
ダミアン・ハーストのフォトジェニックな薬局《Pharmacy》がモスクワのPRADAに登場!
死んだ動物をホルマリン漬けにしたセンセーショナルな作品で、アート界を賑わすイギリスの現代アーティスト、ダミアン・ハーストの代表作の一つ《Pharmacy》がモスクワのPRADAに登場した。12月3〜4日は会員限定、その後はインスタレーションとして一般にも公開され、アートでもあり「薬局」でもあるモードな社交場に人々が集った。作品の解説とともに、フォトジェニックなPRADAの《Pharmacy》の様子をお届け。

《Pharmacy》はその名の通り、「薬局」を模したインスタレーション作品で、1992年にニューヨークのコーエン・ギャラリーで初めて公開された。中央の黒いスツールの上には、蜂蜜が入ったボウルと殺虫灯が設置されている。蜂蜜に誘われたハエは殺虫灯によって命を奪われる仕掛けになっていて、これは人間一人一人がハエと同じように、環境の中を動き回る”同じ生物”であることの表すメタファーである。

《Pharmacy》(1992年)
出典:https://www.tate.org.uk/
ハーストは母親と一緒に薬局に行った時、母親が薬に対して信頼を置いているのに、なぜアートを信頼しないのかを不思議に思ったことを覚えているそうだ。しかし、盲信的に医学を信じ、副作用などの危険性を無視するその姿勢は、ハースト自身がひたすらにアートを信じているのと同じことだと気付いたという。
死んだ動物や昆虫などを用いて「生と死」を連想させる作品を制作するハーストの《Pharmacy》は、人々の生活に欠かせない薬局そのものを模した空間の中で、アートと生活の境目を探り、そしてその生活に付随する「命とは何か?」を改めて問いかけるインスタレーション作品である。

《Pharmacy Restaurant & Bar》(1998年)
出典:https://damienhirst.com/
その後1998年、ロンドンのノッティングヒルに《Pharmacy Restaurant & Bar》が登場し、ロンドンのベスト・デザイン・レストラン賞を受賞した。続く2016年には、自身が運営する「ニューポートストリートギャラリー」内に、《Pharmacy 2》と題したカフェ・レストランをオープン。

《Pharmacy 2》(2016年)
出典:https://www.teahub.io/
《Pharmacy》のレストランは、今回のPRADAで3回目の開催となった。煌びやかでありつつも「薬」という毒気のある雰囲気に、ファッションとアートの親和性の高さが窺える。PRADAの公式サイトでは、まるで自分が会場内を歩いているかのよう鑑賞することが出来るので、是非体験してみてほしい(こちらから)。



出典:https://www.prada.com/




ANDARTでは、ハーストの代表シリーズ「スポット・ペインティング」から、作品の名前に「医薬品」の名前がついたシリーズの一つ《M-Fluorobenzylamine》を取り扱い中。こちらも是非チェックしてみてほしい。

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文:ANDART編集部
<参考URL>
・https://www.damienhirst.com/pharmacy
・https://www.tate.org.uk/art/artworks/hirst-pharmacy-t07187/explore-damien-hirsts-pharmacy