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マッシヴ・アタックによるバンクシーのオークションから、名和晃平のパブリックアートのNFT化まで。今週のアートニュース。(21.10.30-21.11.05)

展覧会情報から、注目のオークション結果まで。カテゴリ別に今週の世界のアートニュースを振り返ってみよう。(1ドル= 113.42円、1ユーロ=130.94円, 1ポンド=152.79円で換算)

アーティスト

▍ティファニー、バスキアの名作をフィーチャーしたアドベントカレンダー発売。

画像引用:プレスリリース

「ティファニー(Tiffany & Co.)」は、ビヨンセ&ジェイ・Z夫妻を起用したブランドキャンペーン「ABOUT LOVE」を展開しているが、その広告の目玉であるジャン=ミシェル・バスキアの1982年の絵画≪Equal Pi≫をフィーチャーしたアドベントカレンダーを発表した。約1.2mの木製キャビネットの中には、ティファニーのジュエリーやアクセサリーが収められた24個のブルーボックスが収められており、これを毎日開封していく仕掛けとなっている。限定版の価格は約1,700万円(15万ドル)とのことだ。(ARTnews)

なお、日本では11月6日(土)より銀座本店にてお披露目される。

ジャン=ミシェル・バスキア ≪Equal Pi≫ の解説はこちら▼

▍KAWS、注目のアウトサイダー・アート作品をニューヨークの美術館へ寄贈。

画像引用:https://news.artnet.com/

1937年にMoMAで展示された後、長らく行方不明だったアウトサイダー・アートの名作 ≪Martha and Mary≫ が発見され、美術館の評議員も務めるKAWSによって、アメリカン・フォーク・アート博物館に寄贈されることとなった。同作品は、独学でアートを学んだアーティスト ウィリアム・エドモンドソン(1874-1951)による貴重な彫刻で、アメリカのアウトサイダー・アートの「聖杯」とも呼ばれているものだ。

美術館はKAWSが同作品のために支払った金額を明らかにしていないが、エドモンドソンは現在、オークションで落札されたアウトサイダー・アート作品の中で最も高額な作品の記録を持っており、2016年には彫刻作品≪ボクサー≫が約8,900万円(78.5万ドル) で落札されている。(artnet news)

注目の作品

▍《モナ・リザ》の初期の複製品がオークションへ。約2,600万円の落札予想。

画像引用:https://news.artnet.com/

レオナルド・ダ・ヴィンチの《モナ・リザ》は、世界で最も有名な絵画の一つだが、その複製品が11月9日にパリのオークションに出品される。≪モナリザ≫の複製は数十点ほど知られているが、今回出品される作品は、予想落札価格は約2,000万円〜2,600万円(15万ユーロ〜20万ユーロ)と比較的高額だ。1600年頃と、比較的初期に制作された複製品であり、原画を目の前に描かれたことなどがその要因となっている。(artnet news)

なお、今年6月にも「ヘッキングのモナ・リザ」がオークションにかけられ、予想落札価格の上値である30万ユーロ(約4,000万円)のおよそ10倍となる、290万ユーロ(約3億8,000万円)で落札された。複製品でありながら、これほど高額で落札された理由については、以下の記事をチェックしてみて欲しい。

▍モネが晩年に描いた≪睡蓮≫がオークションへ。45億円以上となる可能性も。

画像引用:https://www.barrons.com/

クロード・モネが晩年に描いた有名な「睡蓮」の絵の一つである≪Coin du bassin aux nymphéas≫が、今月末にニューヨークで開催されるサザビーズのオークションに出品され、54億円以上(4,000万ドル)での落札が予想されている。1918年に描かれた本作は25年近く市場に出ていなかった。1997年には約7.6億円(671万ドル)で落札されたものだという。

モネの作品の市場は、ここ数年で上昇傾向にある。2019年のサザビーズオークションでは1890年に描かれた≪積みわら≫が約126億円(1億1,070万ドル)で落札され、オークションに出品された印象派の作品としては最高額となっている。(PENTA)

▍ダニエル・アーシャム、彫刻作品≪BRONZE ERODED MELPOMENE≫を99点限定で発売。

画像引用:https://hypebeast.com/

ダニエル・アーシャムは、≪BRONZE ERODED MELPOMENE(ブロンズ浸食されたメルポメネ)≫と題した新しい彫刻作品を、11月5日に99点の限定版として発売した。ギリシャ神話の智の女神「メルポメネ」をモチーフにしたもので、ブロンズ製の本作は、200年の歴史を持つフランスのアトリエと共同で制作されたものだ。99点は即日完売となった。(HypeArt)

