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アート解説
Larry Gagosian

ウォーホルの約2億ドルのマリリンを落札したラリー・ガゴシアンって誰?

アート解説

2022年5月9日のクリスティーズ・ニューヨークにて、アンディ・ウォーホルが描いたマリリン・モンローの肖像画《Shot Sage Blue Marilyn》が約2億ドル(約253億円)で落札された。これはウォーホルのオークション史上で最高落札価格となり、またパブロ・ピカソが保持していた20世紀の作品史上でも最高額を更新する大記録となった。気になる落札者は、世界的に有名なアートディーラー、ラリー・ガゴシアンだった。一体、ラリー・ガゴシアンとは誰なのだろうか?

Larry Gagosian
ラリー・ガゴシアン 出典:https://www.bidoun.org/

ラリー・ガゴシアンとは?

経歴

ラリー・ガゴシアン(Larry Gagosian)は1945年アメリカ・ロサンゼルス出身。3大メガギャラリーの一つである「ガゴシアン(Gagosian)」を経営し、世界で最も重要なアートディーラーの一人と称される人物。

カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)で英文学を専攻し、1969年に卒業。在学中はレコードショップ、書店やスーパーマーケット、アメリカの実業家マイケル・オーヴィッツの秘書などをして働く。卒業後、UCLAの近くに開店したショップでのポスター販売でアートビジネスをスタートさせた。

1976年頃にポスターショップを閉店し、1980年に最初のギャラリーをオープン。ジャン=ミシェル・バスキアやエリック・フィッシュル、デイヴィッド・サーレなど当時の若手作家の作品を紹介した。

gagosian gallery
出典:https://www.art-insider.com/

現在の美術界を構成する転売ビジネスの可能性を追求し、「GO-GO(ゴーゴー)」というあだ名で近現代のアーティストを積極的に売買することで事業を拡大させ、美術館に匹敵する規模とレベルの展覧会を開催。1988年には、ジャスパー・ジョーンズの《False Start》(1959)を1,700万ドルで落札し、当時存命するアーティストの中で過去最高額となり大きな話題を呼んだ。

ガゴシアンは、世界中の美術館や芸術団体の後援者でもあり、さまざまな施設やアーティストをサポートしている。2018年の世界的なエイズ対策のためのオークション開催にはじまり、2019年のパリ・ノートルダム大聖堂の火災後、修復資金調達のために展覧会も開催。また、ガゴシアンはニューヨークを拠点とするオンラインプラットフォーム「Artsy」の初期投資家として知られている。

ガゴシアンの年間売上高は明かされていないが、年間1,000億円以上と推定されており、2017年にフォーブス誌「100 Greatest Living Business Minds」の一人に選出。名実ともに成功しているビジネスパーソンである。

ガゴシアンの取引相手は?

ガゴシアンと取引するコレクターは、アメリカのヘッジファンドマネージャー/メジャーリーグのニューヨーク・メッツのオーナーであるスティーブン・コーエン、アメリカのレコード会社経営者デイヴィッド・ゲフィン、世界的な投資ファンドのブラックストーン・グループのCEOスティーブ・シュワルツマンなど。そして、ジャン=ミシェル・バスキアのオークション史上最高作品を保持している前澤友作氏も、ガゴシアンと直接やりとりをする顧客の一人である。

オークションで高額作品を落札するコレクターは、匿名を希望する場合がしばしばあり、今回のウォーホルの《Shot Sage Blue Marilyn》も、ガゴシアンは誰のために落札したのか明言していない。

shot sage blue marilyn
《Shot Sage Blue Marilyn》(1964)出典:https://news.artnet.com/

ギャラリー「ガゴシアン」とは?

ガゴシアンは現在、アメリカ、ヨーロッパ、アジアに19の展示スペースを展開している。ギャラリーだけでなく、デジタル市場の最前線に立ち、主要なアートフェアにあわせた革新的なオンラインビューイングルームの紹介、美術史研究、市場分析などを提供。また1986年からは、カタログレゾネやアーティストブック、アカデミックな展覧会カタログなどの出版物の制作を開始。出版社を設立した最初のギャラリーでもある。

展示スペースは、建築会社カルーソ・セント・ジョン、森美術館やベルリンのグッゲンハイム美術館などを設計したリチャード・グラックマンなどの世界的な建築家が手がけており、観光スポットの一つとしても人気を呼んでいる。

最近の注目すべき動きとしては、NFT市場に参入したことが挙げられる。ガゴシアンはこれまでNFT市場の動向を観察していたが、2022年5月11日から6月25日までニューヨークで開催している村上隆の個展「An Arrow through History」にて、フィジカルとデジタルの両方の作品を発表。ガゴシアンはそのNFT作品の支払いにビットコイン、イーサリアム、USDコインを受け入れている。

取り扱いアーティストは村上隆の他に、ゲオルグ・バゼリッツ、フランシス・ベーコン、パブロ・ピカソダミアン・ハースト、マン・レイ、サイ・トゥオンブリー、アンディ・ウォーホル、ジェフ・クーンズといった80名を超える世界的アーティストが名を連ねる。1980年の設立後から、美術界でも最も重要なギャラリーとしての地位を誇るギャラリーだ。


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文:ANDART編集部