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注目の展覧会から ファッションコラボ情報まで。今週のアートニュース (21.07.17-21.07.23)

1週間の国内外のアートニュースから、ANDART / YOUANDART取り扱いアーティストの情報を中心にお届けします。今週は「カルチャー」「ファッション」「展覧会」「美術館・ギャラリー」の4つのテーマから。気になるアーティストの話題をさくっとチェック。

(※ 今週の「アートマーケット」ニュースはコチラ

カルチャー

▍アンディ・ウォーホルの ≪KIKU≫ は、日本文化をどのように賛美したのか?

≪Kiku≫ / アンディ・ウォーホル 画像引用:https://news.artnet.com/
≪Kiku≫ / アンディ・ウォーホル 画像引用:https://news.artnet.com/

アンディ・ウォーホルの版画作品 ≪KIKU≫ について、ロンドンのギャラリーShapero Modernがグローバルアートマーケットニュース「artnet news」で解説している。ウォーホルは生涯で2度日本を訪れている。1983年には、日本のアバンギャルドの旗手であり、東京の現代版画センターの創設者である綿貫不二夫が、ウォーホルに菊をモチーフにした作品の制作を持ちかけた。≪KIKU≫シリーズは、日本の伝統的な居住空間を意識して作られたスケールの作品であり、その意味でウォーホルの作品の中でもユニークなものなのだ。また、菊は古くから日本の天皇と皇室の象徴であり、日本のパスポートにも印刷されているほか、長寿、若返り、秋の季節を象徴している。同作品を取り扱うロンドンのギャラリーShapero Modernは「この作品群は、ウォーホルの世界的な影響力と、日本のコレクターからの人気を示している。このシリーズは、”抽象性”と花の形状を表現する”自然性”の両方を兼ね備えており、象徴的な意味を重ねた詩的な表現となっている。」とコメントしている。(artnet news)

なお、NEW ART STYLEでは、下記の記事で本内容について詳細に説明している。

関連記事:日本人コレクターが愛する《KIKU》の魅力!ウォーホルが見ていた日本文化とは。

▍ダニエル・アーシャムが新しい1973年のポルシェRSAプロジェクトを公開

ダニエル・アーシャムのInstagramで発表されたポルシェRSA。黄色い車体に「Arsham」とペイントされている。 画像引用:https://www.instagram.com/
ダニエル・アーシャムのInstagramで発表されたポルシェRSA 画像引用:https://www.instagram.com/

ダニエル・アーシャムが3つ目のポルシェ・プロジェクトを発表した。これまでにもクリスタルに侵食されたポルシェ911や、1986年製のポルシェ930Aターボなどを制作してきた。今回、70年代にインスパイアされたデザインは、グロスイエローの塗装に淡いイエローのバンパーを組み合わせ、当時のRSRレーシングカーをイメージしたものだ。このイエローの地の上に、ポルシェ RSAのエクステリアには「Arsham」のカスタムデカールやホイールなど、ライトブルーのアクセントが施されている。(duPont REGISTRY Daily)

▍BMWがARでジェフ・クーンズらのアートカーシリーズをリリース

ジェフクーンズの手がけたアートカー。カラフルなストライプが描かれている。
画像引用:https://www.bmwblog.com/

これまで、アンディ・ウォーホルやフューチュラ2000といったアーティストとコラボレーションしたアートカーを発表してきたBMW。Acute Artというアプリを使い、これらのBMWアートカーを拡張現実(AR)として鑑賞できるようにしたことを発表した。現時点では、まだすべてのBMWアートカーがアプリで利用できるわけではないが、ジェフ・クーンズ(BMW M3 GT2、2010年)や加山又造(BMW 535i、1990年)らのアートカーをAcute Artアプリから鑑賞することが出来る。今秋のアートバーゼルでBMWは実際のアートカーの一部を展示するとともに、特別なARエリアを設け、アプリを使って他のすべてのBMWアートカーを見ることができるという。(BMWBLOG)

ファッション

▍KAWS x HUMAN MADE®️ の最新コラボTシャツが公開

今回発表されたKAWS x HUMAN MADE®️ コラボTシャツ。HUMAN MADE のアイコニックなキャラクターたちの目が×印になっている。 画像引用:https://hypebeast.com/
今回発表されたKAWS x HUMAN MADE®️ コラボTシャツ 画像引用:https://hypebeast.com/

現在、都内で大規模個展「KAWS TOKYO FIRST」を開催中のKAWS。NIGO®️の「HUMAN MADE®️」との最新コラボプロジェクトをInstagramで予告していたが、その一部アイテムが公開された。今回発売になったのは、KAWS が HUMAN MADE のアイコニックなグラフィックを描き下ろししたTシャツ5種類。7月23日より HUMAN MADE オンラインストア限定で販売された。