▍ANDART、注目の若手アーティスト・安井鷹之介の等身大の彫刻作品を共同保有開始へ。

《Oscar》 / 安井鷹之介

ANDARTは、石膏と布で生み出される洗練された立体が魅力の注目の若手彫刻家・安井鷹之介による彫刻作品≪Oscar≫の共同保有をスタートする。一般販売は11月4日から。安井はMAHO KUBOTA GALLERYに所属し、コレクターも多く存在する。≪Oscar≫は、2021年6月に開催された個展「The Plaster Age」で発表された等身大の彫刻作品だ。

安井鷹之介については、下記の記事で解説を行っている▼

オークション結果

▍マッシヴ・アタックがバンクシー作品をチャリティ・オークションへ。2枚で2,100万円以上に。

画像引用:https://www.nme.com/

イギリス・ブリストル出身の音楽ユニット「マッシヴ・アタック」は、所有するバンクシーの限定プリント2作品をVanguard社のチャリティ・オークション出品した。≪I Fought The Law≫のプリントは、記録的な約1,200万円(78,100ポンド)で落札され、≪Bomb Middle England≫は約1,180万円(77,000ポンド)で落札された。Vanguard社は、「バンクシーの版画が、バンクシーの故郷であるブリストルのクラブで記録的に売れたことは、ブリストルのストリートアートシーンの素晴らしいエネルギーを証明していて素晴らしいことだ。」と述べている。(NME)

▍ポップな作品がいっぱい!10月21日〜22日クリスティーズ(NY)「Prints & Multiples」。

2021年10月21日から22日にかけて、クリスティーズ「Prints & Multiples」がニューヨークで開催され、アンディ・ウォーホル、キース・ヘリング、ロイ・リキテンスタインなどポップアートの人気アーティストを始め、近現代を代表するアーティストの作品がプリント中心に出品された。ANDARTでは、落札額TOP5の作品と、ANDARTに関連する注目作品をピックアップして紹介している。

▍国内外の人気アーティストが目白押し!10/29~30開催SBIアートオークション。

2021年10月29から30日にかけて、SBIアートオークション「Modern and Contemporary Art + NFT」が開催された。草間彌生や奈良美智を始めとするアジアのアーティストの作品を中心に、今話題のNFTの作品も出品された。ANDARTでは、落札価格トップ5の作品とANDARTに関連するアーティストの落札結果をピックアップして紹介している。

▍1位はANDARTでも人気のアーティスト作品!10月14日フィリップスオークション。

フィリップスオークションの「20th Century & Contemporary Art」がロンドンで開催され、2021年10月14日にデイセールが行われた。平面作品を中心に20世紀以降の現代アートが多数出品され、ANDARTで取り扱いのあるアーティストの作品も好評を博した。ANDARTでは、デイセールの落札額TOP5の作品と、ANDARTに関連する注目作品をピックアップして紹介している。

NFT

▍名和晃平のパブリックアート≪WhiteDeer(Oshika)≫のオリジナルデータをNFT化。石巻市へのパブリックアートの寄贈を目指す。

画像引用:プレスリリース

現代アートのグローバルマーケットプレイス事業を展開する「TRiCERA」は、彫刻家・名和晃平の彫刻作品≪White Deer (Oshika)≫の原盤 3Dデータ/コンセプトムービー/ドキュメントムービーを含むデータパッケージ を、NFTとして11月12日にリリースすることを発表した。石巻市で2027年まで期間限定での展示が予定されている≪White Deer (Oshika)≫ が恒久設置されることを目標としており、売上の一部は「Reborn-Art Festival 実行委員会」に寄付され、作品の維持管理の資金に充てられるという。(プレスリリース)

▍クエンティン・タランティーノ監督、「パルプ・フィクション」の7つのシーンをNFTとして鋳造。映画の新たな秘密を明らかに。

画像引用:https://finance.yahoo.com/

タランティーノ監督は、タイムズスクエアで開催されたクリプトアートのカンファレンスで、映画「パルプ・フィクション」の7つのシーンをNFTにすることを発表した。それぞれのシーンには、映画のオリジナル手書き脚本のデジタル化された抜粋と、監督自身によるオーディオコメンタリーが含まれており、「映画とその制作者に関する秘密」を明らかにするとしている。(artnet news)

なお、「パルプ・フィクション」といえば、本作をモチーフに反暴力・反戦を訴えた同タイトルの作品も有名だ。ANDARTではバンクシーの≪Pulp Fiction≫も取り扱っているのでこちらもチェックして欲しい。

