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アンディ・ウォーホルの全てを知れる展覧会「Becoming Andy Warhol」が中国で開催中

アメリカの世界的ポップアーティスト、アンディ・ウォーホルの展覧会「Becoming Andy Warhol」が中国・北京にあるユーレンス現代美術センター(UCCA)で2021年7月3日から10月10日まで開催中。

画像引用:https://www.thepaper.cn/

ユーレンス現代美術センター(UCCA)は、著名アートコレクター・ユーレンス夫妻によって設立され、北京、北戴河(ほくたいが)、上海の3箇所に美術館を構える。北戴河にあるUCCA砂丘美術館では、ダニエル・アーシャムの展覧会「Sands of Time」が2021年7月11日から10月10日まで開催中。

今展覧会はアメリカ・ピッツバーグにあるアンディ・ウォーホル美術館のコレクションから、ドローイングやペインティング、写真、映像など400点近くの作品を厳選。初期の作品からアイコニックな作品、初めてアンディ・ウォーホル美術館以外で展示される作品まで含めたセレクトで構成。セクションごとにカラーを分けて、ウォーホルらしくポップでフォトジェニックな展示がされている。

Yellow & Orange: 原点からキャリア初期まで

展覧会は「Origins(原点)」と呼ばれるイエローのセクションから始まり、ここではウォーホルの出身地であるピッツバーグでの時間にフォーカスが当てられている。高校の卒業アルバムや当時の写真、(現)カーネギー・メロン大学で商業アートを学んでいた1946年のドローイング作品などが展示。ウォーホルがいかにしてアメリカを代表するアーティストに成長していったのかを原点に触れることで、より理解を深めて追うことができる。

画像引用:https://ucca.org.cn/

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1949年に大学を卒業し、ピッツバーグからニューヨークへ移ったウォーホルは、商業デザイナー/イラストレーターとしてキャリアをスタートさせた。オレンジのセクションでは、ウォーホルがニューヨークのアッパーイーストサイドに住んでいた頃に描いた猫や、母親ジュリア・ウォーホラを描いたドローイングなどの1950年代の初期作品と当時の写真が鑑賞できる。ジュリアは、ウォーホルの初期の商業アートのレタリング(文字)を担当していたことでも知られている。

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Brown: 商業アート

1940年代後半にファッション雑誌『グラマー』に描いた靴の作品をはじめ、『ヴォーグ』や『ハーパース・バザー』などの広告やイラストレーションでウォーホルは広く知られるようになる。アイ・ミラー社というシューズメーカーのデザイナーも務め、1952年に同社の広告で新聞広告美術部門「アート・ディレクターズ・クラブ賞」を受賞。靴の絵はウォーホルの中でも有名な作品群。

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Purple & Silver: 写真と映像

絵とはまた違う角度からウォーホルを探ることができるのが、写真と映像にフォーカスしたパープルとシルバーのセクション。写真・映像作家としても活動していたウォーホルは、よくポラロイドカメラを持ち歩いていたとか。エリザベス・テイラーやシェール、ジョン・レノンなどのセレブリティ達を収めた写真がパープルの壁に映える。ここでは、ウォーホルが過ごした1960年代や70年代ニューヨークの日常やカルチャーシーンを垣間見ることができる。

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フロア中央に並ぶ、同じ写真が4つ組み合わされた作品は、ウォーホルの作品の中ではあまり知られていないシリーズの作品。下の写真は1982年にウォーホルが北京を訪れた際に撮ったデパートの写真を組み合わせたもの。

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真ん中に伸びるシルバーのセクションは、映像にフォーカス。無機質なシルバーの床とイーゼルはウォーホルの制作スタジオ「ファクトリー」を彷彿させる仕様でファンにはたまらない空間。17歳の時からファクトリーに出入りしていたアメリカの写真家、スティーブン・ショアが撮った写真も展示されている。

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頭上の2箇所のスクリーンでは、ウォーホルが制作した映画『スリープ』と『エンパイア』が上映。『エンパイア』はニューヨークのエンパイア・ステート・ビルディングを8時間5分の間、定点で撮り続けたもので、『スリープ』は当時のウォーホルの恋人が裸で寝ている姿を6時間撮影した映画。このふたつの映画は実験的な内容の作品として、ウォーホルのアート史で重要な位置付けがされている。4つのテレビに流れているのは80年代の作品。

『スリープ』(1964年)
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『エンパイア』(1964年)
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Green & Pink: アイコニックな作品たち

GreenとPinkは、今展覧会のキーセクションとなるウォーホルの代表作、マリリン・モンローなどのセレブリティのポートレイト、キャンベルスープの缶、コカ・コーラのボトル、花、Brilloの箱など「アンディ・ウォーホルと言えば」な作品が並ぶ。展覧会のキービジュアルになったウォーホルのセルフポートレイトのペインティングも展示されている。

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今回の展覧会のキービジュアルのセルフポートレイト(1964年)
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Blue: 後期作品

代表作を鑑賞した後のBlueは、70年代のポートレイト(下写真)や1981年に制作されたミッキー・マウスやサンタクロースなどの10枚組のプリント作品「Myth(神話)シリーズ」、80年代の$マークの作品など、1987年に亡くなったウォーホルのキャリア後期の作品が集められている。また、マニアの人以外の人はあまり見たことがないかもしれない骸骨や人間の心臓、カモフラージュの作品など、代表作に比べて知名度は下がるが、新たなウォーホルを発見することができるセクションで展覧会の最後となる。

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展覧会の雰囲気をより感じたい方は、ユーレンス現代美術センターのディレクター、フィリップ・ティナリが会場を周りながら解説している動画もおすすめ。(全編英語)

ウォーホルは生前、「もしアンディ・ウォーホルの全てを知りたいのならば、私の絵と映画と私の表面だけを見てくれれば、そこに私はいます。裏側には何もありません。」と言葉を残している。高校時代の遺品、初期の作品から代表作、写真、映像などウォーホルのアート史を網羅した「Becoming Andy Warhol」はこの言葉通り、アンディ・ウォーホルの全てを知るのにぴったりな展覧会だ。

【展覧会情報】

「アンディ・ウォーホル・キョウト/ANDY WARHOL KYOTO」

会期: 2022年9月17日(土)~ 2023年2月12日(日)
会場: 京都市京セラ美術館 新館「東山キューブ」(京都市左京区岡崎円勝寺町124)
開館時間:10:00~18:00 (入場は閉館の30分前)
休館日: 月曜日(但し祝日の場合は開館)、年末年始

今後の詳しい情報は、公式ホームページでチェック

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<参考URL>

UCCA https://ucca.org.cn/en/exhibition/andy-warhol/

文:ANDART編集部