▍マン・レイからジェフ・クーンズまで。80点のアーティスト・メイド・ジュエリーのオークション

ジェフ・クーンズのウサギのネックレス。シルバーのアルミ風船のようなウサギがチャームになっている。 画像引用:https://robbreport.com/
ジェフ・クーンズのウサギのネックレス 画像引用:https://robbreport.com/

ロンドンを拠点とするLouisa Guinness Galleryで、身につけることのできるアートに光を当てた新しい展覧会を開催する。サザビーズで8月に開催される「Sculpture to Wear」オークションに向けたもの。マン・レイ、マックス・エルンスト、ニキ・ド・サンファルといった20世紀初頭の巨匠から、ジェフ・クーンズ、クリストファー・トンプソン・ロイズ、アニッシュ・カプーアといった現代のアーティストまで、28人以上の画家、彫刻家、写真家が制作した80点の貴重な作品が販売される。(Robb Report

イノベーションを推進する人間の可能性を育む。「シャネル文化基金」が始動。

CHANEL Culture Fund, creating the conditions for artists to dare. シャネル公式チャンネルより

100年以上にわたり芸術活動の支援を行っているシャネルは、今年3月に「シャネル文化基金」を設立したが、7月20日にその活動を紹介するショートフィルムが公開された。映像の中では、文化基金の5つのパートナーであるロサンゼルスの「The Underground Museum」、パリの「ポンピドゥー・センター」、ロンドンの「ナショナル・ポートレート・ギャラリー」、モスクワの「GES-2」、上海の「Power Station of Art」が紹介されている。この活動について、シャネルのアート&カルチャー部門のグローバルヘッドであるYana Peelは、「個人の創造性を支援し、イノベーションを推進する人間の可能性を育む」ことを目的としていると述べている。(VOGUE)

展覧会

▍千葉で2つの芸術祭。チームラボ作品展や、日本庭園でのメディアアート展も。

「ちばアート祭2021」屋外作品展 展示イメージ(左:大川友希:木にカラフルな布が巻き付けられている、右:杉本将己:薄暗い広場に多数のディスプレイが並べられている。
「ちばアート祭2021」屋外作品展 展示イメージ(左:大川友希、右:杉本将己)

千葉で2つの芸術祭が開幕する。ひとつは、千葉市で初めて開催される芸術祭「千の葉の芸術祭」。夜の日本庭園を舞台に、現代アートやメディアアート分野で注目を集める新進気鋭の若手アーティスト14組の作品を展示する「生態系へのジャックイン展」ほか、3つの部門で構成される。

もうひとつは、千葉県主催の文化プログラム「ちばアート祭2021」。オリンピック・パラリンピックの文化プログラムとして開催される。チームラボの屋外作品展示が行われるほか(鑑賞は千葉県民限定)、千葉県生まれの杉本将己をはじめ、千葉県ゆかりのアーティストらによる屋外作品展も開催される。

▍台湾の鶯歌陶芸美術館、奈良美智の陶芸作品を3Dウォークスルーで公開。

デジタル陶芸美術館の様子。奈良美智の陶芸作品がiPadに映し出されている。 画像引用:https://www.epochtimes.com/
デジタル陶芸美術館の様子 画像引用:https://www.epochtimes.com/

台湾の新北市にある鶯歌陶芸美術館は、「デジタル陶芸美術館」で、展示中の奈良美智の8点の陶芸作品をオンライン上の3Dウォークスルーで公開した。(参考:デジタル陶芸美術館)これは、開催中の「台湾国際陶芸ビエンナーレ」に出展された作品。同館はこれまでの過去の展示にも遡って35の展覧会をオンラインで公開したほか、これとは別に、同館所蔵の陶芸作品をオンライン上で3D画像で紹介するなど、オンラインでの作品紹介に力を入れている。(鶯歌陶芸美術館)

▍Hayata個展「LOLIPOP」展覧会レビュー

Hayata個展「LOLIPOP」展示風景。アクリル板にポートレートが描かれている。 photo by pinoko
Hayata個展「LOLIPOP」展示風景 photo by pinoko

2021年7月18日(日)~7月24日(土)の会期で開催されていた「Hayata」の個展「LOLIPOP」にお邪魔してきた。場所は表参道にあるコーヒーショップ「Lattest」。カジュアルシックな店内と、Hayataのカラフルで可愛らしい作品が絶妙にマッチしており、コーヒーを飲みながらリラックスして作品を眺めることができた。 今回の展示は自身初のポートレート作品のみを展示した個展なのだそう。今回の展示のために描き下ろしたという作品は、おしゃれ且つHayataらしい色使いや細部に見せる遊び心が魅力的で、ずっと眺めていても飽きないものばかりだった。

