1. HOME
  2. アートニュース
  3. 2021年上期オークション売上トップ10から、拡大するNFT市場のトピックまで。今週のアートマーケット トピック振り返り(21.07.31-21.08.6)
アートニュース

2021年上期オークション売上トップ10から、拡大するNFT市場のトピックまで。今週のアートマーケット トピック振り返り(21.07.31-21.08.6)

注目のオークション結果から、アート市場の動向まで。今週、アートマーケットを賑わせたトピックを振り返り!(本文中のレートは1USD=110.23円で計算)

(※ 今週の「アートニュース」はコチラ

▍2021年上半期のオークション市場におけるトップ10アーティストが発表。第1位は?

パブロ・ピカソの≪Femme assise près d'une fenêtre (Marie-Thérèse)≫の前に女性が立っている
今年5月、約1.3億ドルで落札された ≪Femme assise près d’une fenêtre (Marie-Thérèse)≫ / パブロ・ピカソ 画像引用:https://www.thejakartapost.com/ 

artprice.comが、2021年上半期の世界のオークション市場におけるトップ10アーティストを発表している。その順位と売上高は以下。

 1. パブロ・ピカソ:3億5,216万9,000ドル (約388億円)
 2. ジャン=ミシェル・バスキア:3億3537万円 (約370億円)
 3. アンディ・ウォーホル:1億4998万2000ドル (約165億円)
 4. クロード・モネ:131,638,000ドル (約145億円)
 5. バンクシー:123,328,000ドル (約136億円)
 6. ザオ・ウーキー:1億1451万8000ドル (約126億円)
 7. ゲルハルト・リヒター:97,920,000ドル (約108億円)
 8. サンドロ・ボッティチェリ:94,206,000ドル (約104億円)
 9. 奈良美智:85,937,000ドル (約95億円)
 10. 張大千:82,295,000ドル (約91億円)

注目すべきはバンクシーであり、彼は世界のアートオークション市場において、すべての創作期間を合わせて最も成功した5人のうちの1人だと解説されている。彼は、地球上で最も稼いでいる現役アーティストのひとりであり、その流通方法でもアート市場に革命を起こしてる。(CISION)

▍2021年上半期、オークション市場において、現代アートは2019年比 50%増の歴史的跳躍。

ジャン=ミシェル・バスキアによる絵画≪Versus Medici≫ が掲げられている
今年5月、約5,080万ドルで落札された≪Versus Medici≫ / ジャン=ミシェル・バスキア 画像引用:https://hypebeast.com/

2021年上半期、コンテンポラリーアート部門(1945年以降に生まれたアーティスト)は、2019年上半期に対して50%増と歴史的なパフォーマンスを記録した。artprice.comが世界のオークション市場についてまとめた結果によれば、モダンアート(8%減)と戦後(4%減)のセグメントは、パンデミック以前の水準にはまだ回復していない。現代アートは、20年前には世界のファインアートオークションの売上高のわずか3%だったが、現在では23%を占め、3億ドル(330億円)以上を売り上げたジャン=ミシェル・バスキアだけでも、2021年上半期の世界の美術品オークション市場の4.3%を占めている。(CISON)

▍フィリップス、2021年上半期は2019年比25%増の約600億円の売上。アジアからの需要が後押し。

フィリップスのイブニングセールにおいてオークショニアがハンマーを下ろしている様子
フィリップスのイブニングセールの様子 画像引用:https://news.artnet.com/

フィリップス・オークション・ハウスは2021年8月2日に、2021年上半期の売上高を発表。2019年上半期の売上高が5億4,270万ドル(約600億円)に達し、2019年の同時期に比べて25%増加したと発表した。2019年と比較し、オークションの売上は15%増に留まったが、プライベートセールスが107%増、アジアでの売上が107%増となったことが影響している。(artnet news)

パンデミック以降、美術品や高級品に対する需要が高まったことで、オークションハウスは全体的に売上が伸びており、三大オークションハウスは軒並み、プライベートセールも非常に忙しくなっているという。先日、クリスティーズも2021年上半期の売上高が約3,850億円となり、2015年以降で最高額となったことを発表している。

参考:「クリスティーズの2021年上半期の売上高は約3,850億円。2015年以降で最高額に。」(アートニュース内記事)

▍アジアがアートオークションの世界市場を牽引。アーティスト別の売上も欧米と近い構成に。

≪Buste de matador≫ / パブロ・ピカソ(左), ≪Nu avec un pékinois≫ / サンユー(右) の2枚の絵が並んでいる
≪Buste de matador≫ / パブロ・ピカソ(左), ≪Nu avec un pékinois≫ / サンユー(右) 画像引用:https://www.artnews.com/

