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アートニュース

【ANDARTアーティストニュース】ゲルハルト・リヒターや山口歴のチャリティー活動から、2021年のオークションハウス・NFTの売上総括まで (21.12.18-21.12.24)

注目のオークション結果から、展覧会情報まで。ANDARTお取り扱いのアーティストの話題を中心に、1週間のニュースを振り返ります。(1ドル= 114円、1ユーロ=130円で換算 ※ 2021年の過去のオークションの話題は当時のレートで換算)

アーティスト

▍ゲルハルト・リヒター、ホームレス支援のために4作品を寄贈

ゲルハルト・リヒターは、ドイツにあるホームレスのためのチャリティ団体「Fiftyfifty」に3つのプリントと1つのポスターを寄贈した。このうちのプリント作品1枚がオークションにかけられ、5万ユーロ (約650万円) で落札された。この収益は、路上生活を余儀なくされている人のために使われるという。(RP ONLINE)

リヒターはこうした支援活動に2015年から参加し、2018年には、ホームレス状態にある人々に恒久的な住居100軒を提供することを目標に100万ドル (約1.1億円) 以上の作品も提供している。(artnet news)

▍山口歴、アンディ・ウォーホル美術館のためのチャリティ・セールに作品を寄贈

ニューヨークを拠点とするアートプラットフォーム「No More Rulers」は、サザビーズと共同で「アンディ・ウォーホル美術館」を支援するためのチャリティ・セールを実施する。このセールに、山口歴が作品を寄贈することをInstagramで発表した。作品の販売収益は、アーティスト、学者、そして一般の人々に「故アンディ・ウォーホルの人生と芸術との創造的な交流の場を提供する」という、同美術館の使命のために活用されるという。

▍バンクシー チャリティTシャツについての動画をInstagramに投稿

「ブリストルでの人種差別抗議デモにおいて、奴隷商人であるコルストンの銅像を倒した罪で起訴された4人」を支援するためのチャリティーTシャツを販売したバンクシーだが、今週、このTシャツについてのショートムービーをInstragramに投稿した。

動画の前半では楽しげな音楽が流れ、Tシャツを手にして喜ぶ人たちを紹介するが、最後には、今回のチャリティの発端となった人種差別抗議デモの様子を紹介。「エドワード・コルストンは、ブリストル出身の奴隷商人です。80,000人以上の人々を誘拐しました。そのうち2万人が輸送中に死亡し、海に落とされました。これは歴史を消すためではありません、歴史と向き合うことなのです。コルストン4 (コルストンの銅像を倒した4人) を支援する。」と、その強い意志を表明している。

作品

▍江之浦測候所で冬至光遥拝の会を開催

杉本博司が設計した壮大なランドスケープ「小田原文化財団 江之浦測候所」で、冬至の日 (12月22日)、相模湾から昇る冬至光を遥拝する会が開催された。今年は稀にみる好天に恵まれ、冬至の日の出の軸線に沿って設計された光学硝子舞台、冬至光遥拝隧道から美しい日の出が観測できたという。

杉本は、冬至について「冬至は一年の終点でありまた起点である。この特別な一日は、巡り来る死と再生の節目として世界各地の古代文明で祀られてきた」としている。(小田原文化財団 facebook)

オークション

▍2021年のクリスティーズの売上は約8,094億円。過去5年で最高の結果に

11月9日、ニューヨークのクリスティーズの様子 Photo: Katya Kazakina 画像引用:https://news.artnet.com/

クリスティーズは、2021年の売上高は71億ドル (約8,094億円) であり、過去5年間で最高となったことを発表した。プライベートセールスとNFTが売上に大きく貢献したという。オークションの売上高は54億ドル (約6,156億円) で、昨年の44億ドル (約5,016億円)から大幅に増加した。一方、競合他社であるサザビーズの今年の売上高73億ドル (約8,322億円) には及ばなかった。(artnet news)

なお、今年のクリスティーズのオークションのハイライトとして、以下のようなトピックが紹介されている。(businesswire)

パブロ・ピカソの《Femme assise près d’une fenêtre (Marie-Thérèse)》が、今年のオークションで落札された最高額の作品に。(5月、ニューヨーク、約113億2,505万円(103,410,000 USD))