美術館

▍2022年3月、ベネッセアートサイト直島に2つの新ギャラリーがオープン。

画像引用:プレスリリース

2022年3月、直島に新たな2つのギャラリーがオープンすることが発表された。1つは、「ベネッセアートサイト直島」における安藤忠雄設計の 9 つ目の建築となる「ヴァレーギャラリー」、そして、もう1つは、2006 年に開館したベネッセハウスパークにおける杉本博司の作品空間をさらに拡大・整備した「杉本博司ギャラリー 時の回廊」だ。

「ヴァレーギャラリー」には、草間彌生と小沢剛のインスタレーション作品が設置される。両ギャラリーの第一期のアートディレクションは、ベネッセアートサイト直島 インターナショナル・アーティスティック・ディレクターである三木あき子が務める。(プレスリリース)

▍ピカソの「青の時代」をテーマにした展覧会で、最新の発見が話題に。

≪青い部屋≫ / パブロ・ピカソ 画像引用:https://www.artnews.com/

ピカソの「青の時代」の絵画について、保存修復師が新たに発見したことを紹介する展覧会が、今年2月にワシントンD.C.のフィリップス・コレクションで開催される。この展覧会は、ピカソの初期の絵画3点を7年間かけて調査したもので、寝室で服を脱ぐ女性を描いたピカソの≪青い部屋≫(1901年)の中に、隠された男性の肖像画を発見したことなどを明らかにしている。展覧会では、「青の時代」の3作品の下に隠されていた絵画に焦点を当て、近代の巨匠が後に「薔薇の時代」(1905-1906)の初期作品で、これらの作品のモチーフをどのように再利用したかを技術的に検証する。(ARTnews)

展覧会

▍「バンクシ―展 天才か反逆者か 広島エディション」、11月6日よりひろしま美術館でスタート。

画像引用:https://hiroshima-museum.jp/

2018年からモスクワ、サンクトペテルブルク、マドリード、リスボン、香港の世界5都市を巡回し、100万人以上の人々を熱狂させた展覧会「バンクシ―展 天才か反逆者か」の広島エディションが11月6日よりひろしま美術館でスタートする。本展では、複数の個人コレクターの協力のもと、オリジナル作品や版画、立体オブジェなど70点以上を展示。鋭い社会風刺や政治的メッセージが込められたバンクシ―の作品をテーマごとにまとめ、裏側にある制作意図をあぶりだしていく。なお、同展示は12月12日からは東京に巡回する。(バンクシ―展 天才か反逆者か)

▍京都・両足院で特別展「杉本博司:日々是荒日」を開催中。

画像引用:https://www.ryosoku.com/

京都・東山にある寺院「両足院」で、11月1日〜14日の間、特別展「杉本博司:日々是荒日」を開催している。杉本博司が同院のために手がけた襖絵と掛軸を一般に初公開するものだ。襖絵、掛軸とともに光学硝子五輪塔等の杉本博司作品を京都府指定名勝庭園を目前に鑑賞できるという。事前予約制であり、残念ながらすでに全日満席となっている。(両足院)

▍ポーラ美術館、2022年の企画展スケジュールを発表。「ピカソ 青の時代を超えて」など。

ゲルハルト・リヒター 《抽象絵画(649-2)》 1987年 油彩/カンヴァス ポーラ美術館 © Gerhard Richter 2021 (05102021) 画像引用:プレスリリース

「ポーラ美術館」が2022年の企画展スケジュールを発表した。開館20周年となる2022年は、同美術館のコレクションの現在を紹介する「モネからリヒターへ―新収蔵作品を中心に」(会期:2022年4月9日(土)~2022年9月6日(火))、歿後50年となるピカソの画業を振り返る「ピカソ 青の時代を超えて」(会期:2022年9月17日(土)~2023年1月15日(日))を開催するという。

「モネからリヒターへ―新収蔵作品を中心に」では、同美術館がサザビーズ香港のイブニングセールで約30億円で落札したゲルハルト・リヒターの 《抽象絵画(649-2)》も展示されるようだ。(プレスリリース)

▍レギーネ・シューマンの個展がドイツのギャラリーでスタート。

レギーネ・シューマンの個展「nada – fluorescent light phenomena」が、ドイツの「edition & galerie hoffmann」で始まり、展示風景がレギーネ・シューマンの公式webサイトで公開されている。一見ネオンのような光を放つ、特殊な蛍光顔料を混入して制作されるライト・アート作品が特徴的なレギーネ・シューマン。個展は11点の新作で構成され、サウンド付きのインスタレーションが展開されている。(レギーネ・シューマン公式)

なお、12月からは東京での個展も予定されているようだ。

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文:ANDART編集部