
withコロナの新時代、台湾人アーティストが世界中の人々とその先の物語を創るオンライン展覧会「Human Being: COVID -19」
2020年5月、ギャラリーノマルでは、気鋭の台湾人アーティスト張騰遠(チャン・テン・ユアン)の個展の開催が予定されていたが、新型コロナウィルスCOVID -19の流行により、アーティスト本人は来日が出来なくなってしまった。しかしながら、COVID -19という逆境を乗り越え、芸術の題材として転化させた。気鋭のアップカミングアーティストは現代社会をいかに捉え、表現するのか。
プロフィール

Chang Teng-Yuan 張騰遠(チャン・テン・ユアン)
1983年台湾・高雄生まれ
国立台湾美術館での個展開催 (2013年) や台北ビエンナーレへの選出 (2016年) など、着実にキャリアを重ね躍進を続ける台湾人アーティストChang Teng-Yuan。台湾国内では絶大な人気を誇り、近年では活動の場を海外に広げ、欧米での展覧会参加や、アメリカンドラマ「Mr. Robot」の劇中に作品が起用される等さらなる注目を集めている。
経歴
国立彰化師範大学と国立台南芸術大学で学ぶ。
2011年 高雄市立美術館で個展開催
2013年 国立台湾美術館で個展開催
2015年 アートケルンにて個展開催
2016年 台北ビエンナーレに選出
2017年-2018年 アメリカ、ニューヨークとワシントンにてグループ展参加
ギャラリーノマルでは、2015年、2018年に個展開催。2015年、2018年、2019年にグループ展参加。
国立台湾美術館と高雄市立美術館に作品がコレクションされている。
ギャラリー「Nomart」のご紹介
Nomart(ノマル)は「SENSES COMPLEXー五感を超えて、感覚が交差・拡散する地点」をテーマに、現代美術、前衛音楽、デザインなどボーダレスで実験的な表現を発信するギャラリーである。
1989年「版画工房ノマルエディション」創立、1994年にデザイン・編集スタジオ始動。1999年に現代美術画廊「ギャラリーノマル」を新設し、2009年より前衛音楽レーベルも展開し独自の拡張を遂げてきた。
若手から国際的に評価と注目を集めるアーティストまで、現代を共に生きる多領域のアーティストたちとの信頼関係は深い。版画や本の出版はもとより、オリジナル作品のコンセプトワークや新作・新シリーズの制作サポートまでー30年以上培ってきた“共創”の歴史はto be continued。
Nomart所属作家
*取扱作家&出版作品
木村秀樹, 植松奎二, 片山雅史, 中川佳宣, 中原浩大, 伊庭靖子, 今村源,
名和晃平, 稲垣元則, 田中朝子, 豊富春菜, 渡辺信子, 藤本由紀夫, 大西伸明,
榎忠, 永井英男, トーマス・ノイマン, 能勢伊勢雄, 松井智惠, 池垣タダヒコ,
東影智裕, Chang Teng-Yuan, 金村仁, 韮澤アスカ, 黒宮菜菜, ドットエス (橋本孝之&sara) 他
本個展の魅力
Webのみで発信する展覧会として、オンライン・エキシビションが企画された。台湾のアーティストChangが継続的に作品の題材としているのは、世界の終焉後にかつて繁栄した人類を研究するキャラクター「パロットマン(Parrotman)」の物語である。
世界的なコロナ禍の影響で、5月にギャラリーノマルで開催予定だった個展が延期となってしまったChangは、「パロットマン」によるCOVID -19調査をモチーフとした新作映像を制作した。その映像の断片であるスケッチだけがWeb に公開され、鑑賞者の選び方によって243の物語が生まれていく。
その物語は、購入者がギャラリーから送られてくる缶詰の中の映像データ(USBメモリ)を再生することで初めて見ることが出来る。Webを通じて全世界の人々とテーマを共有し、新たな一歩を想像/創造する試みとして発信される。

個展のウェブサイト上ではこのように作品をオンラインで鑑賞することができる。作品は刻々一刻と姿を変えていく。
[Changのメッセージ]
新型コロナウイルスの影響で、展覧会場に出向くことができなくなりました。この予期せぬ災禍によって、当初予定していた展覧会プランは断念。人類史上、極めて重要な局面にあると思います。だからこそアーティストとして、この瞬間を自分なりに記録しておかなければならないと考えたのです。
作品紹介①

work’s package(sample), 2020
作品紹介②

movie image(sample), 2020
作品紹介③

movie image(sample), 2020
作品紹介④

The Starry Valley 繁星之谷, 2018
関連するリンク
▼個展に関する詳しい情報・オンライン鑑賞
https://www.nomart.co.jp/covid
▼SNSページ
現代アートの魅力の一つは、同じ時代を生きている作家が、同じ情勢や社会環境の中で感じたことが反映された作品を楽しめることである。現在、世界が直面している「COVID -19」を題材とし、鑑賞者も作品の作り手として取り込む設定は新鮮であり、この時期だからこそできる体感できる“現代アート”を楽しむチャンスだ。
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