
3分間でチェック!今週のアートニュース(2021.5.22〜28)
1週間の国内外のアートニュースから、今週は「アートマーケット」「アーティスト」「展覧会」「美術館」「カルチャー」の5つのテーマを軸に、NEW ART STYLE が厳選したニュースをお届け。3分間で1週間の注目ニュースを総ざらい。
アートマーケット

▍クリスティーズ香港、オークションハウスのアジア最高の総売上高を記録。
2021年5月24日、クリスティーズ香港は、「20・21世紀美術イブニングセール」を開催。総落札額は15.9億香港ドル(約225億円)となり、オークションハウスのアジアにおける最高の総売上高を記録した。
最高落札額は、1980年代に活躍した人気アーティスト、ジャン=ミシェル・バスキアの≪Untitled≫で2.3億香港ドル(約32.5億円)。15分間の激しい電話入札の末、1.7億香港ドル(24.1億円)の予想落札額を大きく上回った。これは、アジアにおけるバスキアの絵画史上2番目の高値だ。
このほか、奈良美智の≪Untitled≫が 5,400万香港ドル(約7.6億円)、バンクシーの≪Sale Ends Today≫が4,700万香港ドル(約6.7億円)で落札された。これはアジアのオークションではバンクシーの2番目の高額記録。2009年にサザビーズで販売された後、12年間で価値が26倍に跳ね上がっている。(参考:CHRISTIE’S 「20th and 21st Century Art Evening Sale」)
なお、バンクシーの ≪Sale Ends (v.2)≫ はANDARTで現在会員間取引を実施中だ。
▍落札総額は10億2,330万円。毎日オークション開催。
2021年5月22日、毎日オークションによる近現代美術のオークションが都内で開催された。落札価格のトップ3位に、ピカソの2作品がランクインした。このほか、奈良美智やロッカクアヤコらの作品が予想落札額を大幅に上回る価格で落札された。NEW ART STYLEでは注目作品を解説とともに紹介している。
▍フリーズ アジア初のアートフェア、2022年にソウルでの開催を発表。
世界有数のコンテンポラリー・アートとカルチャーの専門誌「frieze(フリーズ)」は、2022年9月にソウルで新たな国際アートフェアを開催する事を発表した。ロンドン、ニューヨーク、ロサンゼルスに続く4都市目となり、アジアでは初の開催となる。韓国の代表的なアートフェアである「KIAF ART SEOUL」との同時開催となり、アジアや世界各国のギャラリーがソウルに集まる、アートファンにとって見逃せない1週間となりそうだ。(参考:Frieze)
アーティスト

▍クリスティーズがアンディウォーホルのNFT作品を販売。波紋を呼ぶ。
クリスティーズは、アンディ・ウォーホルが1980年代半ばに制作し、2014年に旧式のフロッピーディスクから復元したデジタル作品のNFT5点を出品するオンライン・オークションを2021年5月27日に開催し、総落札額は3.4百万米国ドル(約3.7億円)となった。
1980年代半ばにウォーホルが所有していたパソコンのペイントプログラムで制作されたこの作品には、2つの自画像、バナナ、花、キャンベル・スープの缶など、ウォーホルの代表的なイメージが含まれていた。現代のコンピュータでは読めないデジタルファイルであった作品が、NFTの形で再び命を吹き込まれるかたちとなった。
一方、本作品のファイルを復元したカーネギーメロン大学のGolan Levin氏は、彼の研究室が高解像度版を複製したのは「ウォーホル財団の要請を受けて、報道用や印刷用の複製として使用するためだった」とし、クリスティーズで販売されている画像ファイルは、ウォーホルのオリジナル作品よりも高解像度であり、アーティストが作った作品とはかけ離れているものだと主張している。(参考:artnet)
▍バンクシーによる最大級の「壁画」がオークションに。
バンクシーの壁画が、2020年5月26日、オランダで行われたオークションで38万ユーロで落札された。オークション会社Hessink’sの広報担当者によると、これはこれまでに競売にかけられたバンクシーの作品の中で最大のものだったとのことだ。
≪The Whitehouse Rat≫と名付けられた壁画は、高さ3メートル以上、重さは500キログラム以上。もともとの作品は高さ約9.5メートル、幅約6メートルもあり、バンクシーが公共の場に残したイメージとしては最大のもだという。この壁画は、4月にクレーンで建物から吊り上げられ、オランダに移送されたが、イギリス人男性によって落札され、再び北海を渡ってイギリスに戻ることとなった。(参考:NL TIMES)
展覧会

