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ジャン=ミシェル・バスキアの作品とドクターマーチンのコラボレーション第2弾が発売

ドクターマーチン(Dr. Martins)がジャン=ミシェル・バスキアの作品との2回目となるコラボレーションを7月3日(土)に発売。ピックアップされたバスキアの代表作《無題(頭蓋骨)》(1982年)と《Pez Dispenser》(1984年)の簡単な解説もあわせて、今回のコラボレーションを紹介。

画像引用:https://front-row.jp/

ジャン=ミシェル・バスキアとは

バスキアは20世紀美術で最も重要な巨匠の1人とされるアメリカ人アーティスト。1960年に生まれ、幼い頃からドローイングに興味を示し、母親に連れられて美術館をよく回っていた。のちにキース・ヘリングやアンディ・ウォーホルと親交を持ち、個展やグループ展を開催。

画像引用:https://www.nybooks.com/

1980年代のアメリカアートシーンのスターダムを一気に駆け上り、88年急性薬物中毒により27歳でその生涯を終えた。わずか10年の活動期間に3,000点を超すドローイングと1,000点以上の絵画作品を残し、早すぎる死が世界中で悔やまれている才能豊かなアーティストだ。

ドクターマーチンに映えるバスキアの作品

《無題(頭蓋骨)》

イギリス生まれのシューズブランド・ドクターマーチンのアイコン1460(8ホールブーツ)とレザーバックパックにあしらわれたのは《無題(頭蓋骨)》(1982年)という作品。

画像引用:https://front-row.jp/

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《無題(頭蓋骨)》(1982年)
画像引用:https://www.theguardian.com/

《無題(頭蓋骨)》シリーズはその名も通り、頭蓋骨に焦点を当てて制作された作品シリーズ。頭蓋骨がモチーフにされているのは、バスキアが7歳の時に入院した際、母親からもらった『グレイの解剖学』という本のイメージを元に描いているため。2017年に前澤友作氏が約123億円で落札して話題を呼んだ作品でもある。

バスキアは「挑発的二分法」と呼ばれる表現方法で、同じ画面に「白人と黒人」や「金持ちと貧乏人」という対極するモチーフを存在させることで、黒人差別や貧富の差に対する怒りや悲しみなど政治的なメッセージを込めた作品を生み出していたことでも知られている。

本作をよく見てみると、赤と混じり合う黒い頭蓋骨の頭上には誰かが計算したような跡がある。この表現は、もしかしたら18世紀に奴隷船で亡くなった黒人の数やこれまでに警察官に殺された黒人の数を数えているのでは?とも考察されている。

《Pez Dispenser》

1460(8ホールブーツ)と同様に名作アイテムの1460(3ホール)には、《Pez Dispenser》(1984年)が両脇に構え、シュータンとドクターマーチンのアイコニックなイエローのステッチ周りには、バスキアのシンボルでもある「クラウン(王冠)」が覗くデザイン。

画像引用:https://front-row.jp/

画像引用:https://www.fashion-press.net/

「クラウン」はバスキアの作品の中でもよく登場するモチーフ。これはバスキアがアメリカのテレビ番組「リトルラスカルズ」に出てくるバックウィートという男の子の髪型がお気に入りだったことからきているそう。

『リトルラスカルズ』に出てくる男の子、バックウィート(本名:ウィリアム・トーマス・ジュニア)
画像引用:https://www.cmgww.com/

《Pez Dispenser》は、バスキアのストリートアートと新表現主義(1970年代〜80年中頃まで美術市場を支配した現代美術の様式)をミックスしたスタイルの典型的な作品として言及されることが多い。

「Pez Dispenser(ペッツディスペンサー)」とは、アメリカのお菓子「PEZ(ペッツ)」を入れるキャラクターの容れ物のこと。アメリカのポピュラーなアイテムを取り入れたところはポップアートの要素も含まれており、バスキアが敬愛していたポップアートの巨匠、アンディ・ウォーホルを想起させる。恐竜が被るクラウンには、ウォーホルをリスペクトする意味も込められているのかもしれない。

左:アンディ・ウォーホル 右:ジャン=ミシェル・バスキア
画像引用:https://jp.drmartens.com/

使っていくうちに自分だけの味が出るドクターマーチンのアイテム、色褪せることのないバスキアの代表作。どちらも長く愛せる価値を持ったブランドとアーティストのコラボレーションは、ひとつ持っておくとクローゼットに華を添えてくれる。ファッションとアートを楽しむのにぴったりのアイテムは、売り切れる前にチェックしたい。

【ドクターマーチン】
https://jp.drmartens.com/

ANDARTでは、バスキアのシンボル「クラウン」が描かれている作品《Jawbone of an Ass》を扱っている。興味のある方はこちらも是非チェックして頂きたい。

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文:千葉ナツミ