
3分間でチェック! 今週のアートマーケット、 トピック振り返り(21.07.17-21.07.23)
注目のオークション結果から、アート投資関連記事まで。今週、アート市場を賑わせたトピックを振り返り!3分間で1週間のアート市場ニュースを総ざらい。(本文中のレートは1USD=110.55円で計算)
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▍アート市場の信頼、7年ぶりの高値に達する
業界分析会社のArtTacticによると、アート市場への信頼感は2014年以来の最高水準に達した。7月の最初の2週間に実施された113人の業界関係者を対象とした調査で、全体的な信頼度は80.6(100点満点中)となり、11月の44.6、2020年5月の過去最低の6 (!) から上昇した。報告書によると、パンデミックは破壊的ではあるものの、「美術品市場に変革をもたらす触媒ともなり、セクター全体でより回復力のある革新的なビジネスモデルを生み出した」としている。なお、ArtTactic社は「今後6ヶ月間で最も活躍が期待される既存のアーティスト」として、奈良美智、セシリー・ブラウン、マーク・ブラッドフォードの3人を挙げている。(Financial Times)
▍2021年第2四半期のNFT市場、予想に反しさらなる拡大

ビットコインの価格は下がるなか、これまでの常識に反し、NFTの市場は衰えていない。今年4月中旬には、ビットコインの価格が63,500ドル付近で頂点に達した後、価格は半分以下まで下落した。ブロックチェーンの売上を追跡するDappRadarによれば、それにもかかわらず、2021年第2四半期のNFTの売上高は24億ドルで、第1四半期の23億ドルを上回ったとしている。この数字には、オークションハウスを通じた送金のようなオフチェーン・セールスは含まれない。同レポートによると、売上高は第1四半期に比べて111.46%となり、アクティブなウォレットの数も同時期に151.89%と急増している。(ARTnews)
▍奈良美智の《Berlin Barack, Room 1》は、なぜ彼の立体作品として史上最高額で落札されたのか?

今年4月、奈良美智の《Berlin Barack, Room 1》がポーリーオークションの「モダン&コンテンポラリー・アート・セール」で1億2000万香港ドルで落札され、奈良美智の立体作品としては史上最高額、奈良美智の作品としては歴代2位の落札価格となった。この作品はなぜこれほど高額で落札されたのか?ポーリーオークション香港の近代・現代美術部門の責任者であるジェイミー・ユーがその理由について解説している。このインスタレーションは、小さな家の中に≪Hothouse Doll≫と≪Three Sisters (Berlin Version)≫という2つの作品が入っている。インスタレーションは、奈良の最も重要な作品のひとつでありながら、多くは回顧展やビエンナーレのために特別に制作され、市場に出回ることはレアなのだ。その上、現時点でオークション史上最大級のインスタレーション中絵画2点も付属している。奈良はコレクターの層も厚く、香港、北京、ニューヨーク、ロンドンのどのオークションでも同じ価格帯で取引されているという。(artnet news)
▍Netflixアニメ「リック・アンド・モーティ」のクリエイターによる最初の絵画、オークションで600万円超の落札。

Netflixの人気アニメ「リック・アンド・モーティ」の共同制作者であるジャスティン・ロイランドはサザビーズオークションにて初めて絵画を販売。約630万円(56,700USD)の落札となった。作品にはアニメ風の顔が多数描かれ、乾いた絵の具が垂れている。サザビーズのカタログでは、この作品を “ジャン・デュビュッフェの1960年代の騒々しい構図 “と比較している。ロイランドは今年1月、NFTのコレクションを発表。約1.8億円(165万ドル)という衝撃的な価格で落札され、今回のオークションも注目を集めていた。(artnet news)
▍アートバーゼル2021の参加ギャラリー発表。273ギャラリーが出展。

アート・バーゼルは、今年9月にスイスで開催されるフェアに出展する2021年のギャラリーリストを発表した。出展する33カ国273ギャラリーのうち、24のギャラリーが初登場となる。2019年の290社の参加者からわずかに減少したものの、アート界が徐々にパンデミック以前の活動を取り戻しつつあるといえそうだ。9月のアートバーゼルは、スイスの組織が2019年版以来、初めて開催する対面式のフェアとなる。(Hype Art)
▍寺田倉庫、TikTokとパートナーシップ契約を締結
アートの保管から日本最大のギャラリーコンプレックス「TERRADA ART COMPLEX」の運営までを手がける寺⽥倉庫株式会社は、「TikTok」との新たな取組みとして、ライブ配信およびコンテンツ制作のパートナーシップ契約を締結したことを発表した。TikTokでは「GoToアート」企画を通じ、国内外の美術館や美術展から日本ユーザーに向けたTikTok LIVE配信を実施しているが、TikTokと美術業界におけるパートナーシップ締結は今回が国内初になるという。パートナーシップ締結を機に、2021年7月30日より、寺田倉庫公式TikTokアカウントから定期的にTikTok LIVEを配信するとのことだ。
▍現代アート投資のリスクとリターンの傾向は?

アート投資プラットフォームを運営するMasterworks社がまとめた公開データによると、1995年から2020年まで、現代アートの価格はS&P500を174%上回っているという。また、超富裕層が保有する投資の上位にも入っている。この期間、S&P500は年率9.5%で上昇したのに対し、現代アートの価格は平均で年率14%上昇した。
シティバンクが2020年に発表したレポートによると、アートは主要な資産クラスの中で株式市場との相関性が最も低いもののひとつであるという。ピカソ、モネ、ウォーホルなどのアーティストを含む現代美術では、1995年から2020年まで、2年間の投資期間で測定した場合、現代美術の価格が損失に直面したのはわずか8%であり、その損失は平均でわずか0.5%に過ぎない。米国の住宅の潜在的な損失が20%、S&P500のトータルリターンが24%であることとすると、現代アートは非常に興味深い投資対象であるとしている。(Value Walk)
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文:ANDART編集部