▍リアル会場とオンラインで異なる2つの鑑賞体験 ライゾマティクス展が完全予約制で再開。
緊急事態宣言中により臨時休館していた東京都現代美術館での「ライゾマティクス_マルティプレックス」展が、2021年6月1日から完全予約制で再開することが発表された。PerfumeやELEVENPLAYの舞台演出などを手がけるクリエイティブ集団・ライゾマティクスの美術館における初の大規模個展であり、今回の展示作品の多くが新作となる。
なお、本展覧会はオンライン上でも開催されているが、単に会場を撮影したものではなく、実会場とは異なった演出方法や実会場で取得したデータを用いた作品など、実会場とは異なる体験ができる展示となっておりどちらも必見だ。(展覧会情報:「ライゾマティクス_マルティプレックス」展)
都の休業要請から時短要請への切り替えにより、東京都現代美術館以外にも、都内の美術館は6月1日以降順次再開する予定のようだ。
▍麻布台に新ギャラリーがオープン。こけらおとし展は水戸部七絵・高山夏希の2人展。
2021年6月4日、港区麻布台に新ギャラリー「Rikka Gallery 麻布台」がオープン。こけら落とし展「HUMANITY」が6月4日(金)〜6月25日(金)で開催される。参加アーティストは水戸部七絵、高山夏希。アート制作の中で人間そのものを再度見直し、作品として昇華させる2人だ。ギャラリーは完全予約制。 (参考:Rikka Gallery 麻布台)
水戸部七絵はYOUANDARTでも作品を取り扱う注目の若手アーティストだ。
▍”映画のセット”のような会場でバンクシー作品を体感する 「バンクシーって誰?」展、2021年8月21日から天王洲アイルで開催。
2021年8月21日〜12月5日まで、天王洲アイルの寺田倉庫 G1ビルで開催される「バンクシーって誰?」展。5月27日に記者発表会が行われ、その詳細が発表された。本展は、世界各都市を巡回する「The Art of Banksy展」の傑作群を、日本オリジナルの切り口で紹介する展覧会であり、プライベート・コレクターの所蔵する本物認定されたオリジナル作品群を紹介するものだ。NEW ART STYLEでは その見どころや注目作品を紹介している。
美術館

▍ルーブル美術館で初の女性館長就任へ 現オルセー美術館長
2021年5月26日、パリのルーブル美術館の次期館長に、現オルセー美術館長を務めるロランス・デカール氏を任命することが発表された。就任は9月1日。仏メディアによると、ルーブル美術館で初の女性館長となる。同氏は、19世紀から20世紀の初頭にかけての美術を専門とするキュレーター。近年は国内でも、国立新美術館長に逢坂恵理子氏、森美術館館長に片岡真実氏、横浜美術館館長に蔵屋美香氏、金沢21世紀美術館館長に長谷川祐子氏が就任するニュースが続き、女性キュレーターの活躍が見られる。
▍パリに安藤忠雄建築の新現代美術館がオープン。
2021年5月22日、パリ中心部の歴史的建造物「ブルス・ドゥ・コメルス(商品取引所)」が建築家・安藤忠雄氏による改修で現代美術館としてオープンした。パリを本拠地とするケリング(KERING)創業者のフランソワ・ピノー(Francois Pinault)氏による私設美術館だ。ルーブル、オルセー両美術館やポンピドーセンターに続く時代のアートの新施設として注目されている。(参考:Bourse de Commerce)
▍ニューヨークの MoMA 近くに、NFT アート専用の美術館の建設が発表される。
グッゲンハイムパートナーズの共同創業者であるトッド・モーリーは、5月24日、ここ数カ月で爆発的に話題になっているNFTに特化した世界最大の美術館を建設する計画を発表した。その場所はMoMAからわずか4ブロック。「世界で最も細いタワー」とも言われる84階建ての高層ビル内に設立する予定とのことだ。(参考:artnet)
▍UCCA現代美術館が上海に新しい美術館をオープン
2021年5月22日、中国を代表する現代美術館であるUCCA現代美術センターの新しいミュージアム、UCCA Edgeが上海にオープンした。これは、中国の北京、北部のリゾート地である北戴河に続く3つ目の美術館となる。初回の展覧会「City on the Edge」では、上海が中国の現代アートの最前線に躍り出た経緯が紹介されている。(参考:UCCA Edge)
カルチャー

▍ヴェネツィア建築ビエンナーレ開幕。
2021年5月22日、ヴェネツィア・ビエンナーレがスタートした。ヴェネツィア・ビエンナーレは、1895年から始まった世界を代表する国際展。偶数年に美術展、奇数年に美術展が開催されていたが、新型コロナウィルスの影響で1年延期される形となった。日本館は建築家・門脇 耕三氏がキュレーターを務め、「ふるまいの連鎖:エレメントの軌跡」をテーマに木造建築の再構築を行う。なお、日本館の展示の様子はオンラインでも公開されている。(参考:「ふるまいの連鎖:エレメントの軌跡」オンライン)
▍マリメッコ、創立70周年を記念し公式アートブックを発売。
ファッションブランド・マリメッコの創立70周年を記念し、公式アートブック 『マリメッコ:プリント作りのアート(原題 “Marimekko: The Art of Printmaking”)』が発売された。70年間の歴史の中で手掛けてきたコラボレーション、絶えず生み出され続けたプリントデザインや色鮮やかなテキスタイルにスポットライトをあて、マリメッコの「プリント作りのアート」が存分に楽しめる充実した内容の一冊となっている。オンラインストアでも入手可能だ。(参考:マリメッコ公式)
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