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奈良美智とは?挑戦的な眼差しの少女モチーフで知られる現代アーティスト

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奈良美智(なら よしとも)とは?

奈良美智(Yoshitomo Nara)は、1959年青森県弘前市出身の画家・彫刻家。ドローイング、絵画、彫刻、写真、インスタレーションなど様々なスタイルで制作活動を行い、ニューヨーク近代美術館(MoMA)やロサンゼルス現代美術館などで作品が収蔵されている。こちらを睨むような挑戦的な眼差しで佇む少女のドローイング作品・絵画で世界的に有名。日本を代表するアーティストである。

画像引用:https://www.canva.cn/

経歴

高校卒業後、1981年愛知県立芸術大学美術学部美術科油画専攻に入学し、87年に同大学大学院修士課程を修了。翌年ドイツ国立デュッセルドルフ芸術アカデミーに入学し、ドイツの現代美術作家・A.R.ペンクのクラスで学ぶ。修了後はケルンに移り住みアトリエを持つ。この頃に、奈良の作品のイメージとして有名な眼差しが強い子どもの絵が頻繁に描かれた。

2000年に帰国するまで、日本やヨーロッパで個展を開催。2001年、大規模な個展「I DON’T MIND, IF YOU FORGET ME」を横浜美術館や弘前市の吉井酒造煉瓦倉庫など国内5箇所を巡回し、各会場で驚異的な入場者数を記録した。

画像引用:https://www.mirrormedia.mg/

2003年、クリーブランド現代美術館などアメリカ5箇所で個展「Nothing Ever Happens」を開催。同じ頃に出会ったクリエイター集団「graf」との共同制作で廃材を用いて小屋を作り、展示会場作りなど空間制作が増え始める。そうして2006年に吉井酒造煉瓦倉庫で開催された「A to Z」展は、約30軒もの小屋に奈良や他のアーティストの作品が展示された。

2010年、米文化に貢献した外国出身者を讃えるニューヨーク国際センター賞を受賞。2013年には芸術選奨文部科学大臣賞も受賞し、国内外から高く評価されている。

作品の特徴

音楽から受けた影響

音楽好きでも知られる奈良はこれまでに数々のアーティストのCDジャケットを手掛け、ニルヴァーナのカート・コバーンを模したキャラクターやTHREE MICHELLE GUN ELEPHANTのCDジャケットをパロディーした絵を描いている。

制作中は必ず音楽を流しているという奈良は「耳から入ってきた音楽が手からまっすぐに出ていくような感覚で絵を描いている」と語っている。大きな頭と目をした可愛らしい造形でありつつも、こちらを睨みつける女の子のモチーフは、奈良が特に影響を受けたパンクやロックミュージックの持つ怒りや反発、反骨精神を感じさせる。純粋無垢の中に相反する悪魔的な要素を持ち合わせているのが奈良の作品の特徴だ。

ドローイング

アクリル絵具による絵画、彫刻に加えてドローイング作品を制作することも特徴の一つ。ドローイングとは素描(そびょう)・デッサンのことで、時間をかけて描く絵画とは違い、即興的に描かれるもの。ノートの切れ端や封筒の裏、段ボールなどに描かれたドローイング作品は、ニューヨーク近代美術館(MoMA)にも所蔵されている。

奈良美智の人気作品

《Miss Moonlight》

《Miss Moonlight》(2020年)
画像引用:https://octane.jp/

2002年頃から、鋭い眼差しをした強い表情から優しく柔らかい表情に変化している奈良の人物描写は現在も続く。2020年に森美術館で開催された「STARS展:現代美術のスターたち―日本から世界へ」で展示、その後台湾での展覧会「奈良美智特展」にて海外で初披露された。

《Harmless Kitty》

《Harmless Kitty》(1994年)
画像引用:https://media.thisisgallery.com/

奈良がドイツに住んでいた頃に描いた作品で、東京国立近代美術館に所蔵されている。鋭い眼差しとは裏腹に、猫の着ぐるみを着た子供がおまるにまたがる可愛らしさで人気。同じく着ぐるみを着た限定300体のフィギュア《Sleepless Night (Sitting)》(2007年)もマニアの間では高い人気を誇っている。

《あおもり犬》

《あおもり犬》(2006年)
画像引用:https://twitter.com/

青森県立美術館が地下2階に展示している高さ8.5m、幅6.5mの彫刻作品で子どもから大人まで親しまれている。隣接する三内丸山遺跡の発掘現場から着想を得ており、手前にある犬用の皿も作品の一部。

奈良美智の作品価格

世界各地で個展を開催し美術館にも収蔵され、世界的知名度を誇る奈良。キャリア初期の90年代では数万円で取引されていたドローイングも今では3桁の値段がつく。2015年頃から奈良のオークション価格は飛躍的に上がり、今後もその価値は上がる可能性大だ。これまでに高額で落札された奈良の作品と話題になった落書きを紹介する。

《Hot House Doll, In the White Room III》約14億円

2020年、中国のポーリーインターナショナルオークションとフィリップスの共同で行われたオークションで落札。奈良がドイツに住んでいた頃に描かれた初期の作品で、青いベビードールのドレスは奈良の作品の中でも珍しいとされている。

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《Hot House Doll, In the White Room III》(1995年)
画像引用:https://www.phillips.com/

《Knife Behind Back》約27億円

2019年、香港で開催されたサザビーズのオークションで奈良の作品として最高額の約27億円で落札。ドイツから帰国した分岐点となる2000年に制作された作品。90年代に登場していたナイフやチェーンソーなどの武器がキャンバスに描かれなくなり、その存在(Knife)をタイトルに記述しているところが特徴的。

《Knife Behind Back》(2000年)
画像引用:https://media.thisisgallery.com/

NYの落書き 5億円?

