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6月30日開催クリスティーズオークション(ロンドン)落札額Top5作品解説

6月30日(水)、日本時間22:00からクリスティーズオークション「20世紀/21世紀美術 イブニングセール」がロンドンで開催された。本記事では落札価格の高かった上位5作品とANDARTで取り扱うアーティストの落札結果を紹介する。(落札価格は手数料込み。1ポンド=153.05円で計算。6月30日11:00時価)

1)パブロ・ピカソ《L’Étreinte》
落札価格:約22億4934万円 (£14,697,000)

20世紀最大の芸術家、あるいは「キュビズム」の創始者として、生涯にわたって夥しい作品を残したピカソ。今回のオークションで最も高額で落札された《L’Étreinte》(邦題:《抱擁》)は、ピカソが88歳の晩年の時期に描いた作品。愛し合う二人が重なり合い、濃密で情熱的なひと時を過ごしている様子が描かれた本作からは、創作への飽くなき探究心と意欲がありありと伝わってくる。

キャリアの最終段階にあったこの時期に、これほどエネルギーと生命力に満ちた作品を残すことができたことも、ピカソが偉大な画家たる証であろう。ピカソが人生最後の10年間に芸術的なダイナミズムを維持していたこと、そして彼の想像力の中にある創造的なインスピレーションの無限の源を垣間見れるような、大変貴重な作品である。

予想落札価格:約16億8356万円〜約24億4880万円(£11,000,000 – £16,000,000)

2)アルベルト・ジャコメッティ《Homme qui chavire
落札価格:約20億9724万円 (£13,703,000)

画像引用:https://www.panoramadelart.com/

アルベルト・ジャコメッティは、スイスの彫刻家、画家、版画家。1901年という20世紀の始まりの年に生まれ、20代はパブロ・ピカソ、マックス・エルンストら偉大な画家と交流。キュビズムやシュルレアリズムなどの芸術様式に大きな影響を受けたが、30代に入ってからはシュルレアリズムからは離れ、より本質的な表現を追求するようになる。

本作は、ジャコメッティの作品の中でも、人間の経験の本質的な脆さ孤独感を極限まで痛烈に表現した作品だといわれている。なお、ジャコメッティの研究者であり美術史家のクリスチャン・クレム氏は、「Homme qui chavire》は事実上、実存主義的な彼の作品観における中心的なアイコンとなった」と評している。

予想落札価格:約18億3660万円〜約27億5490万円(£12,000,000 – £18,000,000 )

3)エルンスト・ルートヴィヒ・キルヒナー《Pantomime Reimann: Die Rache der Tänzerin》
落札価格:約10億9278万円 (£7,140,000)

画像引用元:https://www.artprice.com/

エルンスト・ルートヴィヒ・キルヒナーは、20世紀のドイツの画家。ドイツの表現主義運動「ブリュケ」の設立者である。1912年に制作された本作は、1911年秋ベルリンに移住してからほどなくして描かれたもの。以前からダンサーやキャバレーのアーティスト、サーカス団員などに魅了され、それらをモチーフにした作品を多く描いていたが、とりわけベルリンに移り住んでからは、これらの題材がより重要な意味をもつようになったという。

色彩は鮮やかさが表現されながらも、どこか退廃的な雰囲気が全体を覆っているのは、第一次世界大戦という時代の暗澹たるムードを敏感に感じとっていた作家自身の経験からくるものなのだろう。

予想落札価格:約9億1830万円〜約13億7746万円(£6,000,000 – £9,000,000 )

4)ジャン=ミシェル・バスキア《Untitled》
落札価格:約9億1753万円 (£5,995,000

画像引用元:https://www.artprice.com/

2メートルの高さを誇るUntitledは、バスキアのキャリアの中でも重要な時期に描かれた、重要作品の一つ。バスキアがNYのアートシーンに登場してから、わずか3年後の1984年に描かれた。初期の作品でありながらも、バスキアらしい特有の視覚言語表現が、瑞々しく描かれているのが特徴。

なお、本作は、幼い頃より人間の頭蓋骨と身体に魅了されていたバスキアが、そうした興味をどのように画の中に描き込むのか、若くフレッシュな感性を駆使しながら、実験的に行なっていた様子が垣間見えるような一作である。

予想落札価格:約6億1220万円〜約9億1830万円(£4,000,000- £6,000,000)

 

5)アレクサンダー・カルダー《Untitled》
落札価格:約9億9750万円 (£4,342,500)

画像引用元:https://www.artprice.com/

アレクサンダー・カルダーは、アメリカ合衆国の彫刻家、現代美術家。動く彫刻「モビール」の始祖として知られ、その作品は世界各地で目にすることができる。

今回、高額落札された《Untitled》は、ガラス、プレキシグラス、陶器などの破片で作られた、作家初期の作品。作品に使用された一つひとつのパーツをワイヤーや紐で構成し吊り下げている。モビールの動きに合わせて、光や影を生み出し万華鏡のように七変化する本作は、色彩のダンスを思わせるもの。片時も止まることなく、美しく揺らめく作品は、ずっと眺めていたくなる魅力に溢れている。

予想落札価格:約6億6462万円〜約8億14178万円(£3,500,000- £5,500,000)

ANDART取扱いアーティスト落札結果

バンクシーSubject to Availability
落札価格:約7億135万円 (£4,582,500)

画像引用元:https://www.artprice.com/

今回のオークションでトップにランクインした作品の他にも、とくに目を引いたのが本作。

牧歌的な作風からは一見してバンクシー作品であることは見えてこないが、よく目を凝らしてみると右下に「Subject to available for a limited period(期間限定での販売)」という、アイロニカルな一言が添えられていることがわかる。

2009年に製作された本作は、ドイツ系アメリカ人の山岳風景画家、アルバート・ビアシュタットが、1890年にアメリカ・マウントレーニア国立公園を描いた油絵をバンクシーがアレンジしたものだという。なお、この国立公園は地球温暖化の影響で一部が閉鎖されてしまっているそう。バンクシーは本来あったはずの美しい自然に対して、何かしらのメッセージを投げかけたかったに違いない。

予想落札価格:約4億5915万円〜約7億6525万円(£3,000,000- £5,000,000)

 

ゲルハルト・リヒター《Strip》
落札価格:約1億6874万円 (£1,102,500)

本作は、ゲルハルト・リヒターの作品に決定的な変化をもたらした「ストリップ・ペインティング」の初期の作品の一つで、2011年に制作されたもの。赤、緑、黄色、白など、無数のトーンで構成された水平のストリップは、地質学的な断面のようでもあり、リヒターの他の作品群にも通底するものが感じ取れるのではないだろうか。なお、本シリーズは、リヒターが60年という長きにわたって探求し続けてきた抽象画の本質を、新しい領域で切り開いたものとして著名である。

予想落札価格:約1億2244万円〜約1億8366万円(£800,000- £1,200,000)

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