ジャン=ミシェル・バスキアの《In This Case》は、今年のオークション落札額第2位に。(5月、ニューヨーク、約101億2,191万円(93,105,000 USD))

バンクシーの《Game Changer》が、慈善事業のためにオークションで落札された最高額の作品に。 (6月、ロンドン、約25億円 (1,670万ポンド) )

草間彌生の《Pumpkin (LPASG)》が、存命の女性アーティストのオークションで最高額を記録。(12月、香港、落札価格:約9億433万円(HK$ 62,540,000))

▍2021年のオークション市場は上位6名のアーティストが売上の25%を占める

総売上が過去最高となったことが伝えられた2021年のオークション市場だが、アートマーケットデータベース「Artsy Price Database」の調査によると、2021年のオークションでは、上位6名のアーティストが2021年の市場の約25%を占めたという。上位6名は以下。パブロ・ピカソ(7%)、ジャン=ミシェル・バスキア(5%)、アンディ・ウォーホル(4%)、クロード・モネ(3%)、ゲルハルト・リヒター(3%)、フィンセント・ファン・ゴッホ(3%)。

レポートでは、このほかにも9つの観点で今年のオークション市場の特徴を解説している。(Artsy)

NFT

▍2021年のNFT取引は約2.6兆円に

2021年、「NFT」は一気に存在感を増し、2021年アート界の「Power 100」ランキングの1位も「NFT」となったが、ブロックチェーン分析会社のDappRadarの調査によると、2021年の総取引額は230億ドル (約2.6兆円) に達したという。NFTのメインストリームへの進出は、今年3月、クリスティーズオークションでBeepleのNFTが6,934万ドル(約79億円) で落札されたことがきっかけとなった。(GO BankingRates)

▍ダニエル・アーシャム、3つの新しいNFTコレクションをデビュー

ダニエル・アーシャムの新しいNFTコレクション 画像引用:https://hypebeast.com/

12月22日、ダニエル・アーシャムは3つのNFTデジタル彫刻のコレクションをリリースした。「Eroding and Reforming Digital Car」と題されたデジタル彫刻のシリーズ作品で、自動車が時間に伴い浸食されていく映像作品で、9時間13分ごとに浸食サイクルを終え、再形成される。第一弾は150個の限定版で、購入者は抽選で決定される。(HypeART)

展覧会

▍「バンクシー展 天才か反逆者か」展で、年末年始の4日間「愛を込めて花束を」キャンペーン

原宿で開催中の「BANKSY GENIUS OR VANDAL?(バンクシー展 天才か反逆者か)」展では、関東初上陸となる代表作《スロウワー》にちなみ、2021年12月31日(金)〜2022年1月3日(月)の4日間の期間限定で「愛を込めて花束を」キャンペーンを実施することを発表した。期間中は、毎日先着100名さまにチャンスフラワーを用いた花束をプレゼントする他、会場のフォトスポットには花の門松が登場する。(プレスリリースより)

▍ワタリウム美術館の「視覚トリップ展」で、アンディ・ウォーホル初のドローイング集を展示

東京・外苑前にあるワタリウム美術館で、「視覚トリップ展 ウォーホル、パイク、ボイス 15人のドローイングを中心に」(20221年1月22日〜5月15日)が開催されることが発表された。アーティストたちの作品を通し、視覚体験を楽しむ展覧会。ワタリウム美術館のコレクションから、アンディ・ウォーホルの初めてのドローイング集「サムという名の25匹の猫と青い子猫ちゃん」も展示される。1950年代、ウォーホルが商業イラストを描く一方、ポップ・アートの作品制作を試みた作品だ。(プレスリリースより)

▍オランダでロッカクアヤコの個展を開催

オランダのアムステルダムにあるGallery Delaiveでロッカクアヤコの個展が開催される。12月18日にスタートした後、残念ながら、12月19日にCovid-19による都市のロックダウンとなり、1月15日までは閉鎖となるようだが、Instagramでは、大判の絵画や陶器の作品群が展示された会場の写真が公開されている。

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文:ANDART編集部