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バンクシーとは?彼の経歴を3分でおさらい

バンクシーとは

出典:https://www.banksy.co.uk/out.asp

バンクシー(Banksy)はイギリスのブリストル出身と言われていて、ロンドンを中心に世界各地で活躍する匿名のストリートアーティスト。主にステンシルアートという型紙とスプレーを用いた技法でグラフィティアートを制作することが特徴だ。神出鬼没に登場し、壁や橋など公共の場をキャンバスに、人目につかないよう素早く制作して去ることから未だその存在は謎に包まれている。

バンクシーのように公共物に無許可で行うストリートアートは犯罪行為であり、また夜が明けると突然作品が現れることから彼は「芸術テロリスト」とも呼ばれている。

しかし、政治問題に言及した社会風刺的な作品を多く制作し、反戦、反消費主義、難民問題など平和主義的なメッセージを込めた彼の作品は多くの人に支持され、度々社会現象になる。そのため彼の作品の多くは犯罪行為でありながら世界的に高い価値がついている。また、彼の創作活動の一環である大胆なパフォーマンスについても毎回賛否両論を呼び話題となっている。

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なぜバンクシーは注目されている?

出典:https://theartofbanksy.jp/banksy-corona-rat-in-tube/

今でこそ作品を発表するごとに世界中を賑わせる芸術家になったバンクシーだが、もちろん最初からこんなに注目されていたわけではない。バンクシーの名前が広く知られるきっかけとなった出来事のひとつに、2003年にロンドンのテート・ブリテン美術館で自らの作品を無断で設置したことが挙げられる。バンクシーは2000年代に世界中の美術館や博物館にゲリラ展示をするという活動をよく行なっており、他にも大英博物館やMoMA(ニューヨーク近代美術館)、メトロポリタン美術館、アメリカ自然史博物館など世界の有名美術や博物館を相手にも大胆な活動を行なっている。このゲリラ展示には既存の芸術に対するアンチテーゼや、格式高い美術機関の審美眼への批判というメッセージが込められていると言われている。単なる2Dのストリートアートにとどまらず、大胆なパフォーマンスを伴った創作活動は世界中にインパクトを与え、彼を一躍有名にした。

そしてバンクシーの活動はそれまで単なる落書き程度にしか思われていなかったストリートアートを、芸術の域まで昇華させるきっかけともなった。そもそも壁など公共の場に無断で絵を描くことは犯罪であり、それはバンクシーであっても同様だ。言ってしまえばバンクシーの活動はそのほとんどが違法行為にあたるのだが、それでも彼の作品をオークションに出品すると何億もの値段で落札される。バンクシーの作品が描かれた壁画は観光名所になるほど人気のスポットになり、時には作品が盗まれたり、汚されたりしてしまうため作品の中には壁の所有者によってアクリル板などで保護されているものまである。最近では東京都で発見されたバンクシーのものらしきネズミの作品が、2019年に小池都知事に紹介されて有名になった後に撤去され、さらに保護された状態で一般公開されたのは記憶に新しい。

また、2020年から2021年にかけて日本でも「バンクシー展 天才か反逆者か」という展覧会が開催されており、横浜、大阪、名古屋、福岡を巡回する予定だ。日本でバンクシーの作品を見ることができる貴重な機会ということで非常に注目されている。

問題児バンクシー

次にバンクシーが今までに起こした事件について見てみよう。全て彼の創作活動のパフォーマンスだが、違法行為もかなり多い。なぜバンクシーはこれほどまで大胆に違法行為を繰り返しているにもかかわらず、未だ捕まらないままストリートアート界のヒーローとしていられるのだろうか。

・シュレッダー事件

日本でバンクシーの存在が広く知れ渡るようになったきっかけに『シュレッダー事件』がある。2018年のサザビーズによるオークションにてバンクシーの版画『風船と少女』が104万2000ポンド(およそ1億5000万円)で落札された。これはバンクシーにとって当時2番目に高い落札金額だった。しかし、落札が決まったその瞬間に会場内にアラームが鳴り、作品のおよそ半分が額縁に仕込まれていたシュレッダーによって細断された。オークションに居合わせた人々が唖然とする様子は印象的で日本でも大変話題になり、ニュースなどでも報じられた。

