
3分間でチェック!今週のアートニュース(2021.5.15〜21)
1週間の国内外のアートニュースから「アートマーケット」「アーティスト」「展覧会」「カルチャー」の4つのテーマを軸に、NEW ART STYLE が厳選したニュースを毎週お届け。3分間で1週間の注目ニュースを総ざらい。
アートマーケット

▍高額落札続々 「マレットオークション」開催
2021年5月20日、マレットジャパンによる近現代美術のオークションが都内で開催された。バンクシーのシルクスクリーン作品が2,000万円を超えたほか、KAWSのシルクスクリーン作品も1,000万円を超える落札となるなど、活況を見せた。NEW ART STYLEでは、TOP5の作品を解説を交えて紹介している。
▍アジア最大級のアートフェア「アート・バーゼル香港2021」開催
2021年5月19日〜23日、アジア最大級のアートフェア「アート・バーゼル香港2021」が開催された。2020年は新型コロナウィルスの影響でオンラインのみの開催となったが、今回は会場とオンラインのハイブリッドでの開催。参加ギャラリーは104件と2019年の半分以下となり、規模は縮小となったが、チケットは初日を待たずに完売。
フェア初日にはニューヨーク等を拠点とするLévy Gorvyギャラリーがアメリカ抽象表現主義の代表的画家・ジョアン・ミッチェルの記念碑的な絵画作品 ≪12 Hawks at 3 O’Clock≫ を約2,000万ドルでコレクターに販売。パンデミックが続いているにもかかわらず、アジアのアート市場が持続的な強さを持っている様子を見せた。(ARTnewsより)
▍バンクシーの代表的な要素が詰まった作品《Napalm》「ANDART」でオーナー権の抽選販売開始
日本初・アート作品の共同保有プラットフォーム「ANDART」は、グラフィティアーティスト・バンクシーによる作品《Napalm》のオーナー権の抽選販売を開始した。《Napalm》は人気キャラクターと歴史的な有名写真をモチーフに使用した、バンクシーらしいメッセージ性の強い作品。ANDARTではその作品の詳細を紹介している。
▍フィリップス 20世紀・現代アート&デザインセールを6月にポーリーと共同で開催
来たる2021年6月7日〜8日、フィリップス (PHILLIPS AUCTIONEERS) は、20世紀・現代アート&デザインセールを香港と北京の2箇所にてポリーインターナショナルオークションと共同開催する。今回のセールではゲルハルト・リヒターやジョージ・コンドなどの西洋の名作から、奈良美智や草間彌生などの日本人アーティストによる作品、そしてアモアコ・ボアフォやサルマン・トーアなどの新進気鋭の作家まで、多様性に富んだ傑作の数々が出品される予定だ。
アーティスト

▍KAWSの新アートプロジェクト始動 高さ約42メートルの世界最大級の熱気球が初飛行
2021年5月17日、KAWSのアートプロジェクト『KAWS:HOLIDAY UNITED KINGDOM』が始動した。《KAWS:HOLIDAY》と題したプロジェクトは、2018年よりソウル、台北、香港、日本、宇宙へと展開し、世界中の人々を驚かせてきた。新たに始まる熱気球の冒険は、熱気球の都として知られるイギリス西部にあるブリストルの地より飛び立つ。今回のプロジェクトでは乗客を乗せて遊覧飛行する。2021年10月以降にはつぎなるフライトを開始予定であり、参加者は公式サイトで募集される予定だ。
▍ダニエル・アーシャム 初のNFT作品をリリース
浸食された古典彫刻の探求を続ける現代アーティストのダニエル・アーシャムは2021年5月22日、彼にとって初となるNFT作品をリリースした。今回はルーヴル美術館のコレクションにある古代の胸像に触発された3次元のデジタル彫刻であり、この彫刻がゆっくりと崩壊し、1年かけて再形成されるという作品になるそう。今後数ヶ月にわたり、10作品をリリースする予定とのことだ。
▍バンクシーの“商標権争い”に判決
バンクシーの有名な猿のモチーフをめぐる商標権争いに対し、2021年5月19日、EUIPO(欧州連合知的財産局)はバンクシーから商標権を剥奪する決定を下した。この猿のモチーフは、彼の作品の中で最も象徴的なもののひとつであり、5月11日のクリスティーズオークションでは同モチーフの作品が2.3億円で落札されている。
バンクシーが商標登録をした時点で、この猿のモチーフは公共の場所へグラフィティとして存在していたため「一般の人々が自由に撮影でき、広く普及していた」とEUIPOは指摘している。これは昨年9月にバンクシーの作品≪Flower Thrower≫の商標権を剥奪する決定を下した事に続くものであり、この際は「アーティストが完全な匿名性を維持していること」がその理由とされた。バンクシーの活動スタイルならではの苦難ともいえる。
展覧会

