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6月8日開催 フィリップスオークション(香港)落札額Top5 作品解説

2021年6月8日 18:00からPHILLIPS の「20世紀・現代アート&デザイン イブニングセール」が、JWマリオットホテル香港で開催された。

この記事では、本オークションで落札価格の高かった上位5作品と、ANDARTで取り扱う「アンディー・ウォーホル」、「KAWS」、「パブロ・ピカソ」、「名和晃平」の作品の落札結果を紹介する。(落札価格は手数料込み。1香港ドル=14.12円 (6月7日6:00時価) で計算)

1)奈良美智≪Missing in Action≫(2000)

落札価格約17.47億円(1.24億香港ドル)

画像引用:https://www.phillips.com

7・8日の2日にわたり行われた同オークションの出品作品の中でも注目度の高かった、ハイライト作品の一つ。

ドイツでの12年間の修行を終えて帰国し、アメリカでの初となる個展をシカゴ現代美術館とサンタモニカ美術館で行った、奈良が作家としてターニングポイントを迎える2000年に制作された。

奈良を最も象徴するモチーフである、目つきが鋭い少女が描かれており、振り返る姿が印象的だ。パステル調の淡い色彩と複雑なパール色の背景が、奈良の描く漫画チックな人物表現と相まった、真骨頂と言える作品。

昨年2020年12月に約1.3億香港ドルで落札され、当時のアーティストのオークション記録第2位というレコードを出した、奈良の《Hothouse Doll》に迫る額となった。

2) ゲルハルト・リヒター≪Abstraktes Bild (940-7)≫(2015)

落札価格約13.43億円(9.510万香港ドル)

画像引用:https://www.phillips.com

「Abstraktes Bild」は、1976 年から制作をスタートしたリヒターの代表的なシリーズ。抽象的な多層のイメージで構成されたキャンバスは、空間と奥行きを感じさせる。

出品されたのは近年に制作された作品で、赤や黄色といった鮮やかな色彩が使われている。2000年以降にオークションに出品されたリヒターのキャンバスの油彩画の中でも、大型の作品となる。

予想落札価格:約10.59億円 (7,500万香港ドル) 〜 約13.41億円(9,500万香港ドル)

3) マシュー・ウォン≪Figure in a Night Landscape≫(2017)

落札価格5.16億円(3,655万香港ドル)

画像引用:https://www.phillips.com

夜の暗い色調の中に淡い光が点描で描かれ、月光の薄明かりで浮かび上がるような幻想的な空間の広がりを見せ、覗き込むものを引き寄せる。木々の中に描かれた孤独な人物が印象的な作品。

マシュー・ウォンは、1984 年カナダ出身。絵画を独学で学び、フィンセント・ファン・ゴッホらポスト印象派を思わせる鮮やかな色彩で描く。作品の評価が高まり始めた2019年、35歳という若さで逝去する。

希少なウォンの作品は市場価値が高く、今回は予想落札価格の上値を大きく超える、4倍以上の高値で落札された。

予想落札価格:約8.47億円 (600万香港ドル) 〜 約11.30億円(800万香港ドル)

4) 草間彌生≪Nets Obsession≫(2004)

落札価格:約3.62億円(2,566万香港ドル)

草間の≪Nets Obsession≫は、1957年にアメリカでの初個展で網模様のモチーフを描いた作品を発表してから、何度も取り組まれてきた草間を代表するシリーズ「無限の網(Infinity Nets)」の一つ。予想落札価格の上値を超える金額で落札された、

レースのように編まれた青の連続体は、波紋を感じさせる内的な静けさと、宇宙的な空間を想像させる。

予想落札価格:約1.41億万円(1,000万香港ドル)〜 約2.12億円(1,500万香港ドル)

5) バンクシー≪Laugh Now Panel A≫(2002)

落札額:約3.45億円(2,445万香港ドル)

