
イギリスを代表するアーティスト、ダミアン・ハーストを楽しむ制作動画3選
死んだ動物をホルマリン漬けにした作品で賛否両論を呼ぶ、イギリスを代表するアーティスト、ダミアン・ハースト。動物を用いた強烈なインスタレーション作品のイメージが強いハーストだが、絵画の制作にも精力的に取り組んでおり、近年は「桜」をモチーフにした作品も発表している。そんなハーストの制作の裏側を垣間見ることができる動画を3つご紹介。

出典:https://usaartnews.com/
The Currency
《The Currency》(通貨)とは、2021年7月に発表したハースト初のNFT作品。本作は1万枚の手描きのA4サイズの作品それぞれに偽造防止の施しがされたもので、一つ一つにドットを押していく様子や鉛筆を沢山持って、ひたすらサインを描くハーストの姿などがインタビューと一緒に収められている。
ランダムにドットで埋め尽くされた《The Currency》は、ハーストの代表作シリーズの一つ「スポットペインティング(Spot Painting)」の特に初期の作品を彷彿させる。

《Spot Paiting》(1986年)
出典:https://www.damienhirst.com/
スポットペインティングは同シリーズ内で13に細かく分類されていて、特に有名なのは白地に全て違う色のドットが等間隔に配置され、作品のタイトルに薬の名前がつけられた「医薬品」シリーズ。ハーストは以前にアルコール依存症・薬物中毒に冒された過去があり、このドットは覚醒剤の錠剤がイメージされている。

《M-Fluorobenzylamine》(2018年)
ヴェールペインティング

《Veil of Perfect Harmony》(2017年)
出典:https://www.damienhirst.com/
2018年にガゴシアンギャラリーで発表したシリーズ「ヴェールペインティング(Veil Painting)」。これは色彩の幕=ヴェール(Veil)が下りているように見える絵画のこと。ハーストの原点とも呼べる「スポットペインティング」のドットからの派生、そして19世紀のフランスの画家ジョルジュ・スーラの点描画の影響も見える作品だ。大きなキャンバスに、幾重にも色を重ねていく制作風景とアトリエの様子の見るにはこちらから。
Cherry Blossoms

《Renewal Blossom》(2018年)
出典:https://www.damienhirst.com/
こちらがハーストの最新作「Cherry Blossoms」シリーズ。2017年から約3年をかけて描いた107点の作品で構成されている。ホルマリン漬けの作品を制作していた時、ハーストは母親に「世の中には十分ホラーなものがあるのだから、花の絵を描くことはできないの?」と言われたそう。「55歳になってからようやく、母親を喜ばせられるようになった」とインタビュー(英文)で語っている。動画は、インタビューとあわせて制作風景を見ることができるボリュームのある一本。
おまけ:インスタグラム
ダミアン・ハーストの公式インスタグラムでも、短い制作動画や写真、美術館を訪れるハーストの姿がアップされている。世界的アーティストを身近に感じることができるツールとして覗いてみるのはどうだろう。(インスタグラムを使っているアーティスト海外編はこちら、日本編はこちらからどうぞ)
ANDARTでは、オークション速報やアートニュースをメルマガでも配信中。無料で最新のアートニュースをキャッチアップできます。この機会にどうぞご登録下さい。


文:ANDART編集部