
注目の展覧会から ファッションコラボ情報まで。今週のアートニュース (21.07.24-21.07.30)
1週間の国内外のアートニュースから、ANDART / YOUANDART取り扱いアーティストの情報を中心にお届けします。今週は「ファッション」「デザイン」「展覧会」「美術館」の4つのテーマから。気になるアーティストの話題をさくっとチェック。
(※ 今週の「アートマーケット」ニュースはコチラ)
ファッション
▍Saint Laurent Rive Droite、ジャン=ミシェル・バスキアの作品にインスパイアされたカプセルコレクションを発表

「Saint Laurent(サンローラン)」のコンセプトストア『Saint Laurent Rive Droite』が、ジャン=ミッシェル・バスキア・エステートとエンリコ・ナバラ・ギャラリーとのコラボレーションにより、バスキアの作品にインスパイアされた、サーフボード、トートバッグ、バックパックなどのライフスタイルコレクションを発表した。本コレクションは現在〈Saint Laurent〉の公式オンラインストアで販売している。(現時点で日本での販売は未定。)
(VOGUE)
▍トラヴィス・スコット ✕ fragment Design ✕ KAWS トリプルコラボアイテムを発表。

アメリカのラッパーであり、ファッションアイコンでもあるトラヴィス・スコットが、藤原ヒロシ率いる「fragment Design」とコラボレーションしたグラフィックTシャツ、スウェットシャツ、ジーンズなどのアイテムをインスタグラムで発表。この中に、KAWSのシンボルであるコンパニオンがプリントされたTシャツとクルーネックセーターが注目を集めている。(HYPEBAE)
▍ルイ・ヴィトン、200歳の誕生日を記念したプロジェクト

フランスのブランド「ルイ・ヴィトン」の創業者 ルイ・ヴィトンは1821年8月4日に誕生し、今年で生誕から200周年となる。これを記念し、NFTを埋め込んだ特別制作のゲームや、Apple TVのドキュメンタリー、小説、ウィンドウ・インスタレーションなどの特別企画を実施している。この一環として、秋にはアメリカ人アーティストのアレックス・カッツが、ヴィトンに敬意を表した作品を発表する予定。(FASHION UNITED)
デザイン
▍キャンベル・スープ缶がデザインを一新。記念のアートワークがNFTで販売される。

アンディ・ウォーホルの有名なポップアートのインスピレーションの源として60年近くアイコンとしての役割を果たしてきたキャンベルのスープ缶。スープメーカーのキャンベル社は、その有名な赤と白の缶ラベルのデザイン変更を発表した。
ラベルのリニューアルを記念して、キャンベル社は、新デザインをもとにした初のNFTアートワークを販売し、その収益を非営利団体「Feeding America」に寄付し、飢餓対策に充てることも発表。このNFT作品には、デジタルアーティストのSophia Changが協力している。このNFT作品のオークションは、アンディ・ウォーホルの誕生日に合わせて、8月6日まで行われる。(Daily Mail Online)
展覧会
横尾忠則が都内で2つの展覧会を開催中。初の親子大規模競作となる「東京大壁画」も。

1960年代から常に第一線で活躍し続けてきたアート界のレジェンド、横尾忠則。現在、2つの個展と壁画の展示が都内で開催されている。
東京都現代美術館で開催中の「GENKYO 横尾忠則 原郷から幻境へ、そして現況は?」展は、絵画を中心に初期のグラフィック作品を加えた600点以上の作品が展示される大規模個展だ。NEW ART STYLEでは、本展示の内覧会の様子を詳しくレポートしているので、ぜひチェック。(会期:2021年7月17日~10月17日)
関連記事:横尾ワールドが大炸裂!「GENKYO 横尾忠則 原郷から幻境へ、そして現況は?」レポート
また、21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3では、横尾忠則氏がカルティエ現代美術財団からの依頼で制作した、139点の肖像画シリーズを初公開する「横尾忠則:The Artists」展を開催。(会期:2021年7月21日〜10月17日) さらに、丸の内ビルディング・新丸の内ビルディングでは、ご息女であり画家として活躍中の横尾美美による初の親子大規模競作となる「東京大壁画」も公開している。(会期:2021年7月17日〜9月5日)
▍奈良美智、KAWS、ダニエル・アーシャムらの作品を展示。「もし自分が買うなら?」を想像する企画も。

大丸松坂屋百貨店がGINZA SIX5 階で運営するアートギャラリー「Artglorieux GALLERY OF TOKYO(アールグロリュー ギャラリーオブトーキョー)」で、「SIGNS OF A NEW CULTURE vol.2」展を開催。奈良美智や KAWS など、国内外の人気現代アーティストから、次世代のアートカルチャーを担う新進気鋭のアーティストまで、幅広く作品を展示する。「もし買うならどれかな?」を想像し興味を示すための【I LOVE IT】ボタンをwebに設置したり、雑誌「アートコレクターズ」とコラボレーションした動画などの企画も行われる。展示作品は8月5日より特設ページで公開される。(会期:2021年8月5日〜8月18日)
▍「船場アートサイトプロジェクト」が始動。キックオフイベントで杉本博司らの作品を展示。

