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教えて!アート購入のきほん ーVOL.3ー 作品にはどんな種類があるの?

アートのある生活って、ちょっと憧れ。でも、なんとなく敷居が高くて難しい。そんなアート購入に関する用語や買い方、アートの価格の決まり方まで、アートを取り巻く世界を少し覗いてみませんか?

ねぇ、これヤバくない?

どうしたの?

今度、バンクシーの展覧会に行こうと思って作品を見てたんだけど、展示されるのと同じ作品が別のサイトで販売されているの!

えっー?! アートって「一点モノ」なんでしょ?

だよね?! じゃあ、やっぱりどっちかはニセモノってこと?

きっとそうだね、通報だ!通報!!

… ちょっと待って。アート作品って必ずしも「一点モノ」じゃないんですよ。どうして同じ作品が複数あるのか考えるために、まずは作品の種類についてANDART編集部と一緒に見てみましょう!

▍アート作品の種類は?

作品の表現につかう手段を「メディア」といいます。主なものを見てみましょう。

1) 絵画(油彩、ドローイング、アクリル等)

≪Untitled≫ / ロッカクアヤコ (画像引用:ANDART「取り扱い作品一覧」より)

紙やキャンバスに描かれた一点物の作品です。「アート」と言ったときにぱっと思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?ANDARTで取り扱う作品では、ロッカクアヤコの≪Untitled≫ (段ボールにアクリル絵具) などがあります。

「絵画」といっても、描く手段は、油絵具や水彩絵具、アクリル絵具から、パステル、鉛筆など様々なものがあり、サイズも多様。家に飾る場合は、額縁に入れて壁に飾るなど、比較的飾りやすいのが魅力ですね。

2) 立体(彫刻、鋳造、ミクストメディアなど)

≪Throne(g/p_pyramid)≫ / 名和晃平  (画像引用:ANDART「取り扱い作品一覧」より)

木や石を掘った彫刻や、金属などを型に入れてかたちをつくる鋳造、様々な素材を組み合わせてつくるミクストメディアなど、さまざまな素材の作品があります。一点物が多いですが、鋳造や3Dプリンタなどの手法で制作した作品は、複数制作される場合もあります。

ANDARTの取り扱いでは、名和晃平の ≪Throne(g/p_pyramid)≫ (ミクストメディア) などがありますよ。

サイズとしては手のひらサイズから数mサイズのものまでバラエティがあります。「ギャラリーの広いスペースでは小ぶりに見えたのに、自宅に置いたら意外と大きかった!」なんてこともあるのでご要注意を。

3)写真

≪日本海 隠岐 V≫ / 杉本博司 (画像引用:ANDART「取り扱い作品一覧」より)

カメラで撮影された作品や、撮影した写真をデジタル加工した作品などがあります。形態としては、印画紙にプリントしたものや、インクジェットで紙にプリントしたもの、ライトボックスなどがあります。絵画などと比べると、現代アートの中の1ジャンルとして認識され始めたのは比較的新しいメディアになります。

ANDARTで取り扱う作品の中では、杉本博司の ≪日本海 隠岐 V≫ (ゼラチンシルバープリント) などがあります。

4)版画(プリント)

≪URGE≫ / KAWS  (画像引用:ANDART「取り扱い作品一覧」より)

媒体にインクをつけて紙などに刷る方法です。木を彫ったものを版にする木版画のほか、銅の板を彫ったり腐食させたりして版にする銅版画、メッシュ状の版に細かい孔をあけてインクを通すシルクスクリーンプリントなど、モノクロからカラーまで、様々な質感のプリントがあります。

ANDARTでは、KAWSの ≪URGE≫ (シルクスクリーン) などを取り扱っています。

このほかにも、例えば「映像」の作品や、部屋全体を作品で構成する「インスタレーション」、今までにない新しいメディアをつかった「メディアアート」など、様々なメディアの作品があります。

ANDARTのwebサイトなら、【作品情報】の「素材」の部分を見ると分かるんだね。

≪URGE≫ / KAWS の作品情報 (画像引用:ANDART「取り扱い作品一覧」より)

▍同じ作品が何枚も?! 写真や版画は何枚でも複製できるの?

≪Napalm≫ / バンクシー (画像引用:ANDART「取り扱い作品一覧」より)

え、ちょっと待って。
「写真」とか「版画」って、何枚でも複製できちゃうの?そうしたら価値がなくなっちゃうんじゃないの?

そう!原理的には何枚でも複製できてしまいます。そこで、価値を保つため、作品を世に出すときに市場に出回る数(エディション)を限定することがあります。たとえば、同じ版画を50部だけ刷る場合には、「エディション50 (Ed. 50)」と言います。

本当だ。「写真」や「版画」の作品情報の部分に書いてあるね。

≪Napalm≫ / バンクシー の「作品情報」(部分) (画像引用:ANDART「取り扱い作品一覧」より)

エディション内の作品であることを示すため、作品に手描きで「○ / 50」と、全体のエディションのうちの何部目か通し番号が振られていることも多いです。

≪Napalm≫ / バンクシー のエディション番号 (画像引用:ANDART「取り扱い作品一覧」より)

それでも、人気のあるアーティストの作品は模倣品が出てくることも。このため、アーティストによっては専門的な認定機関を設けることも。例えば、バンクシーは「ペストコントロール」という、ストリートで描かれたもの以外のバンクシー作品の真偽を認証・保証する機関を設立し、本物には証明書を発行しています。

ペストコントロールによって発行される バンクシー作品のCoA(Certificate of Authenticityの略)画像引用:https://theartofbanksy.jp/

参考記事:匿名ストリートアーティスト・バンクシーはどうやって稼いでいる?5つのポイントで分かるバンクシーのビジネス

▍同じ作品でも価格が違うのはなぜ?

枚数の制限があることは分かったけれど、エディション違いならみんな同じ価格ってことだよね?

だいたい同じくらいと考えて良いですが、二次市場に出回るとき、差が付くこともあります。作品の状態(汚れたり破れたりしていないか)はもちろん、作品が過去にどんな人に所有されていたのか、サインの有無などによって変わったりすることもあります。

また、同じ作家のプリントでも、エディション数が少ない作品は希少価値が上がって値段が上がる方向になります。

確かに、例えば「好きなミュージシャンの数量限定版パッケージDVD、しかもサイン入り!」だったら、高くても欲しくなっちゃうよね。

サインの有無みたいな情報も「作品情報」の部分に書いてあるんだね。例えば、バンクシーの≪Napalm≫は、鉛筆でサインが入っているんだね。

≪Napalm≫ / バンクシー の「作品情報」(部分) (画像引用:ANDART「取り扱い作品一覧」より)

≪Napalm≫ / バンクシー のサイン (画像引用:ANDART「取り扱い作品一覧」より)

作品をみるだけじゃなくて、これからは「作品情報」の部分もチェックしてみようっと!

▍まとめ

【教えて!アート購入のきほん】シリーズ記事

▍ーVOL.1ー そもそもアートってどこで買えるの?

▍ーVOL.2ー アートの値段って誰が決めているの?

文:ANDART編集部