これに対しバンクシー本人は自身の公式インスタグラムで写真を公開し、また別のビデオでは「オークションにかけられた時のために数年前からシュレッダーを仕掛けた」とコメントし、作品の細断は彼自身によるものだと認めている。この作品はバンクシーによって《愛はごみ箱の中に》とタイトルを改められ、史上初めてオークションの最中に生で制作された作品と言われている。この事件はバンクシーによるオークションビジネスへの批判を表していたようだが、この出来事により《愛はごみ箱の中に》の市場価値は倍以上に跳ね上がったとも言われている。

・偽モナリザ事件

出典:The Art of Banksy

2004年にバンクシーは一般チケットを購入してルーブル美術館に侵入し、自身が描いたスマイリーの顔をしたモナリザの作品を勝手に展示するというパフォーマンスを行なった。こんなことしたら警備の人に見つかって捕まりそうだが、緻密な犯行の末、他の絵画作品に紛れて陳列し、無事にその場所から立ち去ることに成功する。バンクシーが描いた《モナリザスマイル》はしばらくかけられたのちに取り外された。

その後この『モナリザスマイル』は2006年サザビーズのオークションにかけられ、57,600ポンド(約780万円)という当時のバンクシーの自己最高額で落札された。

・ディズマランド

悪夢と絶望の国へようこそ
出典:https://eiga.com/news/20150914/21/

2015年8月から5週間限定でイギリスの田舎町にオープンした《ディズマランド》。「悪魔のテーマパーク」と謳われたバンクシー監修のテーマパークだ。《ディズマランド》の名称からも想像がつく通り、その内容は某有名テーマパークを直接的に皮肉、批判したようなもの。園内には哀れな姿のプリンセスや不気味なお城、さらに無気力で無愛想なキャストなどまるで本家(?)と正反対の内容が盛りだくさんだった。この悪夢のようなテーマパークだが、地元メディアによると15万人動員し36億円の経済効果を生むほどの大盛況となり、さらに会期終了後テーマパークで使用された資材はフランスの難民キャンプに送られた。

バンクシーの作品の中で反資本主義のモチーフとして、テーマパークの有名キャラクターを用いることがよくあるが、この《ディズマランド》はその集大成とも言えるだろう。しかし、キャラクターの使用許可などはとっていないだろうから、本家にとっては大規模すぎる迷惑行為だ。

・偽札事件

BANKSY バンクシー Di Faced Tenner ダイアナ ケイトモス KAWS シュプリーム KYNE 村上隆 Jamie Reid 藤原ヒロシ10ポンド 作品 紙幣 偽札の1番目の画像
出典:https://aucfree.com/items/e340952490

偽札を作ることはもちろん違法行為だが、バンクシーの場合はたちまちアートになってしまう。2004年に制作された《ダイフェイスド・テナー》は「ダイアナ元妃の顔をした10ポンド札」

という意味があり、本来エリザベス女王が描かれているはずの10ポンド札にダイアナ元妃の顔が印刷されている。さらに「バンク・オブ・イングランド(イングランド銀行)」の文字のところには「バンクシー・オブ・イングランド(イングランドのバンクシー)」と描かれている。この偽札は100万枚製造されたと言われており、バンクシーがフェスティバルでばら撒くという演出に使われた。

そして2019年に大英博物館の初のバンクシーコレクションとして正式に所蔵された。ちなみにこの偽札はバンクシーの作品認証機関である「ペスト・コントロール」にて、作品が本物だった際に送られる証明書にも使われている。

・かろうじて合法

出典:https://www.banksy.co.uk/in.asp

2006年ロサンゼルスの倉庫で行われたバンクシーにとって初となるアメリカでの大規模エキシビション「Barely Legal」。ここで展示されたのが37歳という高齢のインド象「Tai」の全身に赤と金でペインティングした作品。まるで置物のように不自然な色で塗られてしまったが、象はちゃんと生きている。これには激しい非難を浴び、物議を醸したが事前にLAの動物愛護団体に許可をとっていたことから大きな問題にはならなかった。まさに展示のタイトル通り「Barely Legal(かろうじて合法)」だ。