大阪の中心である船場地区をアートでアップデートし、国内外に向け一大アートサイトとしてリブランディングを試みる「船場アートサイトプロジェクト」が始動。第一弾として、1970年大阪万博の前年に竣工した「船場エクセルビル」をアーティスト、クリエイター、アントレプレナーや団体等と共に、クリエイティブな発想で活用する。第一弾のプログラムとして、森美術館理事・大林剛郎氏のコレクションから、「CONTRAST = Light and Shadow」展が開催され、森村泰昌、杉本博司、畠山直哉など日本を代表するアーティストの写真作品が展示される。(会期:2021年7月17日~9月5日) (船場アートサイトプロジェクト)
▍モンブラン銀座本店で、江原梨沙子・大谷陽一郎の2人展。

2020年4月からスタートした、「MONTBLANC× The Chain Museum」の共同企画の現代アート展の第4弾として、江原梨沙子・大谷陽一郎の2人展「孤帆の遠影」が開催されている。モンブラン銀座本店のショーウィンドウおよび店内2F・3Fで、新作を含む作品の展示・販売が行われる。本展のテーマは、「アジアへのまなざし」。江原は、アジアモチーフや日常の思考をもとに理想郷をテーマに作品を制作。一方の大谷は、漢字に込められたエネルギーを解放し、絵であり一枚の詩のような東アジアの人々の感覚に共鳴するような作品を制作している。
▍実験的な映像表現。「ピピロッティ・リスト」展が水戸芸術館でスタート。

実験的な映像表現を探究するアーティストとして、1980年代からスイスを拠点に世界各地の美術館や芸術祭で作品を発表してきたピピロッティ・リスト。約30年間の活動の全体像を本格的に紹介する展覧会が、2021年8月7日より、水戸芸術館現代美術ギャラリーで開幕する。本展覧会では、ベッドやクッションに横たわってくつろぐ、食卓を囲むといった遊び心あふれる映像鑑賞体験も用意されている様子。現代社会における切実なテーマを鑑賞者の身体とともに少しずつ解きほぐす機会となるだろう。(会期:2021年8月7日~10月17日)
美術館
▍エルミタージュ美術館、ダ・ヴィンチ、ゴッホ等、貴重な作品のNFTをオークションへ。

ロシアのエルミタージュ美術館は、所蔵する5つの有名な美術品をNFT化してオークションに出品することを発表した。レオナルド・ダ・ヴィンチの≪Madonna Litta≫(1490年)、ジョルジョーネの≪Judith≫(1504年)、フィンセント・ファン・ゴッホの≪ライラックの茂み≫(1889年)、ワシリー・カンディンスキーの≪コンポジションVI≫(1913年)、クロード・モネの≪モンジュロンの庭の隅≫(1876年頃)。それぞれの作品は、2つのエディションで鋳造され、1つは販売、もう1つは美術館のコレクションになるという。今回の販売は、同館がNFTを活用する初の試みとなる。(artnet news)
▍「ヘルスパス」導入により、フランスの美術館は訪問者数が急落?

フランスで、7月21日から50人以上を収容するレジャー施設・文化施設でヘルスパスの提示が義務化され、1週間が経った。このパスの導入により、フランスの文化施設が大打撃を受けているとフランスの放送局France Bleuが報じている。来場者の予防接種や検査の状況をチェックするため、施設は新たな雇用を必要とし、同時にいくつかの会場では入場者数が減少しているという。例えば、世界で最も有名な先史時代のロックアートがあるショーヴェ洞窟では、パスを管理するために3人の新しい従業員を雇ったが、入場者数が20%減少したという。(France Bleu)
▍2020年の世界の文化トレンドを分析。中国 (特に深圳) が大きくリード。

文化的・創造的産業の戦略を立てるグローバル企業「AEAコンサルティング」による報告書「Cultural Infrastructure Index」の2020年版が発行された。美術館、ギャラリー、舞台芸術センター、多機能アート施設、文化的なハブや地区の活動を追跡した報告書から、artnet newsがポイントを分析している。
昨年、世界的なパンデミックに見舞われたことで、世界のアート界は大きく揺れ動いたが、すべてが止まったわけではなく、美術館やアート施設の建設は目覚ましい勢いで続けられ、その中心は明らかに台頭する中国に移っているという。とりわけ、2020年に発表されたプロジェクトのうち、金額の高い上位13件のうち7件が深圳にあり、その金額は25億ドル(約2,000億円)にものぼっている。一方で、欧米は減速しているものの、これは一時的なものと推測されている。(artnet news)
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文:ANDART編集部