Hayata個展「LOLIPOP」グッズ販売の様子。バッグやカップなどのグッズが並ぶ。 photo by pinoko
Hayata個展「LOLIPOP」グッズ販売の様子 photo by pinoko

さらに店内ではグッズ販売も行っており、バッグ、マグカップ、ステッカー、アイシングクッキーなど、今回の展示作品をモチーフにしたアイテムを多数取り揃えていた。アーティストの個展で販売するには珍しいアイシングクッキーは、「COOKIE MAGIC」というアイシングクッキー工房とのコラボレーションなのだそう。どこまでもHayataのこだわりとセンスが垣間見える展示であった。

Hayataへのインタビュー記事はこちら

▍故・サムスン会長のアートコレクション、ソウルで初公開。

≪Women and Jars≫ / Kim Whanki 画像引用:https://news.artnet.com/
≪Women and Jars≫ / Kim Whanki 画像引用:https://news.artnet.com/

7月21日、サムスングループの故・李健熙(イ・ゴンヒ)会長が集めた数十億ドルのコレクションの中から、いくつかの作品が公開された。4月に2つの機関に寄贈されて以来、コレクションが公開されるのは今回が初めてとなる。韓国国立博物館では、寄贈された21,600点以上の中から、国宝28点を含む、歴史的な作品77点が公開された。一方、国立近現代美術館では、寄贈された約1,500点の作品の中から、韓国の34人の作家による近現代の絵画と彫刻58点を展示。なお、今月、李氏のコレクションだけを展示する新しい美術館を建設する計画が政府より発表され、これらの作品もその美術館に移動する予定とのことだ。(artnet news)

美術館・ギャラリー

▍イタリアの美術館、カメラで来館者の作品への関心を測定

カメラでの測定の様子。絵画の横にディスプレイ付きのカメラが備え付けられている。  画像引用:https://www.engadget.com/
カメラでの測定の様子  画像引用:https://www.engadget.com/

イタリアのボローニャ美術館では、鑑賞者の行動を把握するために、美術品の横にカメラを設置し、カメラを使って絵画の魅力を測定することに成功しました。イタリアの研究開発機関であるENEAは、芸術作品をどれだけ長く見ているか、どれだけ近づいているかを測定できる新しいシステムを開発。この技術により、研究者たちはすでに、私たちがアートをどのように認識し、どのように交流しているかについて、驚くべき洞察を得ており、例えば、アート作品の平均的な観察時間はわずか4〜5秒で、15秒以上注目される作品はごくわずかであることなどが判明した。マスクの制限がなくなれば、プライバシーを損なうことなく顔の観察を追跡できるようになり、認知的な反応もモニターできるようになるとしている。これらのデータは、コレクションの中で特定の作品をより目立つようにするために使ったり、これらのデータをもとに、絵画や彫刻の照明や配置など、作品の演出を変更することなども考えられているという。(Engadget)

▍EUで、文化施設の入場者に「ワクチン接種証明書」または「陰性証明書」の提出の義務化進む

EUの旗をバックに「TousAntiCovid」アプリの映し出されたスマホが掲げられている。 画像引用:https://news.artnet.com/
「TousAntiCovid」アプリ 画像引用:https://news.artnet.com/

フランスやイタリアでは、美術館、レストラン、劇場、スタジアム、映画館、ジム、その他のレジャー施設への入場にあたり、18歳以上の来場者は、完全なワクチン接種の記録、または過去48時間以内のPCR検査や抗原検査が陰性であることを示すQRコードの提示が求められる方針であることをartnet newsが報じている。フランスでは以前、マクロン大統領、ヘルスパスは「フランス人を差別するアクセス権にはならない」と約束していた一方、7月12日に行われた変更の発表では「今日行動を起こさなければ、感染者数は増え続けるだろう」と述べた。フランスでは、数千人の人々が、公共の場に行く際に義務付けられるヘルスパスに反対するデモを行っているという。ニューヨーク・タイムズ紙によると、フランスではワクチン接種の取り組みが停滞しており、対象となる人口の55%しか注射を受けておらず、完全に接種しているのは40%に過ぎないという。(artnet news)

▍「チームラボボーダレス」、2022年8月末に閉館。2023年に東京都心部で新たなチームラボボーダレスを開館予定。

エプソン チームラボボーダレス外観風景。
エプソン チームラボボーダレス

単独のアーティストのミュージアムとして世界最多規模となる約230万人を記録した「チームラボボーダレス」。周辺の再開発に伴い、「ヴィーナスフォート」や「Zepp Tokyo」などの施設とあわせて、来年8月31日をもって営業を終了する予定予定を発表した。同ミュージアムは、2019年の来館者数において、単一アート・グループとして、世界で最も来館者が多い美術館として世界記録に認定されていた。2023年に、都心部で新たなチームラボボーダレスを公開予定だという。

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文:ANDART編集部