
3分間でチェック! 今週のアート市場 トピック振り返り(21.07.03-21.07.09)
注目のオークション結果から、アート投資関連記事まで。今週、アート市場を賑わせたトピックを振り返り!3分間で1週間のアート市場ニュースを総ざらい。
▍2021年上半期、トップオークションハウス全体の売り上げは230%に増大。

アートコレクターやアート投資家向けに分析ツール・財務ツールを提供する「Pi-eX」のデータによると、ビッグ3のオークションハウス(サザビーズ、クリスティーズ、フィリップス)の売上高は2021年上半期で230%増加した。合計で58億ドルの売上高は、回復が順調に進んでいることを示唆しており、パンデミック前の同等期間である2019年と比較して3,000万ドルの増加となっている。(Artnet News)
▍NFTの売り上げ、前年の約180倍に急増。

NFTの市場は第2四半期に新高値を更新し、2020年上半期の1,370万ドルから、2021年上半期は25億ドルの売り上げを記録したことが、マーケットプレイスのデータで明らかになった。今年初めにNFTが爆発的に普及した後、販売量は高い水準で推移し、NFTの大手マーケットプレイスであるOpenSeaの月間販売量は、6月に過去最高を記録したという。(ロイター)
なお、2021年5月にANDARTの行った調査でも、回答者 (ANDARTユーザー) の5割弱がNFTアートについて認知、NFTアートを知っていると回答したうちの約7割が購入を検討と回答するなど、NFTへの関心の高まりが伺える。
(インターネット調査結果はこちら:株式会社ANDART、アートへの興味や購入経験に関する調査結果を発表。NFTアート認知者の約7割がNFTアートの購入に前向き。)
▍KINE作品が予想落札価格の上値の2倍以上の価格で落札。7月3日・4日開催 SBIアートオークション。

7月3日・4日に「第45回 SBIアートオークション|LIVE STREAM AUCTION」がオンラインで開催された。今回のハイライトである作品が期待を裏切らず、予想落札価格の上値の2倍以上となる2,070万円で落札され、本オークションでの落札額1位となった。NEW ART STYLEでは、落札額Top5作品のほか、ANDARTで取り扱うジュリアン・オピーやKAWSらの作品についても解説を行っている。
NEW ART STYLEで詳細を読む: 7月3日・4日開催 SBIアートオークション落札額Top5 作品解説
▍バンクシーが気候変動に切り込んだ話題作も。6月30日開催クリスティーズオークション(ロンドン)落札額Top5作品解説。

6月30日、クリスティーズオークション「20世紀/21世紀美術 イブニングセール」がロンドンで開催された。ピカソが88歳の晩年の時期に描いた《L’Étreinte》が約22.5億円で落札された。また、バンクシーがハドソンリバー派のメンバーであるアルバート・ビアシュタットが1890年に描いたレーニエ山国立公園の油絵に介入し、世界的な気候危機について切り込んだ作品《Subject to Availability》の落札も大きな話題となった。
NEW ART STYLEで詳細を読む: 6月30日開催クリスティーズオークション(ロンドン)落札額Top5作品解説
▍切手サイズのレオナルド・ダ・ヴィンチのドローイング、ダ・ヴィンチの紙の作品として最高額を更新。

7月8日、クリスティーズの「The Exceptional Sale」オークションにて、レオナルド・ダ・ヴィンチが1480年代初頭に描いたとされる≪Head of a bear≫ (熊の頭部)が出品された。これは、個人所有の絵画8点のうちの1点。争奪戦となる予想に反し、入札は1組のみであったとのことだが、約13.5億円(885.7500ターリング・ポンド, 1スターリング・ポンド=152.37円で換算)での落札となり、ダ・ヴィンチのによる紙の作品の新記録を打ち立てた。(Artnet News)
▍アート市場のなかで、バンクシーのプリントをどう扱うか?

ニューヨークを拠点とするオンラインギャラリーのArtsyは、オウンドメディアのなかで、バンクシーのプリント価格のこれまでの動向と今後の予想などをコレクター向けにアドバイスをまとめている。ここ10年ほどで一気に価値が上昇したバンクシーのプリントだが、現在、「バンクシーの版画は時間が経っても価値を維持する」という意見が多いようだ。また、「バンクシーが注目すべきアーティストとして主要な美術館や機関に認められ、受け入れられたのはごく最近のことであることを忘れてはなりません」とし、バンクシーが”人気のあるストリートアーティスト”から”歴史に欠かせない存在”へと成長したとしている。(Artsy)
▍パンデミック後のアート界の衝撃的な変化とは?
パンデミックにより、これまでのアートシーンはリセットされ、全く新しい展開になっていることをウォール・ストリート・ジャーナルが取り上げている。この1年、トップギャラリーの取り合いアーティストが変化しただけでなく、大都市のギャラリーがリゾートの飛び地にポップアップスペースを開き、また、3大オークションハウスの主要なポストのメンバーが入れ替わるなどの変化が見られている。ジェフ・クーンズのような長年のアイコンがかつてのように売れず、NFTや陶器、歴史的に無視されてきたアーティストに注目が集まるなど、アートの世界が根本的に変わりつつあるという。(WSJ MAGAZINE)
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