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グラフィック&ストリート

YOUANDARTにて新作販売決定!今注目のアーティスト「Ly」とは

アーティストLyの魅力

・白、黒、30種類以上のグレーのみで描かれる巨大なミューラル(壁画)
・空想上のモンスターを具現化した独特の世界観
・シンプルだが圧倒的な存在感を放つ洗練された作品
・直近オークションでも多くのコレクターから人気を集めている

Lyってどんなアーティスト?

東京生まれのペインター。

白と黒と、30種類以上の多彩なグレーを使い、東京を中心に日本、アメリカ、パリ、バンコク、マレーシアなど国内外でミューラル(壁画)を残しています。

幼少からアートスクールで絵画を学ぶも友人の高い画力に圧倒され挫折。しかしその後も「自分が描きたいものを描いていいよ」という先生の教えのもと、自分の空想上の世界などの絵を自由に描き続けました。昔から大きい絵が好きだったLyさんは、コミュニケーションツールとして見る人に訴えかけるストリートアートに惚れ込み、24歳の時にペインターになる決意をしました。

最初は白と黒のみで「HATE」や「SHIT」などネガティブな言葉を感情のままに壁に書くような表現方法でしたが、2013年に開催した個展“PARK’S GRAY”をきっかけにランドスケープ(風景)など奥行きのある世界を描き、その頃に味わった挫折を経て「グレー」という彼女にとってターニングポイントになる色を使い始めるようになりました。グレーはそれまでLyさんが使用していた白と黒の2色とは違い、グレーの中だけでも何種類も使い分けることができるため、これによってLyさんの表現の幅も広がっていきました。

Lyの空想を覗くモノクロの世界

画像引用:https://www.vogue.co.jp

Lyさんの作品に必ずといっていいほど出てくる黒く塗りつぶされた謎の生物。

これは全て彼女の空想の世界に生きているモンスターなのだそうです。

Lyさんの作風は海外で訪れた街並みや、幼い頃から妄想していたランドスケープを描くと言うもの。そしてその空想の世界のモンスターを等身大の大きさで描こうとすると必然的に壁ほどの大きなキャンバスが必要になるのだそうです。

Lyさんの主な作品はミューラルですが、多くのストリートアーティストが無許可で制作する一方、彼女は壁の持ち主に許可を得るところから制作がスタートします。その分時間をかけて丁寧に作品に向き合うことができ、制作過程を通行人に見られることでLyさんの作品は地域の住民にも愛され、その街に溶け込むものとなっています。

洗練されたデザインのランドスケープと、無表情で独特なシルエットのモンスターたちはモノトーンの世界の中で違和感なく融合し、どこか不気味でありながらもポップな世界観を作り出しています。モノトーンの作品は一見暗い印象になりがちですが、モンスターの丸みを帯びたシルエットや目以外の情報を全て取り払うという大胆なデザインから親しみやすさが生まれ、ミューラルとして街に現れても住民が受け入れやすい作品となっています。

ペインター『Ly』ができるまで

とにかく絵を描くことが好きで、23歳の時には仕事中に絵を描いてばかりいたためデザイン事務所をクビになったというエピソードまで持っているほど。

また、幼い頃から想像することも好きで、空想上のモンスターの絵をよく描いていたのだそうです。

大学卒業後から人前で絵を描くようになるにつれ、彼女の中に以前からあった「絵が下手」というコンプレックスが大きくなり、空想の世界は完璧なのに、技術が追いつかないというジレンマでネガティブな感情で埋め尽くされたそうです。

Lyさんの描くモンスターたちはLyさんの強い感情が投影されており、「DIKくん」や「HATEくん」など名前がつけられ、彼女の心境の変化もキャラクターに表れています。モンスターたちは時に彼女のネガティブな感情を軽減させたり、彼女自身の友達となって寄り添ってくれます。Lyさんにとって空想上のモンスターたちは幼い頃から一緒に生きてきた、気心の知れた幼馴染のような存在なのかもしれませんね。

Lyの作品に影響を与えるもの

18才の頃から黒い服しか着ていないというLyさん。

ご家族の影響で小さい頃から部屋の壁紙やランドセル、文房具まで黒一色だったそうです。小学生の頃から12色のクレヨンで絵を描くことを嫌い、黒のペンでばかり絵を描いていたというエピソードからも、小さい頃の感性が今のLyさんの作風に大きく影響していることがよくわかります。

また、10代で出会った映画監督・ハーモニー・コリンはLyさんが神!と尊敬し、ストリートアートに興味を持つきっかけとなった存在だったのだそうです。残酷なストーリーの中にも美しさや儚さが描写する彼の表現力に惚れこみ、映像や詩集、写真どれも全部好きだと語っています。

同じ映画、同じ漫画、同じ音楽を繰り返し、今ある新しいものには興味がないと話すLyさんは、自分の好きなものや必要なものがはっきりしていて、周りには流されない芯の強さを感じます。

彼女のそのクリアな世界観が、彼女の描く洗練されたミューラルにも表れているような気がします。きっとLyさんの目を通してみると、世界は彼女の描くミューラルそのものなのかも知れません。

Ly/I’M LUV 25について

代表的なモチーフが描かれたキャンバス作品。

どんな場所にも飾りやすい比較的小さいサイズながら、空間を支配するような強烈なインパクトを纏っています。

じーっとこちらを見つめるモンスターからは、愛らしさや不気味さ、アンニュイな雰囲気など様々な表情を感じます。

絵を通じて自分自身と対話できるような作品です。