
落札額1位は現在大型展覧会開催中のあのアーティストの作品! 7/9〜22クリスティーズオークション高額落札作品解説
7月9日〜22日にかけて、オンラインで開催されたクリスティーズオークション「Trespassing」。KAWSやバンクシーなどのアーティストの作品をはじめ、NFT作品(Non-Fungible Token=非代替性トークン)もいくつか出品された。本記事ではその落札額上位6作品と、ANDART取り扱いアーティストの中からピックアップした落札情報を紹介する。(落札価格は手数料込み、1USD=110.15円で計算。7月23日10:00時価)
1)KAWS 《WHAT PARTY (KCC3)》
落札価格:約3,029万円($275,000)

画像引用:https://www.leagueoto.com/
アメリカ出身のグラフィティアーティスト・KAWSが2019年に制作したキャンバス作品が本オークションの最高落札価格をマーク。フランスのタイヤメーカー・ミシュランの有名なキャラクターであるミシュランマンから着想を得た「CHUM」が大きく描かれた本作は、2020年にKAWSがNPO団体「Free Arts NYC」に寄付した作品。作品で得た収益は、ニューヨークの若者のためのアートプログラミング指導などに使用された。
予想落札価格:1,101万円〜1,652万円 ($100,000〜$150,000)
2)マッド・ドッグ・ジョーンズ《A Bag of Oranges》
落札価格:約2,340万円($212,500)

画像引用:https://www.artprice.com/
カナダ・トロント出身のマッド・ドック・ジョーンズ(MAD DOG JONES/本名マイカ・ドウバク)は、2017年にインスタグラムで作品の発表を始め、瞬く間に世界で人気を獲得したビジュアルアーティスト。日本のアニメ文化やSF映画から影響を受けたジョーンズが描く作品は、サイバーパンク感に溢れ、鮮やかな色彩が特徴。今回本人から出品された《A Bag of Orange》はNFT作品である。
世界3大オークションハウスのひとつ、フィリップスが初めて扱ったNFT作品もジョーンズの《レプリケーター》という作品で約3.7億円で落札された。ジョーンズは今大注目のNFTのフロントに居るアーティストの1人と言えるだろう。
予想落札価格:未設定
3)エドガー・プランズ《Invaders》
落札価格:約1,789万円($162,500)

画像引用:https://www.artprice.com/
1977年スペイン・マドリード出身のエドガー・プランズ(Edgar Plans)の特徴は、落書きや走り書きが点在する背景に、アニメやゲームの「スペースインベーダー」に出てくるようなキャラクターが描かれていること。ラフな背景とキャラクターが合わさったポップな作風は、ジャン・ミシェル=バスキアを思い出させる。予想落札価格を大幅に超える結果となった。
予想落札価格:約220万円〜約330万円($20,000〜$30,000)
4)ハビエル・カジェハ《Hat (#21)》
落札価格:約1,239万円($112,500)

画像引用:https://www.artprice.com/
スペイン・マラガを拠点に活動するハビエル・カジェハ(Javier Calleja)は、大きな頭と大きな目が特徴的なキャラクターをモチーフに、ペインティングやドローイング、彫刻などを手掛けるアーティスト。本作は紙に水彩絵の具とグラファイト(炭の鉛筆)で描かれている。
カジェハの人気は特にアジアで上昇しており、去年のオークション(香港)では《WHAT?》(2018年)が約4,250万円で落札され、オークションレコード(当時)を記録した。
予想落札価格:約220万円〜約330万円($20,000〜$30,000)
5)アリソン・ザッカーマン《Harlequin Nude》
落札価格:約1,170万円($106,250)

画像引用:https://www.artprice.com/
アリソン・ザッカーマン(Alison Zuckerman)は1990年アメリカ生まれ。26歳の時に作品をインスタグラムに投稿し始めると、著名アートコレクター・ルーベル夫妻がその才能に惚れ込み、夫妻のプライベートコレクション「Rubell Family Collection」で個展を開催。現代アートのスターダムを駆け上る若手アーティストだ。
大きなキャンバスに明快な色彩構成で、リアルかつシュールな女性像とポップなモチーフがミックスされた独特な世界観を表現している。本作左端の柱の後ろから伸びる物体は、ポップアートの代表作家ロイ・リキテンスタインの《筆触(Brush Stroke)》の一部だと思われる。
予想落札価格:約165万円〜約220万円($15,000〜$20,000)
5) KAWS《FOUR FOOT DISSECTED COMPANION (BROWN)》
落札価格:約1,170万円($106,250)

画像引用:https://www.artprice.com/
KAWSの代表的なキャラクター「コンパニオン(COMPANION)」をモチーフにした、メディコム・トイ社制作の全長128cmの巨大フィギュア。“DISSECTED”は「切開・解剖された」の意味。コンパニオンをモチーフにしたフィギュアは発売の度に完売必須の人気アイテムだ。
予想落札価格:約936万円〜約1376万円($85,000〜$125,000)
現在、アート作品のオンラインセレクトストア「YOUANDART」でサービス提供1周年を記念して、LINE・メルマガ登録者限定でKAWSの《COMPANION》8点セットを販売。開始後、1分で完売となった。
ANDART取り扱い作品から落札情報をピックアップ
バンクシー《Love is in the Air》
落札価格:約1,101万円($100,000)

画像引用:http://www.noiseking.com/
《Love is in the Air》(または「Flower Thrower」という呼び名でも知られる)は、パレスチナ・ベツレヘムの建物に制作されたグラフィティで、パレスチナ問題に焦点を当てた作品。赤い背景に同作品を使用した、ナンバーありの500部限定のエディション作品。今回のオークションでは6番目に高い落札金額となった。
予想落札価格:約991万円~1321万円($90,000〜$120,000)
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ANDART編集部