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アート鑑賞

NANZUKA UNDERGROUNDで開催中のハビア・カジェハ個展レポート

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東京都・神宮前にあるギャラリー「NANZUKA UNDERGROUND」では、現在ハビア・カジェハ個展「Open Your Eyes」が開催中。今回は実際に展示を訪れたレポートとして展示の魅力をお伝えする。

Installation View: Javier Calleja solo exhibition Open Your Eyes, Nanzuka, Tokyo, 2021 ©Javier Calleja
Courtesy of Nanzuka

ハビア・カジェハはスペイン出身のアーティスト。今回の個展は、2018年の「Do Not Toutch」(旧NANZUKA UNDERGROUND)、昨年NANZUKA 2Gと3110NZ by LDH kitchenの2箇所の会場において開催された「No Art Here」に続く3度目の日本における個展となる。

路地を通りギャラリーを目指していると、まず目に入るのが屋外に展示されている巨大なスカルプチャー。マスコットキャラクターのような大小様々なサイズの頭部が積み上げられ、明るい雰囲気が人目を惹く。

Javier Calleja《Heads V2》(2021)

そんな可愛らしい作品に出迎えられ、ギャラリーの中に入ると、さらに目に飛び込んでくるのが約2m立法の巨大なメタリックに光るピンク色の球体のスカルプチャーだ。ギャラリーの白く明るい空間を反射し、異次元の存在感を放っている。よく見ると大きな目の赤ちゃんが、口で球体を膨らませている。球体の赤ちゃんの口付近がよれる様子なども巧妙に再現されており、まるで風船のようだが、実はこの作品の重さは500kgもある。かなりの重量級だ。

Javier Calleja《Balloon Baby_Pink》(2021)

球体作品の周りには、アクリル絵の具で描かれた大判のキャンバス作品や紙に鉛筆で描かれたスケッチ風の作品が並べられている。近づいてみると顔を描く線にはぼかしやグラデーションが綺麗に施されており、それが立体感や子供らしいあどけなさのようなものを醸し出している。

Installation View: Javier Calleja solo exhibition Open Your Eyes, Nanzuka, Tokyo, 2021 ©Javier Calleja
Courtesy of Nanzuka

彼の作品の特徴は、大きな目の愛らしい子供の人物画と、その肖像が着ている服などに描かれたメッセージ性のある文字だ。

子供の目は、色、形、光の入り具合など様々だが、どれも大きく輝きを放っている。表情も様々で、カジェハの作品の中の子供たちは非常に個性豊かだ。この大きな目をした子供の肖像画は、奈良美智に影響を受けていると言われている。奈良がスペインに滞在していた際、その制作をカジェハが手伝っていたことが接点のようだ。

Javier Calleja《Always running》(2021)

作品中に描かれている文字に着目してみると、展示タイトルでもある「Open your eyes」や「No need to tell」などと書かれている。一見すると何気ないTシャツの柄のように思えるが、そこには鑑賞者に対する問いかけや、警告のようなメッセージが込められている。短文で抽象的なメッセージだからこそ誰にでもわかりやすく、各々の鑑賞者が自分と照らし合わせて作品からメッセージを汲み取ることができるのだろう。

Javier Calleja《No need to tell》(2021)

一方紙に描かれた作品では、キャンバス作品とはまた違った温かみを感じることができた。蜂が描かれている《Action now!》という作品では、作品がかけられている壁にまで、蜂がはみ出すように描かれているのが非常に印象的。作者は他にも、ギャラリー入り口の展示タイトルを自ら手書きで描いたり、作品の構想段階の下絵が描かれた木の板を飾ったりと、随所に様々な仕掛けを用意してくれている。こういったところからも作者の遊び心を感じることができた。

ギャラリー入り口に飾られている下絵が描かれた木の板

ギャラリー2階に上がると、またしても中央にスカルプチャーが展示されている。透明でゼリーのように大きく飛び出ている目が印象的。彼が顔の中でもいかに目の表現にこだわっているかがよくわかる。

Installation View: Javier Calleja solo exhibition Open Your Eyes, Nanzuka, Tokyo, 2021 ©Javier Calleja
Courtesy of Nanzuka

周りにはまたしても大判なキャンバス作品や、小ぶりな紙に描かれた作品がずらりと並べられ、絵の中の無邪気な子供たちに囲まれると、なんだか自分の中の純粋な気持ちが呼び起こされるような気がしてくる。

展示全体を通して、明るい色調や作品中の子供の表情に感化され、終始楽しい気持ちで作品を鑑賞していた。ぜひ、子供たちに大きな瞳に囲まれ、作品を通して自分自身を見つめ直す体験をしてみてほしい。

展覧会概要

Open Your Eyes
作家:Javier Calleja(ハビア・カジェハ)
会期:2021年11月14日(日) – 12月26日(日)
会場:NANZUKA UNDERGROUND MAP
時間:火曜日 – 日曜日 11:00-19:00 *月曜、祝日休業
公式サイトはこちら

中目黒でも作品を展示中

現在、中目黒にあるギャラリー併設鮨 レストラン「3110NZ by LDH kitchen」でもハビア・カジェハの作品を展示中。彼の作品をもっと見たくなった方は、そちらも合わせてぜひチェックしていただきたい。

Open Your Eyes
作家:Javier Calleja(ハビア・カジェハ)
会期:2021年11月16日(火) – 12月25日(土)
会場:3110NZ by LDH kitchen MAP
時間:火曜日 – 木曜日 11:00-16:00, 金曜日 – 土曜日 11:00-17:00  日曜、月曜、祝日休業

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文章:ANDART編集部