で溢れる社会でも、こういった能力を使って自分にとって本当に意味のある情報を見出す「きっかけ」になれたらと思っているようです。
ーーその辺りが作品に込められた想いなんですね。そういった意味では、匿名で活動していることにも繋がっている気がしますね。
はい、繋がっていると思います。匿名で活動する意図としては、見る人の想像力を刺激したいということもあるようですし、作品を見てくれる人が情報に振り回されず、自分自身のアイデンティティを持って、作品を見て欲しいという意味でも繋がっていると思います。
リアルにこだわり、納得のいく作品を作るためにボツにする作品も
ーーneuronoaさんの裏側がもっと知りたいので、制作の手法についても聞かせてください。フォトショップなどデジタルを用いず、リアルな制作にこだわる理由はありますか?
やっぱり質感を大切にしたいと思ったからだそうです。写真だとわかりにくいですが、実際の作品は、凹凸があって彫刻のようです。これがデジタルとの違いだと思います。
こうやって手作業でひと筆ひと筆塗ることで、人と人とが直接向き合う時に得られるような感覚が込められると思ったのがリアルにこだわる理由だそうです。
ーーいろんな色で何度もペイントされていたりしますが、これはいつも思い通りに仕上がるものなんでしょうか?
ほとんど思い通りには仕上がらないそうです(笑)ただ、そういった予想に反した、驚くような仕上がりになることも含めて、毎回新鮮さを楽しんでいるようです。
ーー制作の際に苦労されていることはどんなことですか?
納得できる作品を1点制作するのに、同じ作品を3~4点制作するそうです。
ーーそれは、1点完成するまでに、2~3点はボツにするということですか?
はい。そのため、時間と費用の捻出に苦労しているそうです。
ーーアシスタントやスタッフはいらっしゃるんですか?
人手は常に足りないようで、アシスタントも募集しているようです。あとは制作する場所も狭くなってきているそうなので、アトリエを貸してくれるところも募集しているそうです。
ーーneuronoaさんのアシスタントになりたい人はぜひInstagramで連絡してねっということですね。
視聴者質問コーナー
・アーティストとして制作活動をする上で、やりがいを感じる瞬間は、どのような時でしょうか。
やはり納得のいく作品ができた時のようです。そういった作品は本当は売りたくないそうです。ずっと手元に置いておきたいぐらい大切な作品ですが、活動を続けるために止むを得ず売っているそうです。
・なぜ1500本以上の映画を見ていたんですか?
さっきの放浪の旅の話と同じで、映画を見ることで単純に世の中から逃げたかったんだと思います。
・次描きたいなと思っている人物は?
いろいろ計画しているようですが、今のところマイケル・ジャクソンやエルビス・プレスリーなどの有名人や、あとは、ギリシャ神話の登場人物なども描きたいと思ってるようです。
・今まで売りたくないと思った作品は何ですか?
オードリー・ヘップバーンだそうです。手元に残したいぐらい気に入ってたそうですが、展示に出したタイミングですぐに売れてしまったみたいです。
・同一人物は描かれないんですか?
描く可能性はあると思います。ただ、今はneuronoaのモチベーションとして、色んな人物を描くことを楽しんでいるようです。
ーー最後に、今後の活動についても教えてください。
直近では、12月に銀座で、「100人10(100人展)・2021」という展示に参加します。その後も色々な計画を予定しているそうです。
ーー例えばどんなことですか?
個展を含めた展示が中心ですが、neuronoaがキュレーターとして企画するグループ展も予定しているそうです。その他、音楽や、ファッションや、飲食など、色々な業界とのコラボレーションを積極的に行っていきたいと考えているようです。
このインタビューをご覧頂いた方からも、コラボレーションなど、お気軽にご連絡頂けたら嬉しいです。
ーーありがとうございました!
neuronoaさんの作品はYOUANDARTでも購入ができるので、この機会にぜひチェックしてみてください!
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文章:ANDART編集部