この作品でバンクシーが伝えたかったことは、「Elephant in the room(部屋の中にいる象)」=「その場にいるみんなが認識しているが、あえて触れずにいる話題」という英語の慣用句を使ったメッセージ。貧困など多くの人が分かっていながらも無視し続ける問題について、目を向けないことに疑問を呈した展示だ。

・ホテル開業

出典:https://media.thisisgallery.com/20188939

2017年にパレスチナのベツレヘムにイスラエル政府によって建設された分離壁の横に開業されたバンクシー監修の《世界一眺めの悪いホテル》。ホテルからは分離壁とイスラエル軍の監視塔を見ることができ、パレスチナ問題について考えさせられる場所となっている。ホテルの空間を丸ごと作品とし、部屋の壁面にはイスラエル兵とパレスチナ人が枕を振り回し攻撃し合う絵が描かれている。この部屋に滞在することで現地の状況や緊張感を体感することができ、反戦や非暴力のメッセージが込められた大掛かりな作品だ。

他にもバンクシーはパレスチナ問題に言及した作品を多く残しており、男が火炎瓶の代わりに花束を投げようとしている《愛は空中に》という壁画作品はその中でも特に有名な作品だ。

バンクシーのオーナー権を購入

ANDARTではバンクシーの作品を取り扱っている。現在取り扱っているのは《BOMB LOVE》《Sale Ends (v.2)》《Jack and Jill (Police Kids)》の3点。

オーナー権とは各アート作品の価格からANDARTが数量限定で発行し、優待を受けられる会員権のこと。ANDARTではバンクシーのようなアーティストの作品も、“シェアする”という形で気軽にコレクションすることができる。そして価値が上がったアート作品のオーナー権はサービス内で簡単に売買することができ、そこで利益を得ることができる可能性もある。バンクシーのように現存する人気のアーティストはこの先作品の価値が大きく上がる可能性が高く、またフェイク作品が多くて真贋の判断が難しい作品もこういったサービスを通すことで安心して所有することができる。

また、オーナーには特典や優待イベントなどもあるので、デジタル上で手軽にアートコレクションしたい人や部屋に作品を置くスペースがない人、アートのオーナー権を投資感覚で売買してみたい方などはぜひ利用して欲しい。

まとめ

Street Art, Urban, Banksy, Wall, Boy
出典:https://pixabay.com/photos/street-art-urban-banksy-wall-boy-606379/#content

バンクシーの正体は未だ公表されていない。一説によると、バンクシーは実は複数人のアーティストグループなのではないかという噂や、イギリスの音楽ユニット「マッシブ・アタック」のメンバーであるロバート・デル・ナジャ(通称:3D)なのではないかという噂もある。このようにバンクシーの本当の名前や彼が何者であるかついては様々な憶測を呼んでいる。

こんなにも大胆な違法行為や騒動を起こしているにもかかわらず、バンクシーがここまで正体を明かされず、未だ捕まることがないのは何故だろう。

それはきっと彼の高いブランディング能力と、彼の作品が高く評価されることがストリートアート全体の社会的価値の向上に貢献しているからなのではないだろうか。バンクシーという人物は存在せず、一連の社会現象を生み出すために作り出された架空の存在なのではないかという説もある。

いずれにしてもバンクシーの様々な事件を見ていると芸術を前にすると人はいかに無力であり、また固定概念を取り払って寛容になれるのかと考えさせられる。

バンクシーの作品に人々が魅了され、世界中の人々が彼のパフォーマンスに注目するのは、彼の創作活動によってアートの新しい可能性や価値観に気づくことができるからだ。彼の大胆なアイディアはいつも私たちを楽しませ、そして深く考えさせる。おかげで遠くの国で起こっている問題がまるで自分のことのように痛々しく感じることができたり、幼い頃から当たり前に思っていた習慣について疑問を持ったりすることができる。アートという不確実な表現方法だからこそ、判断は見るものに委ねられ、各々の中で咀嚼されて様々な意見を出すことができる。自分で出した意見には責任が伴い、議論することで問題に対してより深い理解につながる。それを生み出すバンクシーの作品は、もはや単なる芸術の域を超えている。

現存するアーティストの中で彼ほどの社会的影響力がある人は他にいないだろう。