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世界中に影響を与え続ける芸術家の絵の価値とは―。パブロ・ピカソ作品の落札価格TOP10

言わずと知れた20世紀最大の芸術家のひとりパブロ・ピカソ。彼の名は世界中に浸透しているといっても過言ではない。今もなお私たちの心をつかみ続ける特徴的な作品たち。中でも価値が高く特に高額で取引されたのはどの作品なのだろうか。(落札価格は手数料込み、1ドル=110円で計算)

画像引用:https://www.nytimes.com

ピカソは生涯で絵画、版画、彫刻、陶器、舞台装置、衣装など2万点を超える多くの作品を生み出した。近現代のアート表現を探求し、キュビズム、抽象主義、新古典主義、シュルレアリスム、表現主義などさまざまな創作スタイルを作品の中にみることができるのも面白い。反戦を訴えた「ゲルニカ」をはじめ、アートを通して社会的・政治的なメッセージを世の中に発信し続けた人物でもある。

ピカソは時代や自身の生活を感性豊かに捉え、それは作品へも色濃く投影されている。時代により移り変わる作風を表す表現として、年代によって「青の時代」、「ばら色の時代」など名称がつけられている。芸術の世界に響き続けているピカソの存在。彼のどんな絵画にいくらの価値が付いたのか一緒に見ていこう。

9位《Au Lapin Agile / ラパン・アジルにて》
落札価格:約44億7,700万円

画像引用:https://www.therichest.com/

1905年〜1912年まで、パリの公共の施設で長期的に展示されていたピカソの唯一の作品。憂鬱で暗いイメージのある「青の時代」とは一線を画す、カラフルで楽しい雰囲気の色彩だ。画法には、当時街の各所に掲示されていたアンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックのポスターの要素が取り入れられている。

ラパン・アジルはパリのモンマルトルの歌酒場で、まだ売れない貧乏な芸術家たちが夜な夜な集まった場所でもあった。ピカソはこの作品を、無料の食事のお礼として描いたと言われている。絵の後方には経営者フレデ・ジェラールか描かれている。完成した作品をフレデに贈ったところ、彼は1912年にこの作品をわずか20ドルで売却。1952年、コレクターの手に渡り価値が20ドルから6万ドルに高騰していることが判明。最終的に、サザビーズのオークションで4,070万ドルで落札された。

ピカソが自信の分身をアルルカンとして表現した最初の作品ともいわれる本作。芸術家仲間と語り合いながらどんな思いに耽っていたのだろうか。

落札価格:約44億7,700万円(40,700,000 USD)
オークション開催日:1989年11月15日


9位《La Lecture / 読書》
落札価格:約44億7,700万円

画像引用:https://www.therichest.com/

《Au Lapin Agile / ラパン・アジルにて》と同列だったのが、1931年12月〜1932年1月にピカソがわずか1ヶ月間で制作した《La Lecture / 読書》。「愛の時代」と呼ばれる時期の作品だ。ピカソの愛人であったマリー・テレーズ・ウォルターが、膝の上に本を置いて眠っている姿を描いた油彩画。ピカソの妻が見て、自分ではなく別の女性であることに気付き、結婚生活が崩壊するきっかけとなった作品でもある。

官能的でエロティックであると批評されている一方、鮮やかな色使いや軽やかな線で詩的に描かれているところが特徴。ピカソは《Le Reve / 夢》の数日後にこの作品を描いており、構成が非常によく似ていることがわかる。ウォルターは、《Nude, Green Leaves And Bust  /ヌード、観葉植物と胸像 》など、他のピカソの作品にも影響を与えている。

2011年2月8日、ロンドンのサザビーズのオークションに出品され、開始6分で匿名の電話入札者に4,070万ドルで落札された。

落札価格:約44億7,700万円 40,700,000 USD)
オークション開催日:2011年2月8日

8位《Yo, Picasso / ヨー、ピカソ》
落札価格:約52億6,900万円

画像引用:https://www.pablopicasso.org

ピカソが世界で活躍する初期のキャリアを示す重要な作品。1901年6月に完成したこの作品は、パリの一流ギャラリーで開催される初個展のために制作された。同年に制作された3枚の自画像のうち最初のもので、エル・グレコ、ピーター・ポール・ルーベンス、プッサンなど、偉大な芸術家たちが確立した構図を汲んでいる。ピカソの作品の中に、個性が現れ始めたとされる時期であるが、半年も経たないうちに、青の時代の物悲しい単色と平らな質感に変化していくことも興味深い。

1981年に行われたサザビーズのオークションで、580万ドルで著名なアートコレクターが落札。1989年に再度オークションにかけられ4350万ドルで落札される。サザビーズのオークション手数料10%を加えて4790万ドルまで値上がりした。

落札価格:約52億6,900万円(47,900,000 USD)
オークション開催日:2001年6月25日

7位《Le Reve / 夢》
落札価格:約53億2,428万円

画像引用:https://www.pablopicasso.org

1932年マリー・テレーズ・ウォルターを描いた油彩画。フランス人の愛人が椅子の上で眠っている様子を描いたという点で、同じシリーズの《La Lecture / 読書》を彷彿とさせるシーンとなっている。この絵の官能的な表現は、批評家から何度も指摘されていることで有名である。くっきり見える輪郭線と赤、黄、緑の深い色のコントラストが効いた色彩は、フォービズム(20世紀初頭に流行った原色を主体とする色彩と大胆な筆づかいの創作スタイル)に似た形だといわれている。

