
市場に初めて登場するジャン=ミシェル・バスキア作品から、美術館でも広がりつつある アートの「共同保有」まで。今週のアートマーケット トピック振り返り(21.09.18-21.09.24)
注目のオークション結果から、アート市場の動向まで。今週、アートマーケットを賑わせたトピックを振り返ってみよう。(1USD=110.75 円で換算)
▍アートバーゼルで、市場に初めて登場する 約44億円 (4,000万USD) のジャン=ミシェル・バスキア作品

9月19日より、世界最大級のアートフェア・アートバーゼルがはじまった。今回のアートバーゼルの中でも最も高額な作品のひとつであり、フェアの目玉作品のひとつとなっているのは、ジャン=ミシェル・バスキア≪Hardware Store≫という作品だ。ニューヨークのVan de Wegheギャラリーが約44億円 (4,000万USD)で出品している。この作品は、1983年、バスキアの2回目の個展(Galerie Bruno Bischofberger)に出品されたが、その時は販売されておらず、市場に出るのは初めてだという。(artnet news)
▍大英博物館、≪神奈川沖浪裏≫ を含む北斎作品200点のNFTを販売

大英博物館は、「Hokusai: The Great Picture of Everything」展(9月30日~2022年1月30日)の開催に合わせ、フランスのスタートアップ企業と提携して、200点の北斎作品のNFTを販売する。NFTは、「ユニーク」(最も有名な作品の1枚の画像)から、「ウルトラレア」(2枚)、「リミテッド」(1,000枚)、「コモン」(10,000枚)まで、さまざまなカテゴリーに分かれており、コモンNFTの価格は約5.5万円 (500USD) からとのこと。(THE ART NEWSPAPER)
▍巨匠から若手まで注目の作家が目白押し!SBIアートオークション
9月17日〜18日、SBIアートオークションにて「LIVE STREAM AUCTION」が開催された。落札額の上位は、巨匠から若手までの日本人アーティストが占める結果となった。ANDARTではオークション落札額TOP5の作品と編集部がピックアップした注目作品を作品解説とともに紹介している。
▍羽田空港で日本初の「保税蔵置場」を活用したアートオークションを開催
10月1日、羽田空港で「保税蔵置場」※を活用したアートオークションが日本で初めて開催される。日本国外にある作品を日本のアートオークションへの出品するのには、作品ごとに輸入通関時に課税され出品数が限定的であったが、保税蔵置場を活用することで、関税等を留保した状態で海外からの出品が可能となる。2020年12月1日・2021年2月26日付関税法基本通達一部改正を受け実施可能となったもの。 (※ 関税法に規定する保税地域の一種であり、保税地域では外国貨物の積卸し、運搬、蔵置などの行為をすることができる。)
初回となる今回は、株式会社ニューアート・エストウェストオークションズが主催となり、草間彌生や奈良美智、ジュリアン・オピーやアンディ・ウォーホルなど、国内外を代表するアーティストの作品が一堂に会する。(株式会社羽田未来総合研究所)
▍ピカソの娘、税金対策のため、父の作品9点をパリの美術館に寄贈

パブロ・ピカソの娘、マヤ・ルイズ=ピカソは、税の相続決済の一環として、絵画6点、スケッチブック1点、彫刻2点を含むピカソの作品9点をフランスの国立コレクションに寄贈する。1970年に制定された法律により、価値の高い芸術品や歴史的建造物を国に寄贈することで、特定の税金の支払いを例外的に認められるという。マヤ・ルイズ=ピカソは、マリー=テレーズ・ウォルターとの娘。マリー=テレーズとマヤは共にピカソのモデルとなり、ピカソの数多くの肖像画に二人の肖像が描かれている。(artnet news)
▍フリーダ・カーロ、最後の自画像がオークションへ。女性アーティストの作品としては史上最高額になる可能性
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今年の11月、貴重なフリーダ・カーロの自画像がサザビーズのオークションに出品される。1954年に亡くなる5年前の1949年に完成した≪Diego y yo (Diego and I)≫と題するこの作品は、カーロの最後の自画像とされている。サザビーズの発表によると「33億円 (3,000万USD)は超える」と予想されているが、この作品の希少性とフリーダ・カーロの人気を考えると、2014年にジョージア・オキーフの≪Jimson Weed/White Flower No.1≫の約48.7億円 (4,440万USD) を上回り、女性アーティストの作品として史上最高額になる可能性もある。(artnet news)
▍NFTの新たな活用法?カナダの写真家、多く盗用された写真をNFTで販売した後に無料で商業利用を認可へ
カナダの写真家でソニーのアンバサダーでもあるCath Simardが、NFTを使った新たな写真作品のビジネスを展開している。彼女はこれまで、自身の撮影した「ハワイの道路」の写真が何度も盗用され、著作権侵害を追跡したものの1ドルも回収できなかった。そこで、同写真の1点もののNFTをオークションにかけ、その後、写真自体を世界に公開して無料での商業利用を許可した。同写真が世界やwebで広く使われれば使われるほど、認証された1枚のNFTがより有名になる(価値が上がる)というもの。同作品のNFTは、なんと約3,300万円 (約30万USD)で落札された。(PetaPixel)
▍美術館でも始まりつつある、アートの「共同保有」

パンデミック後、メトロポリタン美術館のような著名な美術館すら収入不足に悩み、一部のコレクションを手放しているが、そうした厳しい状況下でコレクションを増やす方法として、共同保有が注目されている。例えば、アメリカのディア美術財団とヒューストン美術館は、今年、サム・ギリアムの彫刻作品を共同で購入した。価格が高騰して単館では購入出来なかったものを共同で購入し、交互にする。
実はこうした美術館の間で共同で購入する試みは2000年代からも少しずつ行われている。まだ新しい方法であり、仕組みが確立されていないためにまだ大きくは広がっていないものの、美術館にとっては、予算はもちろん、作品を展示、保管、手入れする能力の制約などを考えて大きなメリットがあるようだ。また、異なる地域のより多くの人々がこれらの作品を見ることができるのはもうひとつの大きなメリットだ。(ARTnews)
なお、ANDART(アンドアート)は、個人ではこれまで手が届きづらかった高額な有名アート作品や大型作品でも1万円から購入/売買ができる、日本初のアートの共同保有プラットフォームだ。
個人間で気になる作品を共同保有することで、好きなアーティストの作品を守り、価値を上げていくことを試してみるのはどうだろうか?
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文:ANDART編集部