2009年2月のある夜、奈良がほろ酔い気分でNYのバーの壁に落書きした絵が《Knife Behind Back》の高額落札を受けて、5億円以上の価値があると言われている。その後、地下鉄の駅に落書きをした奈良がニューヨーク市警に逮捕されたというエピソードも。ちなみにバーの経営者は売るつもりはないそうで、大切にガラスが貼られ鑑賞できるようになっている。

画像引用:https://www.nyseikatsu.com/

奈良美智の作品に触れる

N’s YARD

画像引用:http://nasu-pantry.com/

《Miss Forest/Thinker》(2016年)屋外に展示されている5mのブロンズ彫刻
画像引用:https://ameblo.jp/

栃木県那須にある「N’s YARD」は、奈良が作品をより身近に見てほしいという思いから生まれた私設の現代アートスペース。5つある展示室では、絵画、ドローイングなどの作品、収集したレコードや人形を鑑賞することができる。また、オフィシャルオンラインショップではマグカップアラビア、ノートやポスターなどのグッズが通販で購入できるので、そちらも併せてチェックしたい。

【N’s YARD】https://www.nsyard.com/

原美術館ARC「虹をかける:原美術館/原六郎コレクション」

リニューアル後初の展覧会「虹をかける:原美術館/原六郎コレクション」で奈良のアトリエをイメージした空間《My Drawing Room》が展示中。他にも草間彌生やアンディ・ウォーホル、荒木経惟など世界的アーティストの作品が披露されるので、是非足を運びたい。

「虹をかける:原美術館/原六郎コレクション」
第1期2021年4月24日(土)〜2021年9月5日(日)
第2期2021年9月11日(土)〜2022年1月10日(月・祝)
※奈良の作品は全期を通じて展示

【原美術館ARC】
https://www.haramuseum.or.jp/jp/arc/

草間彌生の記事はこちら
アンディ・ウォーホルの記事はこちら
荒木経惟の記事はこちら

青森県立美術館

奈良の出身地にある青森県立美術館は1998年から奈良の作品の収蔵を始め、絵画や彫刻作品を含めて170点以上コレクションしている。90年代に描かれたキャリア初期の作品もあり、鑑賞できる機会があれば必見だ。

【青森県立美術館】
http://www.aomori-museum.jp/

アートブック

『YOSHITOMO NARA SELF-SELECTED WORKS PAINTINGS』(青幻舎/2015年出版)
画像引用:https://www.momastore.jp/

奈良自ら選んだ絵画作品100点を収録した見応えのあるアートブック。「PAINTINGS」と合わせてドローイングを特集した「WORKS ON PAPER」も販売されている。

奈良美智公式ツイッター

奈良本人をより知りたい人には、ツイッターもおすすめ。最新情報を得るだけでなく、時事問題で奈良が思うことやプライベートなつぶやきなど、奈良の日常を垣間見たら世界的なアーティストも身近に感じることができるかも知れない。

【奈良美智ツイッター】
@michinara3(yoshitomo nara, the washing hands man)

奈良美智のコラボレーション

村上隆とスケートボード

2001年にライフスタイル情報誌『BRUTUS』が、奈良美智とアーティスト・村上隆の特集を組んだ時に制作されたスケートボード。今ではオークションで取引されている貴重なもの。また、MoMAデザインストアでは奈良の2017年の作品《Solid First》が再現されたスケートボードが販売されている。

スケートボード-1200_900

画像引用:https://www.sothebys.com/

ステラマッカートニー

ファッションブランド「ステラマッカートニー」が奈良とコラボレーション。2021年春夏カプセルコレクションを3月から伊勢丹新宿店を始め販売された。奈良のアイコンである挑発的な少女や「Harmless Kitty」、「We are punks」など奈良らしいメッセージをあしらったアイテムが揃う。

画像引用:https://www.fashion-press.net/

奈良美智作品のオーナー権を手に入れる

ANDARTでは奈良美智の作品を取り扱っている。オーナー権は、数量限定で発行される優待付きの権利。オーナー権を保有している会員は、保有者限定の優待を受けることができる。

ANDARTで扱う奈良の作品は《Flashlight Girl》(2002-2004年)。それまで挑戦的な眼差しでこちらを見ているような表情の少女が笑顔を見せ始めたのはこの頃からとされており、マンガ的要素が入った作品となっている。

ANDARTでは奈良のような人気アーティストの入手が難しい作品も、“シェアする”という形で気軽にコレクションすることができる。そして価値が上がったアート作品のオーナー権はサービス内で簡単に売買することができ、そこで利益を得ることができる可能性もある。奈良のように現存する人気のアーティストは、この先作品の価値が大きく上がる可能性が高く、また真贋の判断が難しい作品もこういったサービスを通すことで安心して所有することができる。また、オーナーには特典や優待イベントなどもあるので、デジタル上で手軽にアートコレクションしたい人や部屋に作品を置くスペースがない人、アートのオーナー権を投資感覚で売買してみたい方などはぜひ利用して欲しい。

まとめ

画像引用:https://atyhs.net/ (写真:リョウイチ・カワジリ)

絵画やドローイング、彫刻など幅が広いクリエイティブな表現が世界で評価されるアーティスト、奈良美智。近年は札幌と小樽で写真展の開催や、アートを通じて難民を支援する活動も行なっている。睨むような目をした子ども、柔らかい表情をした子ども、そのどちらも何かを力強く訴えかけてきていて、見る人の想像を掻き立てる。その思わず引き込まれる不思議な力が、奈良の作品が愛される理由なのだろう。これから奈良の作品がどんなことを訴えかけ、どんな風に変化していくのか。今後も日本が誇るアーティストの制作活動を追いかけたい。