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奈良美智らしさがいっぱい!《Backwards Forwards》の魅力を解説

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世界で最も有名な現役日本人アーティストのひとり、奈良美智。代表的なモチーフである挑戦的な眼差しの少女は、誰でも一度は目にしたことがあるだろう。本記事では、奈良の魅力が詰まった木版のプリント作品《Backwards Forwards》を紹介。ひとつの作品をじっくり鑑賞することで、人気の秘密を知る手がかりにしていただきたい。

奈良美智とは?

1959年青森県弘前市出身。画家、彫刻家、版画家、ドローイング作家、写真家として、さまざまな制作スタイルで国際的に活躍している。1990年頃、サブカルチャーのイメージを用いる「ネオ・ポップ」のムーブメントの中で注目を集めた。大きな瞳の少女、犬をはじめとする動物など、一見ポップでかわいらしいモチーフを描きながら、人間に内在する孤独や怒りなどを表現した作風が特徴。とりわけ挑戦的な眼差しの少女像が有名で、国内外で高い人気と評価を得ている。

《Backwards Forwards》の見どころ

❚ Point1. 代表的なモチーフ「少女」

鋭い目つきの幼い少女は、いまや奈良の代名詞ともいえるほど有名なモチーフ。本作に登場する少女も、誰かをにらみつけているような釣りあがった緑色の目が印象的だ。

本来かわいらしく純粋無垢なイメージを持つ幼児に、怒りや反骨精神といった相反する性質を同居させている点が、奈良作品の大きな特徴。後者の要素は、奈良が愛好するパンク・ロック・ミュージックからの影響によるものだと考えられている。

音楽を流しながら制作を行うという奈良は、若い頃からの音楽通として知られる。高校時代に友人とロック喫茶をつくったというエピソードもあり、その時に看板や壁画を制作したことがアーティストへの一歩だった。以後「少年ナイフ」や「ブッチャーズ」をはじめとする数々の有名ロックバンドのCDジャケットを手がけ、ラジオの音楽番組のパーソナリティを務めるなど、音楽関連の仕事を多くこなしている。

奈良が描く少女シリーズには、微笑みを浮かべるものや目を閉じているものもあるが、やはりパンク・ロック魂が感じられる挑戦的な眼差しの作品の人気が高い。2019年のサザビーズオークション(香港)で、奈良のオークションレコードとなる約2,500万ドルで落札された《Knife Behind Back》も、不満げな表情の少女を描いたものだ。

❚ Point2. シンプルな英語のメッセージ

本作のタイトルであり、作品に描き込まれてもいる「Backwards Forwards」は、文字通りには「前方後方」だが、文脈によって「何も決まらない」「最初から最後まで」といったさまざまな意味を持つ。本作のフキダシには疑問符がついていることから、少女が何か迷っているようにも、決断を求めて苛立っているようにも見える。ストレートなメッセージのようで、多義的に取れるところがおもしろい。

奈良の作品には、このように英語でメッセージが描かれているものが多々あり、ほとんどは「Don’t cry!(泣かないで)」や「Fuckin’ Politics!(政治なんかクソくらえ)」のようにシンプルなもの。ここにも前述したパンク・ロックの精神がうかがえる。

また、奈良が多くのドローイング(素描・デッサン)を制作していることにも注目したい。ノートの切れ端やダンボール片などに即興的に描かれたドローイングには、絵を通して伝えたいことがメモのように付随していることも多く、その延長に絵画や版画があるとも考えられる。

❚ Point3. ぬくもりが感じられる木版画

本作がどこかノスタルジックな雰囲気を醸している理由のひとつは、木版が用いられていることだろう。太さが一定ではないシンプルな線からは、手作業のぬくもりが感じられる。

木版は世界最古の印刷技術とも言われ、技術の発展とともに浮世絵などが生まれて表現の幅が広がっていった。パンク・ロックなど現代的なカルチャーに大きな影響を受けている奈良だが、ルネサンス絵画や古典文学など伝統的なものにも興味を持ち、自身の制作に取り入れている。1990年代後半から積極的に木版に取り組み、1999年には自身初となる版画集を発表した。ただ斬新さを追求するだけでなく、伝統を尊重しながら自身のアートの中で活かしていることも、奈良が現代アーティストとして高い評価を受ける一因だろう。

ANDARTでは、同じように木版画の風情が香る《Broken Treasures》を取り扱っている。

アカデミー、マーケット双方からの高評価

❚ オークションでの落札価格はトップクラス

Artprice社による「現代アーティストのオークション年間総売上高ランキング」(2020年7月〜2021年6月)によると、奈良はジャン=ミシェル・バスキアバンクシーに次ぐ世界第3位。日本人アーティストでは第1位で、年間総売上高は約162億3,870万円と、マーケットでの人気は確かなものとなっている。(*2021年6月末のレートで計算)

本作《Backwards and Forwards》と同エディション作品の、近年のオークションでの落札価格は下記のとおり。この約1年半の間だけでも価格の成長が見られる。(*2021年12月20日のレート、手数料込み)

 ・2020年5月  K Auction(ソウル):約446万円(KRW46,600,000)
 ・2021年2月  Los Angels Modern Auctions(オンライン):約533万円($46,875)
 ・2021年12月  Ravenel International Art Group(台北):約539万円(TWD1,320,000)

❚ ANDART内の会員間売買でも人気の奈良作品

ANDARTで最初に取り扱った奈良の作品《Flashlight Girl》は、微笑みを浮かべる横顔の少女を描いたプリント作品。2020年5月にオーナー権の販売が開始され、人気のため現在では売り切れとなっている。

会員間売買によって他のオーナーから購入することができるが、取引の最高成立価格は2万円と、発売当初の価格の2倍。全期間の平均も1万1千円を超えており、ANDART内のセカンダリ取引でも価格が上昇している。

❚ 美術史の文脈でも確固たる高評価

アーティストの評価においては、マーケットで高額で取り引きをされるだけでなく、美術館に作品を所蔵されるなどアカデミックな価値を認められることも重要となる。奈良の場合は、海外ではニューヨーク近代美術館(MoMA)、ナショナル・ギャラリー(ワシントンD.C.)、大英博物館(ロンドン)、国内では金沢21世紀美術館(石川)、青森県立美術館、横浜美術館(神奈川)など、現代アートの良質なコレクションを誇る有名美術館に多数作品が所蔵されている。

また、国内外各地の主要美術館・ギャラリーで個展を開催しており、2021年には台湾で大規模な巡回個展が行われるなど、国際的な評価が定まっているといえる。小さなドローイングから大画面のキャンヴァス作品、巨大な彫刻などバリエーション豊かな作品が各地に展示されているので、実際に鑑賞する機会があればぜひ素晴らしさを味わっていただきたい。

ANDARTで新作販売が決定!

今回ご紹介した奈良美智《Backwards Forwards》のANDARTでの取り扱いが決定。2021年12月28日(火)正午に販売を開始した。ぜひこの機会にオーナーになることをご検討いただきたい。

ANDARTでは、奈良美智をはじめとする本格アートの所有権を1万円から購入することができる。無料で新作情報やオークション速報が入手できたり、限定の鑑賞イベントに参加できたりと、特典がいっぱい。まずは簡単にできる無料会員登録でチェック!

文:ANDART編集部