▍都市を舞台にしたテクノロジーアートの祭典「Media Ambition Tokyo 2021」 東京シティビューで開催中
最先端のテクノロジーカルチャーを実験的なアプローチで都市実装するリアルショーケース「Media Ambition Tokyo」が、六本木の六本木ヒルズ森タワー52階・東京シティビューを中心に、リアルとオンラインを組み合わせたハイブリッドな展覧会を開催中。第9回目となる今年の参加アーティストは、WOW、チームラボ、中村勇吾、市原えつこ、落合陽一、比嘉了ら33組。テクノロジー ✕ アートの領域の現在を一度に目撃するチャンスだ。2021年6月8日まで。
▍平櫛田中とその気迫を継ぐ現代アーティストたちの共演 神宮の杜芸術祝祭「気韻生動」展 オンライン開催
明治神宮で開催された神宮の杜芸術祝祭の展示のひとつ、「気韻生動−平櫛田中と伝統を未来へ継ぐものたち」展がオンラインで公開されている。当初、明治神宮 宝物殿にて2021年3月25日〜5月30日の開催予定であったが、緊急事態宣言の発令に伴う臨時休館によるもの。明治から昭和に活躍した彫刻家・平櫛田中と、現代アーティストによる彫刻展。宮島達男、舟越桂、棚田康司、須田悦弘ら著名な現代アーティストが参加している。ANDART蔵の名和晃平《Throne(g/p_pyramid)》も展示されている。
▍テートモダン 最大級の草間彌生≪インフィニティ・ミラールーム≫をオープン
2021年5月18日、イギリスの美術館が再開した。テートモダンでは草間彌生の最大級の≪インフィニティ・ミラールーム≫2室をオープン。展示会のチケットは10月まで完売となった。本作品は元々は2020年にテートモダンの20周年を記念して公開される予定だったもの。次のチケットの発売は9月となる見込み。
カルチャー

▍身体の多様性を未来に放つ ダイバーシティ・ファッションショー「True Colors FASHION」5月30日に開催
モデルの身体を起点につくられたファッションから、義足、車椅子など、身体に寄りそうテクノロジーをファッションによって拡張し、誰しもがもつ身体の多様性に呼応するアダプティブな装いのあり方を考えるファッションショー「True Colors FASHION」が2021年5月30日 YouTube Liveで公開される。メディアアーティストの落合 陽一を総合演出に迎え、モデル・テック企業・ファッションブランドがタッグを組んだ11組のチームがランウェイを歩く。
▍マニアックなのになぜ? twitterで「美術のビジュえもん」が人気
twitterでパピヨン本田 @papiyonhonda さんの「美術のビジュえもん」が人気だ。ドラえもん風のキャラクター・ビジュえもんとのび太風の美大生にが登場する、美大ネタ・現代アートネタを扱った1ページ漫画が日々更新されている。「国立奥多摩美術館」「パープルーム」「クリス・バーデン」など、コアな現代アートネタを注釈なしで扱いながらも、アートファン以外にもそのファンを広げ、初投稿から10日ほどでフォロワーは2.5万人(5/23現在)となっている。美術史から近年のアート事情、美大の内情にまで触れるネタの幅広さから、アート界隈の人間からも「一体何者なのか?」といった声が上がっている。
アートに関連する情報は、メルマガでも定期的に発信中。会員登録で是非こちらの情報もチェックしていただきたい。