1997年11月11日にクリスティーズのオークションで売却され4840万ドルという高額で落札された。

落札価格:約53億2,428万円(48,402,500 USD)
オークション開催日:1997年11月10日

6位《Femme Assise Dans Un Jardin  /庭に座る女 》
落札価格:約54億4,528万円

画像引用:http://art-picasso.com

1938年にわずか1日で完成させたといわれているこの作品は、キュビズムのスタイルをよく表している。キュビズムとは、20世紀初めのパリでピカソやジョルジュ・ブラックによって生み出された、新たな美術表現のことである。ブラックが描いた風景画が「小さな立方体による絵のようだ」と、評されたことが語源といわれており、1911年のアンデパンダン展への出展により世の中に広まった。第一次世界大戦前後まで続いた20世紀美術の土台のひとつである。

絵のモデルであるドラ・マールはフランスの芸術家でありピカソの愛人として知られている。

この作品は、1997年まで、チェロ奏者のダニエル・サイデンバーグが個人的に所蔵。1999年、サザビーズのオークションで約4,950万ドルで落札された。

落札価格:約54億4,528万円 49,502,500 USD)
オークション開催日:1999年11月10日

5位《Pierrette’s Wedding / ピエレットの婚礼》
落札価格:約56億4,300万円

画像引用:https://www.pablopicasso.org

1905年に描かれた「青の時代」の代表作といえる作品。ピカソがこの絵を描いたのは、友人カルロス・カサゲマスの死で最も気持ちが塞ぎ込んでいた時期だった。

多くの青を配色することで、結婚式という華やかなワンシーンをお祝い事とは思えない憂鬱で不気味な雰囲気に表現している。この時代にみられる特徴が最大限に表現されているともいえる。

本作品はピカソの友人である画商ジョセフ・ストランスキーが1907年に入手。1945年から1962年には、ピカソの息子であるパウロ・ピカソの手に渡る。その後、金融業者のフレデリック・ルースがこの絵を購入し、フランス政府に寄贈。1989年、ついにオークションに出品され、5,130万ドルで落札された。

落札価格:約56億4,300万円(51,300,000 USD)
オークション開催日:1989年11月30日

4位《Femme Aux Bras Croises / 腕を組む女》
落札価格:約60億5,000万円

画像引用:https://www.pablopicasso.org/

続いても1902年「青の時代」に描かれた作品がランクイン。青一色で悲しみや好奇心を呼び起こす色彩になっている。女性が腕を組み、一点を見つめることで鑑賞者の目が作品の構図に集中する技法である。同じ色調を敢えて用いることで、様々な感情を想像させる。

制作直後にガートルード・スタインがピカソから直接購入。ガートルードは、1906年にピカソの絵の題材になったことでも有名。その後、ニューヨークのクリスティーズ・ロックフェラーで2000年11月8日に匿名の買い手に5500万ドルで落札される。

落札価格:約60億5,000万円(55,000,000 USD)
オークション開催日:2000年11月8日

3位《Dora Maar Au Chat  / ドラ・マールと猫》
落札価格:約104億7,376万円

画像引用:https://www.pablopicasso.org

フランスで第二次世界大戦が始まった1941年に描かれた作品。モデルであるドラ・マールはシュールレアリズムの写真家でありピカソの愛人。後ろには小さな黒猫が座り存在感を放っている。ドレスの複雑な柄や鋭い爪が特徴的で、ピカソの大胆な色使いとキュビズムの技法が表現されている。

ドラ・マールは芸術家でありピカソの母国語であるスペイン語が堪能、政治的な話も共有することができる女性で、精神的にも深い繋がりを持っていた。1930年代後半から1940年代前半に完成した油彩画は彼女の影響を色濃く受けている。

1963年コレクターに売却。その後2006年にサザビーズのオークションに出品され、推定価格の約2倍となる9,520万ドルで落札された。

落札価格:約104億7,376万円(95,216,000 USD)
オークション開催日:2006年5月3日

2位《Garcon A La Pipe  /パイプを持つ少年 》
落札価格:約114億5,848万円

画像引用:http://art-picasso.com

ピカソがパリのモンマルトルで生活を始めた1905年に描かれた油彩画。制作中にはモデルの位置やポーズを何度もかえたといわれている。当初パイプ以外のものは描かれておらず、約1ヶ月間の休息期間を取り最終的に花輪が加わった。イメージの細部までこだわり作り上げた作品であることがわかる。ピカソは多くの地元の人々を絵の中に登場させており、少年はアトリエに出入りしていた10代のモデル。

1950年に3万ドルで購入され、個人コレクションとなっていた。2004年にサザビーズでオークションにかけられ、専門家が立てた見積もりを大幅に上回る約1億417万ドルで落札された。

落札価格:約114億5,848万円(104,168,000 USD)
オークション開催日:2004年5月5日

1位《Nude, Green Leaves And Bust  /ヌード、観葉植物と胸像 》
落札価格:約117億1,308万円

https://www.pablopicasso.org

大型のヌード作品群の中でも最も強烈な作品。ウォルターの裸体を描いたもので、彼女をモデルにピカソが1931年に制作した彫刻が台の上に置かれている。本物の頭部と彫刻された頭部、裸体と植物の豊かな形を対比した構図になっている。

ピカソが50歳を迎えた1932年に描き上げた作品で、同年には絵画や彫刻など100をこえる作品が制作されている。彼のキャリアで構築されたピカソらしさがみえる作品が多い。2018年には、ロンドンのテート・モダン美術館でピカソの1932年に焦点を当てた展覧会「ピカソ1932-愛、名誉、悲劇」が開催されている。

本作は、2010年5月にニューヨークのクリスティーズで1億650万ドルという世界記録的な価格で落札された。1952年にコレクターが購入した時はわずか1万7,000ドルであった。

落札価格:約117億1,308万円(106,482,500 USD)
オークション開催日:2010年5月4日

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文:ANDART編集部