今年、三大オークションハウスが軒並み好成績の売り上げを発表する中、ARTnewsがその内訳を分析している。2020年12月には、香港でのオークション売上がニューヨークとロンドンの売上を大幅に上回るという予想外の結果が出たが、この傾向は今年に入っても継続しているという。今シーズンの特徴としては、アジアのマーケットにおいても欧米と同様、ジャン=ミシェル・バスキアとパブロ・ピカソが売上の上位に食い込んだことであるという。一方、日本の奈良美智や中国のサンユー(常玉)はアジアにおいてはそれ以上の人気を誇り、奈良の今年の総売上高は約5030万ドル (約55億円)、サンユーは3,720万ドル(41億円)となっている。(ARTnews)

▍無許可で出品されたバンクシーのNFT ≪SPIKE≫、約1,817万円で落札される。

バンクシーの≪SPIKE≫の外観。石のブロックに「SPIKE」という文字が書かれている。
NFT化されたバンクシーの≪SPIKE≫ 画像引用:https://www.cryptelicious.com/

バンクシーの作品≪SPIKE≫をベースにしたNFT作品のオークションがVALUART社にて2021年7月30日に終了し、約1,817万円 (65EHT )  で落札された。本作は、元々バンクシーが2005年にパレスチナとイスラエルを隔てる分離壁に「SPIKE」と描いた部分を削り取ったものだ。オークションで得られた資金の半分は慈善団体に寄付される。(VALUART)

しかしながら、これは作者であるバンクシーに無許可で鋳造されたNFTであり、物議を醸している。本件のいきさつやNFTアートの権利問題について、NEW ART STYLEで詳しく解説している。

▍日本人アーティストたちが上位独占!7月31日開催毎日オークション

《ARP5》/ ロッカク アヤコ 作品画像
《ARP5》/ ロッカク アヤコ 画像引用:https://www.artprice.com/ 

2021年7月31日、東京毎日オークションハウスで第679回毎日オークションが開催され、ロッカク アヤコら、日本人アーティストが上位を独占する結果となった。また、バンクシーの《Jack & Jill》は、最低予想落札価格の約3倍、ANDARTで扱う同一作品の総額670万円に対して2.1倍以上と高額で落札され、バンクシーの人気の高まりも証明される結果となった。

NEW ART STYLEでは、本オークションの落札額ベスト5と注目作品について解説している。

▍NFTプラットフォームMakersPlace、ベンチャーファンドで3,000万ドルを調達。元サザビーズのCEOらも出資。

NFTプラットフォームMakersPlaceに関わるEleanor, Alexander, and Nicholas Acquavella 3名の写真
Eleanor, Alexander, and Nicholas Acquavella. 画像引用:https://news.artnet.com/

NFTプラットフォームのMakersPlaceは、3,000万ドル(約33億円)の資金調達を発表した。その投資家の中には、元Sotheby’s C.E.O.のBill Ruprecht、Pace GalleryのディレクターSabrina Hahnといったアート界の著名人も含まれる。同プラットフォームは今春、クリスティーズがBeepleの「The First 5000 Days NFT」を6,900万ドルで落札したことで、NFTマーケットプレイスとしては初めて大手オークションハウスと提携。同プラットフォームは1年間で1億ドル以上の売上を上げ、ユニークコレクターの数も10倍に増えたという。(artnet news)

▍NFTマーケットプレイス「OpenSea」の取引量、48時間で9,500万ドルを記録。2020年の年間総取引量の4倍以上。

OpenSeaのCEO兼共同設立者であるデビン・フィンザーが、同プラットフォームは過去2日間で9500万ドル(約105億円)という驚異的な取引量を記録したことを発表した。この金額は、昨年のNFT市場の取引総額である約2,100万ドル(約23億円)を4倍以上となる。なお、この数週間前、OpenSeaは投資家から1億ドルの資金を調達し、OpenSeaの市場評価額は15億ドル(約1650億円)に達している。(Crypto Potato)

▍インフレに対抗する投資としてのアートコレクション

積み上げられた高価の上で考える人のミニチュア

アメリカの経済誌「Forbes」にて、アートコレクションを投資として検討する際に考慮すべき基礎知識を解説している。アートの収集は、「楽しむために買う」「投資のために買う」という2つの立場があり、この2つの考え方を組み合わせて、両方を満足させるバランスをとることができる。また、美術品を購入するのは富裕層である必要はなく、インフレからの有効な対策を探している人にとっては安全な投資先のひとつと考えられているそうだ。また、アートがいかに長期的な経済的利益をもたらすかは、数々の研究で明らかになっているとしている。(Forbes)

ANDARTに無料会員登録すると、オークション情報やオーナー権販売情報をいち早くお届け!メールアドレスの他、SNSでも簡単に登録できます。

無料会員登録のメリット
1 アーティストや作品ごとのオークション落札実績をわかりやすくチェックできる
2 新作の抽選・販売・イベント情報などをいち早くお届け。欲しかった作品のオーナー権を見逃さない
3 ANDART編集部の厳選した国内外のアート情報を定期的にお届け。
まずは無料会員登録

文:ANDART編集部