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アート鑑賞

KAWSを始め、今注目のアーティストの才能が集結!『SIGNS OF A NEW CULTURE vol.2』をレポート

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『SIGNS OF A NEW CULTURE vol.2』が、GINZA SIX Artglorieux(アールグロリュー)ギャラリーでスタートした(会期:2021年8月5日〜8月18日)。好評を博した5月のvol.1に続き2回目となる今回は、現在、六本木の森アーツセンターギャラリーで開催中の国内初の大規模展覧会で話題のKAWSをはじめ、世界で活躍する奈良美智や松山智一など、国内外の現代アーティストから次世代のアートカルチャーを担う新進気鋭のアーティストまで、幅広い作品を紹介している。

貴重なKAWSの《NO REPLY》の10点シリーズ

まず注目したいのは、KAWSの《NO REPLY》(2015年)だ。毎年新しい作品を発表するKAWSだが、その中でも本シリーズはとくに人気が高く、今後ますます入手困難になることが予想されている。

そんな中で今回は、KAWSの作品10点と表紙を額装した全揃えのシリーズを丸ごとセットで目にできる、貴重なチャンスだ。

≪NO REPLY (10点セット)≫ / KAWS 

KAWSの作品は昨今のオークションシーンでもお馴染みの存在。そのため人気も高く、落札額上位にランクインすることも少なくない。しかしそれらは1点ずつ出品され、それぞれに値が付くことも多いため、こうした「全揃え」を目にすることのできる機会はなかなかない。

それだけに、人気アーティストの話題作を一挙に鑑賞できるのは、とても稀少なこと。KAWS展とはまた違った雰囲気で、KAWSの作品をゆっくり・じっくり味わいたい方にもおすすめだ。


ファッション界とのコラボでも注目の、ダニエル・アーシャムの作品も!

また、スペースの中央に展示されている、ダニエル・アーシャムの2作品も要チェック!

ダニエル・アーシャムは、「フィクションとしての考古学」をコンセプトに、彫刻、ペインティング、インスタレーションと幅広い作品を手がける、今人気上昇中の注目アーティストである。

今回は、ポルシェファンであるアーシャムが、1986年式ポルシェ911ターボが侵食された様子を表現した《Eroded Porsche 911 Turbo》と、ミッキーにインスパイアされて制作した《Hollow Micky Grey Edition》の2作品が展示されている。

Eroded Porsche 911 Turbo≫ / ダニエル・アーシャム

アディダスを始め、ディオールやルイヴィトンとのコラボなど、昨今ファッション領域での活躍も目立つアーシャムの作品を、ぜひこの機会にしっかり目に留めておきたい。

また国内のアーティストとしては、海外でも人気の高い奈良美智をはじめ、ストリートアートの文脈で注目を集めているKYNE、NYで人気の松山智一の作品にも出会うことができる。

才能溢れる、若手注目アーティストの作品も集結!

その他、ギャラリー注目の若手アーティストの作品に出会えるのも、本展の大きな魅力となっている。

和紙と墨を使って平面立体を立ち上がらせる作風が特徴的なアーティスト、玉井祥子。その独自の世界観は、ビビッドな色彩の作品が多い展示の中で、静かでありながらも確かな存在感を放っていた。

聞けば、「世界で一番細い線が和紙の繊維」であることに気づき、その線を鉄製のペンで引っ掻き、和紙の極細の繊維を立ち上げることによって、立体表現を実現させたのだという。

Pulsated Sound≫ / 玉井祥子

また、元々は東京藝術大学で音楽を専攻していたという経歴の持ち主でもある。古典的な和のモチーフを素材に選びながらも、作品に「音」の要素を取り込み調和させている点が、とてもユニークで新鮮に感じられた。

とくに、音の発生から消失までを表現した《Pulsated Sound》は、繊細な表現でありながらも、一方ではダイナミックな音とリズムが聞こえてくるかのような作品。極細の世界が結晶した作品であるからこそ、肉眼で、間近で見ることの価値と、深い感動を与えてくれる素晴らしいアートだ。

作品が生まれた背景については、こちらの動画でアーティスト本人が語っているので、こちらもぜひチェックしてみたい。

この他にも、巨匠フェルメールの名画をデフォルメし、愛らしくポップなキャラクターとして現代に蘇らせるかたちで空想の世界を描き、昨今オークションでも高値で取引されるようになっている細川真希の作品や、ネット上における匿名性やトリミングされた情報をテーマに創作活動を行なっている谷口小夏など、ギャラリーが厳選した若手アーティストの作品が紹介されている。

≪真珠の耳飾りの少女のように≫ / 細川真希

≪minor role ピンク≫ / 谷口小夏

これらの若手アーティストの作品は抽選販売も行われているほか、展覧会開幕早々に購入が決まったものもあるという。このことからも、目利きのコレクターにとって素晴らしいアーティストをいち早く発掘する場としても、こうした企画が、改めて重要な位置づけにあることが窺えた。

本展の責任者である小川貴司氏も「自分たちが素晴らしいと思っている若手アーティストに価値を感じ、可能性を感じてもらえるのは、私たちにとっても大きな喜び」と語るように、作品からにじみ出る新しい才能の”sign”を見つけることも、本展ならではの大きな醍醐味だろう。

また、お気に入りのアーティストを見つけたら、本企画展WEBサイト内の各作品ページにある【I LOVE IT】ボタンを押してみるのもオススメ。自分の好きなアートを同じようにいいと思ったり、興味を示している人たちがいることが視覚化されることで、「好き」を一緒に共有しているような気持ちになれる。

アートの楽しみ方や、関わり方を見つけたり、「自分の好きなアートは?」という問いかけへのヒントを見つけられるような場となりそうな『SIGNS OF A NEW CULTURE vol.2』。本展の他にも特設ページでは、様々な関連イベントや動画を紹介しているので、ぜひ合わせてチェックしていただきたい。

展覧会情報

『SIGNS OF A NEW CULTURE vol.2』

会場:Artglorieux GALLERY OF TOKYO@GINZA SIX 5F

会期:2021年8月5日(木)〜8月18日(水)

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文:小池タカエ