画像引用:https://www.phillips.com

バンクシーがたびたびモチーフとして用いているチンパンジーが、白と黒のスプレーとステンシルで描かれている。スプレーの塗料が流れ落ちてできた複数の白い線は、現代社会の不穏さを滲ませる独特な効果をもたらしている。

チンパンジーは、「Laugh Now, but one day We’ll be in Charge」 (今は笑うがいい。でも、そのうち俺たちが取り仕切る時がくるさ)と書いたボードを首から下げ、格差社会に対するアイロニカルなメッセージが掲げている。

予想落札価格:約3.11億円(2,200万香港ドル)〜 約4.52億円(3,200万香港ドル)

ANDART取扱いアーティスト落札情報

アンディー・ウォーホル≪Lifesavers≫(1985)

落札価格:約8,712万円(617万香港ドル)

画像引用:https://www.phillips.com

作品タイトルにある“ライフセーバー”とは、アメリカで販売されている救命用の浮き輪を象ったキャンディのこと。ライフセーバーの1950 年代の広告を使い、シルクスクリーンでカラフルに制作した。ポスターのフレーズ「please do not lick this page!(このページを舐めないで!)」が、ユーモアを感じさせる。

予想落札価格の上値を超える価格で、落札された。

予想落札価格:約4,236万円(300万香港ドル)〜 約5,648万円(400万香港ドル)

KAWS ≪TOGETHER≫

落札価格:約1.51億円(1,066万香港ドル)

画像引用:https://www.phillips.com

ブロンズに塗装して制作された大型のスカルプチャー(180 x 126 x 77 cm)で、予想落札価格の上値を超える落札価格となった。

2本の骨が交差し、目がバツ印になったスカルの頭部を持つ、KAWSのアイコン的キャラクター「コンパニオン」の立体作品。KAWSのトレードマークである目のバッテンが、手の甲にも入れられている。2体のコンパニオンが腕をしっかり回して抱き合っている。フィギュアのようなキャラクターたちの動作には、ポップな表層の奥に虚構的な深みがあり、様々な感情を想起させる。

KAWSは現在、ニューヨークのブルックリン美術館で回顧展『WHAT PARTY』(開催期間:2021年2月26日〜9月5日)が開催中。2021年7月16日から10月11日まで、森アーツセンターギャラリーで展覧会『KAWS TOKYO FIRST』が開催予定となっている。

予想落札価格:約9,884万円(700万香港ドル)〜 約1.27億円(900万香港ドル)

パブロ・ピカソ≪Nu couché et musicien≫(1967)

落札価格:約1.65億円(1,175万香港ドル)

画像引用:https://www.phillips.com

ダイナミックな筆遣いで描かれた、パブロ・ピカソ晩年の作品。横たわるヌードの女性と音楽家が描かれている。女性のモデルは、2番目の妻であるジャクリーヌ・ロック、楽器を持つ人物は、ピカソ自身だと思われる。

予想落札価格:約1.27億円(900万香港ドル)〜 約1.98億円(1,400万香港ドル)

名和晃平≪PixCell-Deer #40≫(2015)

落札額:約4,264万円(302万香港ドル)

画像引用:https://www.phillips.com

「PixCell(映像の細胞)」とは、デジタル画像の単位である「pixel」と、生物の細胞の単位である「cell」を合わせた造語。モチーフを大きさの異なる透明の球(cell・細胞)で覆った、名和の代表的なシリーズとなっている。

名和は「PixCell」シリーズを制作する際、インターネットでモチーフを探す。現実世界に存在する鹿のイメージは、画面上でpixel(ピクセル)の集合体である光の粒子に解体され、「光の殻」に変換される。物理空間と仮想空間の境界が揺らぐ彫刻である。

全身ではなく、頭部を使った作品ではあるものの、日本で古来から神の使いである神聖な動物とされてきた鹿を使った作品は、人気が高い。予想落札価格の上値を超える額で、落札された。

予想落札価格:約1,977万円(140万香港ドル)〜 約3,954万円(280万香港ドル)

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