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今年のアートマーケットを象徴するのはあの作品!2021年のアートマーケットの特徴を3つのポイントで解説

2021年は、アートマーケット界にとってどのような年だったのだろうか?

2021年の1月にはCovid-19による死亡者数が1日あたり1万7,000人以上と急増し、世界各国でロックダウンを実施。アート業界ではアートフェアや対面のオークションが中止・延期されるなど、順調とは言えない滑り出しだった。

しかし、最終的に、ファインアートのオークション売上高は2021年に過去最高となるなど、アートマーケットはめざましい回復を見せた。

Alive Coverage/Sotheby’s 画像引用:https://www.barrons.com/

オンライン・アートメディア「THE ART NEWSPAPER」は、今年のアートマーケットの傾向として3つのポイントを上げている。このポイントをもとに、2021年の話題を振り返ってみよう。

1) 暗号資産で成功した人々の影響力の増大

1点目は、暗号資産(仮想通貨)の影響だ。クリスティーズ、サザビーズといったオークションハウスは、次々と仮想通貨による入札を受け入れ始めた。

今年の最も注目されたオークションのひとつ、The Macklowe Collectionにおいて、約89.4億円 (7,840万ドル) でジャコメッティの作品を落札したのは、中国の暗号通貨プラットフォーム「TRON」の創始者で、31歳のJustin Sunだった

Alberto Giacometti, Le Nez Conceived in 1947; this version conceived in 1949 and cast in 1965.
Image courtesy Sotheby’s.

また、ダミアン・ハーストも、作品の購入をはじめて仮想通貨で受け付け、結果、プリント作品として過去最大の売上となった

また、そうした暗号資産に隣接する分野として注目を集め、今年一気に存在感を示したのが「NFT」だ。2021年アート界の「Power 100」ランキングの1位が「NFT」となったことからもその影響の大きさが伺える。

暗号資産で成功して増やした富をNFTに再投資する動きがあることもNFTの人気に繋がっているとも考えられている。

アーティストのBeepleはNFT作品で一気に有名になり、なんと現在はデイヴィッド・ホックニーとジェフ・クーンズに次いで、現存する中で世界で最も高価な3人のアーティストのうちの1人となっているという。

ダミアン・ハーストや、アンディ・ウォーホルらもオリジナルのNFT作品をドロップしたほか、バンクシーはその人気ゆえ、作品を勝手にNFT化されるなどの事件も起こった。

2) アジアの影響力の増大

アートバーゼルが発表した2021年上半期のマーケットレポートでは、アジアが引き続き市場をリードしていることが報告された。

実際、フィリップスでは2021年上半期の総売り上げのうち34%がアジアのコレクターによる売上であり、さらに2021年上半期の上位10ロットのうち、40%がアジアのコレクターによる落札だったようだ。

こうした動きを受け、今年、クリスティーズはアジア本社を2024年に香港に開設することなども発表した。

ザハ・ハディド・アーキテクツによる香港の「ザ・ヘンダーソン」:クリスティーズのロビー候補の一例 画像引用:https://www.artnews.com/

3) アート界の古い秩序の破壊

先に述べたNFT作品もそうだが、今年のアートマーケットではこれまでのアート界の秩序を破壊するような出来事があった。

例えば、今年はじめて市場に登場し、注目を集めていたフランシス・ベーコンの ≪’Pope with Owls’≫は、約37億6,827万円 ($33,000,000)と高額ながらも、予想最低落札価格も下回る想定外の結果となってしまった。

フランシス・ベーコン ≪’Pope with Owls’≫ 画像引用:https://www.phillips.com/

この理由について、フィリップスの副会長兼20世紀・現代美術部門の共同責任者であるロバート・マンリーは、「(購入者の)好みが広がったのだと思う」と述べている。

その一方で躍進を見せるアーティストたちもいる。例えば、今年「世界のトップ10アーティスト」に草間彌生がランクインし、オークション市場の歴史における初めての女性のランクインという偉業を果たした

女性の躍進という観点では、「2021年上半期 若手作家のオークション落札総額ベスト5の」うち2作品は女性アーティストによる作品となり、アジアを中心に人気の日本人アーティスト・ロッカクアヤコも4位にランクインした。 未だ白人男性優位と言われるアート界だが、その空気も少しずつ変わりつつあることが伺える。

今年の3つのポイントを網羅するバンクシーの作品

3つのポイントで2021年のマーケットを振り返ってきたが、これら3つの要素をすべて網羅していた、今年を象徴するような作品がある。裁断されたバンクシーの作品 ≪Love is in the Bin≫ だ。

2018年に ≪Girl with a Balloon≫ として2018年にオークションにかけられ、当時の記録となる約1.5億円 (104万2000ポンド)で落札された後に切り刻まれた作品だが、今年、約28.9億円 (1,858万ポンド)という高額で落札され、バンクシー史上最も高額での落札となった。

オークションにおいて9人もの人が10分以上にわたって入札合戦を繰り広げた結果、最終的に本作品を落札したのはアジアのコレクターだったといい、支払いは仮想通貨で行われたという。

また、この落札価格は、巨匠 パブロ・ピカソの作品で 今年ラスベガスで開催されたピカソオークションの中でも注目の作品 ≪Homme et Enfant≫ の落札価格 27.8億円 (2,440万ドル)にも匹敵する価格であり、数年前まで無名であったバンクシーがこうした巨匠と並ぶ価格となるのは、これまでには考えられなかった出来事だという。

統合型リゾートとして有名な「MGMリゾーツ」で開催された総額124億円超のピカソだけのオークション。左の壁にかかる作品が≪Homme et Enfant≫。 画像引用:https://news.artnet.com/

以上、今年のアートマーケットの傾向を3つのポイントで振り返った。

こうした変化は、Covid-19を経て、オークションがオンライン化することによって はじめてオークションに参加する人たちが増えてきたり、個人の価値観が変化してきたことにもよるだろう。

バンクシー ≪Love is in the Bin≫ 画像引用:https://www.theartnewspaper.com/

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文:ANDART編集部